拒食症とファッションモデル
Super model's
anorexia nervosa
2006年11月(今から11年以上も以前です!)ブラジル人スーパーモデルであったアナ・カロリーナ・レストンの死亡をめぐり、少なくともス ペインとイタリアの政府はBMI(ボディマス指 数, Body Mass Index)——kg体重を身長(m)の二乗で除したもの——が18未満のモデルをファッションショーへの出席を禁止した。
【課題】
別添の資料などを参考にして、神経性食欲不振症(anorexia nervosa)について理解し、
以上4つの点を皆さんで議論してください。
【資料編】
写真(右)は現役時代のAna Carolina Reston(1985-2006)と、彼女の死後ブラジルで撮影した家族との写真を掲げる母親のミリアム
【事件】
2006年11月に、ブラジル人モデルのアナ・カロリーナ・レストン(Ana Carolina Reston, 1985-2006)がストレスによる拒食症が原因で、死亡した事を受けて、スペイン、イタリア政府は同年12月に、「やせ過ぎモデルは、少女たちに異種 の思考を植え付ける」として、BMIが18以下のファッションモデルのファッションショー出演を禁止した。アナの死をきっかけに、痩せすぎが原因で死亡し たモデルの事例が次々に発覚し、「痩せ過ぎ=不健康」という指摘が強まった(以上出典:http://ja.wikipedia.org/wiki/の 「ファッションモデル」の項目(一部改変))。
【各国の反応】
フランス下院は15日、拒食症・やせ過ぎを助長するようなインターネット、雑誌、広告を違法とする法案を採択した。/ロズリーヌ・バシュロ (Roselyne Bachelot)保健・青年・スポーツ相は、同法案は女性に拒食症などやせ過ぎを促すインターネット上のメッセージを防止するためのものだと語る。「若 い女性が医者に嘘をつくよう仕向け、吐き出すのが簡単な食べ物を口にするよう勧め、食事のたびに自分を責めるよう促すことを、表現の自由とはいえない」。 バシュロ保健相はさらに「このようなメッセ−ジは『死のメッセージ』だ。我が国では、メッセージを掲載しているウェブサイトの関係者を告訴できるようにす るべき」と付け加えた。/同法案が上院で承認され施行されれば、違反者には最高2年の禁固刑と3万ユーロ(約482万円)の罰金、違反者の行為により死亡 が発生した場合には、3年の禁固刑と4万5000ユーロ(約723万円)の罰金が課される。[出典:http: //www.afpbb.com/fashion/2842495(2008年4月17日付 モードプレス)]
【業界の対応】
[仏、伊、米、英の]4か国代表会議に参加したフランス・オートクチュール協会(The French Couture Federation)のディディエ・グランバック(Didier Grumbach)会長は「我々は、問題の原因は‘規制’よりも‘情報’にあるという見解で一致した。各国が協力して問題に取り組んでいくことになっ た。」とコメント。正しい情報提供が拒食症を含む健康問題全般に対する最善策ではないか、という結論だ。/会議には、フランス・オートクチュール協会の他 に、イタリアファッション協会(Camera Nazionale della Moda Italiana)、アメリカファッション協議会(CFDA)、イギリスファッション協会(BFC)から代表が参加した。各国が自国の政府とともにこの問 題を積極的に取り組むことを確認。[出典:(http://www.afpbb.com/fashion/1272955)]
【医学的所見】
神経性食欲不振症(anorexia nervosa)は,若い女性にみられることが多く,器質的ならびに特定の精神的な疾患がないのに,食行動の異常と高度のるい痩を示す病態をさす. DSM‐IVならびにICD‐10では,以下の項目を満たすことが必要とされる.1) 標準体重の−15%以上のやせ,2) 体重減少は「太る食物」の拒否,自己誘発性嘔吐,下剤の自発的使用,過度の運動,利尿薬の使用などにより患者自身によって引き起こされる(ICD‐10の み),3) 肥満することへの極端な恐れ,4) 身体イメージの障害(やせ細っていても「太っている」と主張する),5) 無月経をはじめとする内分泌系の障害.その他の症状として,さまざまな食行動の異常(過食,隠れ食い,盗み食いなど),栄養不良による二次的な身体症状 (低血圧,徐脈,うぶ毛密生,貧血,低カリウム血症,脳萎縮など),治療に対する抵抗,情緒不安定などが認められることが多い.実地臨床では予後のよい神 経症圏の症例から,人格障害を背景にもつ重症例までさまざまである.したがって本症の根本的な原因は現時点では明らかではなく,本人の人格的脆弱性,家族 関係や発達課題などの心理機制,生物学的要因,社会文化的要因などが相互に複雑に影響しあって発症すると考えるのが妥当である.近年の特徴は,過食を伴う 非定型例や神経性過食症bulimia nervosa(→過食症)が増加し,年齢的には思春期のみならず小児期から成人,既婚者まで層の広がりがみられる.
