現場力とコミュニケーション
《第13回》
“現場力”についてのディスカッション
講義目的
これまでの授業を通して、現場および現場力(げんばりょく)について、各人が具体的な例に即しながら、その概念について輪郭を表現することができるように試みます。
講義内容
学生(院生)および教員が討論をとおして、現場および現場力に対して次のように考えました。
■ 現場とは
私たちは様々な社会活動に参加しています。例えば、家族の団らんや学校でのゼミナール、友人との交流、職場での専門的な実践などがこれに相当します。
本講義では、複数の人々が参加して具体的な活動がおこなわれたり、その活動の中で知恵が育まれたり、伝承されている場所を「現場」と考えてきました。つまり、より日常的な交流の場から専門的な実践が行われている場を、幅広く現場の射程に入れて考えてきました。
■ 現場力とは
複数の人々が活動する場所ではあ、その場の雰囲気や居心地、ある種の圧迫感を受け取ったり、見極めながら活動が行われます。同時に、それらを足場としながら、そのときその場で求められることを瞬時に判断したり、行為に移したり、あるときには立ち止まったりじっと待ったりすることもあります。
現場力とは、こうした行為とともにある知恵、つまりその場や人と人の関係の中から生まれてくる雰囲気などの感受性や応答性、そのときその場での求めに応じて行動する臨機応変さ、間(ま)やタイミングの取り方、対人コミュニケーションと深く関係する実践の知恵です。この知恵は、ある現場における具体的な活動の中でこそ生み出され、育まれ、共同実践の中で伝達されうるものです。
注意:このページは西村ユミ先生の授業のとりまとめをもとに、池田光穂がその内容をまとめたものです。
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