対人関係トラブルの患者
対人関係トラブルの患者
【文脈】
ルミさんは、華者な体つきで、背中まで届く長い髪の女性である。ロマンティックな雰囲気の白いブラウスや、手の込んだビーズのアクセサリー を身に着けていることが多い。短大を卒業後、ファッション関係のメーカーに勤めたが、「残業の多さと同僚との人間関係のストレス」から、リストカットによ る自殺を図り、それを契機に退社。その後は、いくつもの職場を転々と移り変わっている。最近、「恋愛関係のもつれ」から、またリストカットによる自殺を図 り、精神科に入院することになった。世間体を重視する家庭に育ち、立ち居振る舞いはしとやかで礼儀正しいが、なにか気に障ることがあると、突然人が変った ように怒りを爆発させることがあり、他の入院患者とのあいだでトラブルが続発。それについての相談を看護師に持ちかけるが、看護師の助言が歪曲されて他の 患者に伝わり、それが元でまたトラブルが起きることもあり、看護師は対応に困っている。
【看護=ケアに関する補足説明】
看護師の職務の範囲は、医師がおこなう医療業務の補助のほかに、(看護領域の主たる実践とみなされている)看護=ケア、すなわち患者の当事 者の身体ならびに心の状態を慮り、適切な医療を受け入れるためのさまざまな生活上の支援をおこなうことがある。この看護=ケアは、看護職の専門的知識や技 術などに支えられている独自の領域であるが、同時に本人(=セルフケア)やそれに配慮して看まもる身の回りの人(一般的には家族)にもできることがらが多 くあり、その間の境界は実際にはあいまいである。すなわち看護=ケアとは、ごく普通の人がおこなえる領域から極めて専門性の高い技法や気づき、あるいは高 度に組織化されたチームでしか対応できないものまで幅の広い実践(=ケア実践)をカバーしている。
【課題】
以下は、ルミさんの看護師に対する(はたらきかけの)会話である。このような会話に対して、看護師はどのように接遇し、対話すべきだろう か。看護師の職務というよりも、すべての人がもつケア能力という観点から、その接遇やどのような対処が必要なのか考えてみよう。ただし、ルミさんは精神科 病棟にいるという文脈のなかでの対応に限定して考える必要がある。
【ルミさんの発話】
(会話例については授業資料には掲載していますが、このウェブページでは省略しています)
この事例の出典は(菅佐ほか 2009:58-63)から取りました。
文献
菅佐和子・宮島朝子・若村智子・鈴木和代『看護ケアのコミュニケーション術』医学芸術社、2009年
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