出典:『南山堂医学大辞典(第18版)』
【若い学生への注意喚起】
神経性食欲不振症/神経性無食欲症(anorexia nervosa)は、拒食と過食が繰り返すだけの典型症状だけではありません。また、ただ単に(拒食時に)栄養不足になるだけでなく、低カリウム血症で、 亡くなるケースもまれではありません。思春期の一過性の病気だと思わないようにしましょう。
【アナの母親】
Mother's plea: modelling isn't worth life
-The mother of a Brazilian fashion model who died from anorexia has made an emotional appeal for parents to take better care of aspiring models.
-Ana Carolina Reston, 21, died in hospital on Tuesday from an infection caused by anorexia. She was about 1.72 metres tall but weighed only 40 kilograms. This is considered a normal weight for a 12-year-old girl no more than 1.5 metres tall.....
-"Take care of your children," Reston's mother Miriam told O Globo newspaper. "No money is worth the life of your child. Not even the most famous (fashion) brand is worth this." She said her daughter had been trying to help her family with the money she made as a model.
-Ms Reston spoke on national television and to local newspapers to highlight the issue. She said she had pleaded with her daughter to eat more and to see a doctor.
-"She would reply, 'Mummy, don't mess me around,"' she told one paper.
-Over a picture of Reston wearing lingerie, the tabloid O Dia ran the headline: "Dictatorship of skinny look kills a model."
source:www.theage.com.au/news/entertainment/mothers-plea-modelling-isnt
-worth-life/2006/11/17/1163266782092.html(ただし下線は引用者)
【サイド・ストーリ】アノレクシア・ミラビリス(Anorexia mirabilis)
アノレクシア・ミラビリス(Anorexia mirabilis)は、中世からある女性や少女におこった「食欲不振の奇跡」のこと。「驚異的な断食(prodigious fasting)」ともいわれる
Anorexia mirabilis literally means "miraculous lack of appetite". It refers almost exclusively to women and girls of the Middle Ages who would starve themselves, sometimes to the point of death, in the name of God. The phenomenon is also known by the name inedia prodigiosa ("prodigious fasting") -アノレクシア・ミラビリス( Anorexia mirabilis)
ドミニコ会員だった、シエナの聖カタリナは、自宅で修行に中に厳しい禁欲を課し、「カテリーナは多くの厳しい自己鍛錬の行を行い、日課として睡 眠と食事を削った。カテリーナは非常に食が細いことで知られ、彼女は自分が吐き戻したものも食べていた。 彼女は、聖餐以外の生涯の大部分を断食していたことで特に有名であった。カテリーナがもっと自分で食べようとしているのを知った聖職者たちは、彼女に食べ させようとしたが、失敗に終わった。しきたりとしての断食は中世後半に普通に行われており、カテリーナの断食のやり方はキリスト教の模範と照らし合わせて も突出」シエナのカタリナ(Santa Catalina de Siena, 1347-1380)
●モデルの存在意義が「社会が必要とするイメージの利用」によるものだという雄弁な解説
Looks aren't everything. Believe me, I'm a model. | Cameron Russell
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リンク
文献
その他の情報