私たちがなにげなく使っている「おかげさま」という言葉。

これは人の好意や親切に対して感謝の気持ちをあらわす枕言葉のようにつかわれている。

おかげさまというのは、そう話すように強制されたり、マナーとして話なさいと言われると窮屈な感じがするが、気遣ってくれた人に対する口火 を切ることばとしては、便利であり、また、なんとなく気持ちのいい言葉でもある。［ただし皮肉としても「おかげさま」ということも使えるので、いつもいい 言葉であるわけではない］

つまり、おかげさまという言葉は、なんらかの〈社会関係性〉を表現する言葉であるようだ。

そして、その使い方に気遣いや感謝の〈情が交錯する場面〉で使われることが多い言葉でもある。

ということは、おかげさまが発せられる状況を考察すれば、そこにはさまざまな〈社会関係性〉と〈情が交錯する場面〉について考察することが できるというわけだ。

こういうことを専門的に研究する学問に社会言語学というものがあるが、ま、そういう専門の知識をすぐに借りてこなくても、みなさんが経験し てきた／する／しようとする、おかげさまというなにげない言葉について考え、その背景にあるさまざまな社会の現象を読み取ることは可能ではないだろうか？

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【課題１】みなさんが、経験してきた／する／しようとする、おかげさまについて、具体的な状 況をあげて、〈自然な文章〉になるように、短いシナリオと作ってみよう。

【課題２】そのシナリオの中に登場する話者にキャラクターをつけてみよう。具体的には、話者 に個人名を与え、また、その人の社会的属性（性別、年齢、職業、どんなキャラ［性格］の人か？など）を与えてみよう。

【課題３】シナリオにおけるト書（とがき）を書いてみよう。ト書とは、そのシナリオ以外に、 登場人物の出入りや心理、状況などを説明する記述のことです。

【課題４】１から３の課題が終わったら、みんなの前で発表してみよう。

【課題５】みんなの一部ないしは全部の発表が終わったら、［参加者全員であるいはファシリ テーターが］面白そうなシナリオを１つ選び出しましょう。選んだシナリオについて、そのおかげさまの用法における〈社会関係性〉と〈情が交錯すること〉の 意味について考えてみよう。場合によっては、選ばれたシナリオを参加者で相互に演技して、その体験をもとに、考察を踏まえてもよいだろう。

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