障害調整生存年数・ダリ
Disability Adjusted Life Years, DALY
解説:池田光穂
クリストファー・マーレイらが提唱した、傷病や障害の程度や期間によって重み付けをした生存年数の指標。ダリの産出は以下の計算式による。
DALY = YLL + YLD
YLLとは、Years of Life Lost のアクロニムで、死亡数と(年齢階層別の)平均余命の積である。
YLD とは、Years Lost due to Disability の略語で、(障害発生数)×(障害の重度)×(余命の損失年数)
この計算式から一目瞭然で、ダリ(DALY)に対する批判は、次のように指摘することができる。障害の重み付けの恣意性ならびに障害後の余命に与え る環境要因――例えば福祉制度がゆきとどいた先進国の障害者と公的で安価な福祉システムが期待できない国家・地域・時代状況とでは、余命の損失年数や重度 を均質にとらえることができない――などが考慮できないアバウトな指標であることがわかる。
このような小手先の指標が開発されてきた背景には、もともと死亡を指標にする生者の健康状態の表すという「古典的方法」――私は古典主義的方法と言い換えたい気分である――が、統計的手法の洗練化によってある種の限界、ある種の破綻を招き、かつまた健康転換という状況のなかで、生者の傷病や障害という生命の質を、余命との関連性のなかで論じようというトレンドが、国際保健の比較研究のなかで要請されてきたからである。
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