準PBL方式で学ぶ医療人類学:第4回目 2007年6月30日(パート1)
PBL医療人類学【12】
今日は、ジレンマについて事例の検討を通して学習します。今日の授業は今まで以上によく考え、多角的に検討しなければならない授業 になります。これまでのディスカッションで培った経験を活かして、限られた時間内に有益に議論し、そのことについて十分納得できる答えを出してください。
*ジレンマ(dilemma)とは、相反する2つの事柄の板ばさみになってどちらを決定しても問題になる状況のことである。
【ローレンス・コールバーグのジレンマ】
良男さんの妻は病気で、ある薬を投与すれば彼女の病気が治ることを良男さんは分かっていますが、その薬が高価なために買えずに妻は 死に瀕していました。良男さんは、これ(=薬)を盗んででも妻を助けるべきでしょうか、それとも座して(=そのままにして)妻の死を待つべきでしょうか。
【議論の手順】
次の2つのステップを踏んで議論します。
(1)最初にシート(A)「PBL医療人類学【13】」の書式に従って、あなた自身の判断について回答します。また、それぞれの選 択肢がなぜ選ばれたのか/選ばれなかったのかについて理由を考えてまとめてください。(所要時間15分)
(2)グループで討論します。グループ討論では、先に作成した自分の意見を他のメンバーに紹介して、議論をはじめます。グループで まとめた議論は後でレポーターが報告しますが、グループの全員がシート(B)「PBL医療人類学【14】」に記載しなければなりません。(所要時間40 分)
(3)グループでの議論が終わってから、ふりかえりのワークをします。シート(C)「PBL医療人類学【15】」に記載してある項 目を答えます。(所要時間10分)
【文献】
- Kohlberg, L., 1969. Stage and Sequence: The cognitive-developmental approach to socialization. In Handbook of Socialization Theory and Research. D.A. Goslin ed., Chicago: Rand McNally.
- ギリガン、キャロル, 1986『もうひとつの声』生田久美子・並木美智子訳、東京:川島書店(Gilligan, Carol., 1983. In a Different Voice. Cambridge, Mass.: Harverd University Press.)
PBL医療人類学【13】
A[あなた自身の判断]どちらかに○をつける。
1.良男は薬を盗んで妻を助けるべきである。
2.良男は薬を盗むべきではない。
[そのような判断をした理由]
※それぞれの決断を下した時に、どのような利益・不利益が良男とその妻が被ることになるのかについて明確にすること。
PBL医療人類学【14】
B[グループの判断]どちらかに○をつける。
1.良男は薬を盗んで妻を助けるべきである。
2.良男は薬を盗むべきではない。
課題1:
そのような判断をした理由について、まずグループのそれぞれの個人の意見を各人が紹介してから議論をはじめてください。また、最終 的にどのようにしてグループの意見をまとめたかについて記してください。
課題2:
現実の社会で実際に、このような状況におかれた良男は、何について、どのように考え、またどのような行動を起こすべきでしょうか?
PBL医療人類学【15】
C[自分自身でおこなう、ふりかえりのワーク]それぞれに○をする。
[あなたの判断]
1.良男は薬を盗んで妻を助けるべきである。
2.良男は薬を盗むべきではない。
[グループの判断]
1.良男は薬を盗んで妻を助けるべきである。
2.良男は薬を盗むべきではない。
[ふりかえり=1]
あなたの判断とグループの判断が、同じであれば、それは同じ理由によるものか、それとも異なった理由によるものか。なぜ理由が同じ になったのか、なぜ理由が異なったのか。どうしてそうなったのかについて記しなさい。
[ふりかえり=2]
良男がもし現実に存在したとすれば、上のような二者択一の選択肢の他にも、やるべきことがあったかも知れません。もしあなたが良男 だったら他にどのような行動の選択があるでしょうか。できるだけ多くの可能性について記してください(裏を使ってもよい)。
● 授業蛙