機会費用
きかいひよう、opprtunity cost
解説:池田光穂
機会費用とは、使われなかった選択肢によって得られるであろう(最善)価値のことをいう。
ある会合がキャンセルになっての私の得失について例をとって考えてみよう。
私は、研究室での原稿執筆(5時間かければ1回2万円原稿料の連載が1本分書けるとする)を、キャンセルして、往復3時間、会議時間2時間の会 議に出席しなければならないとする。往復の電車賃は1,500円である。
もし会議がキャンセルされたことを主宰者側の都合で現場で知らされたり、会議の内容が単純に時間の浪費レベルのものであれば、この5時間の損失 に関わる機会費用は、1,500円プラス20,000円で合計21,500円である。
機会費用は、冒頭の定義のように最善の価値のことをいう——つまり、会議をキャンセルして5時間以上の原稿をそれ以上の余計な労力をかけずに成 功する場合がある一方で、時間がかかったり、アイディアを補充するために、図書館へ寄ったり、ネットのサイトで必要な文献を注文する損出については考えな い。
逆に、会議を主催する側の人間も、私がそれだけの機会費用が(潜在的に)かかっているということを考慮してまで、会議に招致しているわけではな いと考える ので、主宰者が謝ればなんとかなるだろうと考える。
つまり、機会費用は、期待する側には未来の効用を最大化して見積もる一方で、期待してない側には(ありえない潜在力の過大評価という点で)法外
なコストに映る。謝罪や補償にあたる機会費用の算出は双方の(主張の強さを考慮した)期待値の平均ということになる。
機会費用というのは、得られた幸福などにも(拡張して)計算や適用が可能である。したがって、この考え方は、使われなかった治療の選択肢によっ て得られるであろう最善の価値についての考え方が、当事者(患者とその家族)と治療者(医療者やシャーマンなど)で大きく齟齬をおこすことについて、説明 が可能である。
ADR(裁判外紛争解決)などの医事紛争解決などでは、対話や紛争解決のゲーム理論が用いられるが、その考え方にも機会費用の思想の考え方が大きく蔭を落としてい るとみたほうがよい。
The opportunity cost, or alternative cost,
of making a particular choice is the value of the most valuable choice
out of those that were not taken. When an option is chosen from
alternatives, the opportunity cost is the "cost" incurred by not
enjoying the benefit associated with the best alternative choice. - opportunity cost.
Sunk cost (also known as retrospective cost) is a cost that has already been incurred and cannot be recovered.
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