かならず 読んでください

時間とコストに関するもうひとつの考え方

On alternative evaluation of "Time & Costs"

池田光穂

以下の文章を読んで、みなさんで議論しましょう。

「荘子の数多くの徳目の一つに、画の巧みさがありま した。王は彼に蟹の画を求めました。荘子は五年の猶予と、また十二人の召使いを備えた屋敷が必要だと言いました。5年後、画はまだ描き始められていません でした。「さらに五年、御猶予を頂きとうございます」と荘子は言いました。王はそれを許しました。こうしてまさに十年が過ぎさろうとしたとき、荘子は絵筆 をとると、一瞬のうちに、ただの一筆で一匹の蟹を描き上げました。かつて誰一人、目にしたことがないほど完壁な出来栄えの蟹でした」。(イタロ・カル ヴィーノ『アメリカ講義』米川良夫・和田忠彦訳、岩波文庫、岩波書店、2012:104-105)

  1. 王様にとって、蟹の絵を所望するのに、はたして、時間とコストはかかったのだろう か?
  2. 荘子(この状況においては王室お抱えのアーチストの位置を獲得しているようだ)は、 蟹の絵を描くのに、時間とコストはかかったのだろうか?
  3. 蟹の絵(=芸術作品)にとって、描かれるまでに、どれくらいの時間とコストがかかっ たと言えるのか?
  4. この絵は、端的にいって、作製されるまでにはたして時間がかかった(約 10年未満)のだろか?それとも時間がかからなかった(「一瞬のうちに、ただの一筆で」)のか?
  5. この絵に、今日の貨幣価値からいって「時価総額」をつけるとすれば、ど のくらいの価格が妥当か?

参照

「君の眼の前にある本には、『情報』が詰まっとるん じゃな いんだ! 書架には君がその本を読んで消費する『時間』というものが詰まっておるのぢゃ!」――アタリ教授の審問

かにのおりがみ

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