対人援助学
Science for Human Services, (lit.) Interpersonal Support Studies, Interpersonal Asssistance Studies
解説:池田光穂
対人援助とは、臨床コミュニケーション(→リンク)が生起する場における「具体 的な結果」が、援助者と被援助者の双方が満足するような行為実践であると定義することができる。そのため、対人援助に関する理論、基礎ならびに応用研究の 総体を、対人援助学と呼ぶことができる。
対人援助学とりわけ「人間サービスのための科学」(Science for Human Services)という名称は、立命館大学大学院応用人間科学研究科の望月昭・教授(2008年8月20日)の提唱によるもので、彼はそれを、知り、教 え、治すという概念に対峙する「助ける=支援」を中心概念に据え、臨床心理学の観点からアプローチしている。また同教授を中心に、対人援助学学会の設立へ の動きがある[2009年に学会が立ち上がった]。
しかしながら、そもそも援助することに対峙するものとして考えられている「知る」ことやそれを「教える」ことを冠した学(=学問や研究)をその 用語に含まれているために、このような望月の定義のやり方そのものは矛盾している。むしろ、知り、教え、治すということと、「助ける=支援」することは、 これまでの学問研究のスタイルが暗黙の前提としてきたようにばらばらのものではなく、それらは相互に連関している。したがって、対人的支援 (interpersonal assistance)に関する学問は、その援助がおこなわれる実践状況の現場(→現場力) において捉え直され、観察や観想の対象として再び(→フロネーシス)捉え直されるべきであるという、新しい学問の提唱として理解すべきであろう。
文献
望月昭 編『対人援助の心理学』朝倉書店、2007年
望月昭 「対人援助学と特別支援教育」神戸市特別支援コーディネータ研修ハンドアウト資料(2008年8月20日)
http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~mochi/kobe0820.pdf
望月昭「対人援助学のすすめ」(望月教授 のブログ)
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