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哲学者〈対〉医者(1959: 165-166)

Paradoxia epidemica

池田光穂

■哲学者〈対〉医者(1959: 165-166)

〈ガリレオによる摘要=神経の起源がどこであるのかを決める際のある哲学者の滑稽な答〉

サグレド「……ある日、ぼくはヴェネツィアで非常に尊敬されている医者の家にいたのですが、そこえはしばしばあるものは研究のため、あるものは好奇心から 解剖学者――熱心で熟練しているだけでなく実際学問もある――の手による解剖の執刀を見るために集まっていたのです。ちょうどその日はガレーノス学派の医 者と逍遙学派の医者との間で有名な論争のある神経の起源と発端とを探究しようということになりました。この解剖学者は、神経の一番太い幹が脳からはじま り、頸を通り、それからどのように脊髄を沿って下り、身体中に分枝しているかということ、またどのようにそのうち糸のようなごく細い繊維のみが心臓に達し ているかということを示しました。……

〈ガリレオによる摘要=神経の起源についてのアリストテレスと医者との意見〉

〈ガリレオによる摘要=神経の起源についてのアリストテレスと医者との意見〉
そして逍遙学派の哲学者として知られているある紳士の方に向かって、その眼前で特別熱心にすべてを剖き示して、彼に神経の起源は脳であって心臓ではないこ とを十分満足ゆくまで確認したかどうか尋ねたのです。するとこの哲学者はしばらく黙って考えたのち、つぎのように答えました。「あなたはぼくにこのことを こんなにはっきり明らかに見せてくれたのですから、もしアリストテレスのテキストがこれを反対のことをいっているのでなければ――、というのはそれとはっ きりと神経は心臓から発しているといっているからですが――きったと真実だといわねばならないでしょう」と。(1959: 165-166)(この後サグレドによるアリストテレス崇拝の弊害と、シンプリシオの防戦)

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