学部教育の改善について
学部教育の改善については、カーネギー財団ボイヤー委員会(ウェブでの調査では未確認:Carnegie Foundation for the Advancement of Teaching というのがある)では、以下の10項目が示された(天野明弘 2008:70-71)。以下の引用は(天野 2008:70-71)によるものである。
1)研究を基本とした学習を基準にする。大学は教えるところではなく、学ぶところ。知の発見や創造、応用することの喜びを学ばせるために、 クリティカルな見方や応用、拡張への意識をもたせる。
2)初年次の教育を、調査、探求、問いかけを基本にしたものを構築する。1.知的成長を感じられる教育、2.学部教育をうける上で必要なス キルの2点を重視。
3)初年次を展開させるために2年次以降を考える。調査、プレゼン、質問、意見発表を重視する。
4)学際教育への障がいを取り除く。専門の要件を緩やかにして、学際的な単位取得を可能にする。
5)学生のコミュニケーションスキル獲得と通常の授業をリンクさせる。(なんの?―池田註)結果の発表は教育の重要な要素であり、分析方 法、複雑な内容を明確に説明するスキルと授業運営を関連させる。
6)情報技術(IT)を創造的なやり方で活用する。
7)最終年度では、それまでにまなんだ勉強とコミュニケーションスキルが十全に発揮できるような機会をもうける。
8)大学院生に学部学生の教育や指導を経験させる(UCバークレーはその典型―引用者註)。学部上級生や大学院学生のTAによるチューター 制や大学院学生に授業の機会をつくり、両者に教育の双方向制を学ばせる。
9)教員の報酬制度を見直し、研究と教育の双方から評価する。知の探求は研究と教育の相乗効果からうまれるゆえに、研究評価と教育効果の相 関が高まるように評価法を改善せよ(そんなスーパーパーソンのようなものだけが生き残る大学はつまんないのでは?―引用者註)
10)大学は学ぶ者のコミュニティ。大学への帰属意識は、しょせん学びの現場におけるコミュニティ意識を高めることが重要(そのとおり―― 引用者註)
補足:包括的スキル(ジェネリックスキル)について:同じく天野(2008:72)による解説より
1)アイディアや情報を収集し、分析体系化すること
2)アイディアや情報を表現すること
3)活動を計画、組織化すること
4)他の人やチームの中で活動すること(→新規集団におけるコミュニケーションと活動能力:引用者註)
5)数学的アイディアや技法が使えること
6)問題を解決すること
7)技術をもちいる(使える?)こと
リンク
池田光穂「問題にもとづく学習」(PBL, PBL)
文献
天野明弘、2008「大学生のコミュニケーションスキル教育:『スタディ・スキル入門』の刊行によせて」『書斎の窓』(有斐閣広報誌)、 No.275、Pp.70-74