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アメリインディアンとは?

On the people, so called "Amerindian"


池田光穂

アメリインディアン(amerindian) と は、新大陸であるアメリカ(合州国のことではなく、南北両米大陸のこと)の先住民のことをさす。アメリカインディアン(america indian)の短縮形とも考えるが、多くの文脈では、北アメリカ先住民の――アメリカ合州国のテリトリー内の ――ことをさすために、このような呼び方が代替的に使われてきたようだ。OEDには、amerindian の同義の名詞あるいは形容詞として amerind と使われているとの指摘があり、同辞書によると20世紀の初頭からであるという。その用例は、

1900 Ann. Rep. Bur. Amer. Ethnol. 1897–98 i. p. xlviii, The tribal fraternities of the Amerinds.    Ibid. ii. 835 The four worlds of widespread Amerindian mythology.    1901 Dellenbaugh N.-Americans Yest. 247 The communal principle of living had much to do almost everywhere with the size and character of the Amerind houses.    1902 Man II. 101 A group of Amerind tribes are known as Algonquians.

とある。しかしながら、現在の用法だと、南米の先住 民のことを意味することが多く。ウィキペディア(英語)の項目"Indigenous peoples of the Americas"には、アルゼンチン(スペイン語圏)では、アボリヘン(Aborígen)と呼ぶが、ガイアナ (英連邦加盟国)ではアメリインディアンと呼び、他の国でもそれに準ずる呼称をしていると記述し、その根拠を、世界的な規模の非営利・非政府系の先住民保 護団体であるサバイバル・インターナショナルの用語法のウェブページから引いている(http: //www.survivalinternational.org/info/terminology)。当該箇所のサバイバル・ナショナルの説明では、 なぜガイアナでこのような説明が定着したかというと、同じ英連邦加盟国であるインドの民つまり、インディアンとの区別をつけるために、この用語があるとい うことだ。同様な混同を避ける用法に「西インド諸島」というものがあることは御存知のとおり。ともに、コロンブス一行が新大陸の人たちと出会った時に、そ こをインドと間違えたという逸話から来ている。

先に触れた、ウィキペディアの両アメリカ大陸 (the Americas, las americas)の先住民の項目によると、アメリインディアンの推定人口は約480万人である。アメリインディアン全体の研究は、スミソニアン研究所な どの機関による長年の支援による、Handbook of American Indians North Mexico(1907-1910)、Handbook of North American Indians(1978- )、Handbook of Middle American Indian(1971-1976)、Supplement to the Handbook of Middle American Indians(1981-1985)、Handbook of South American Indians(1940-1947)などが、ある。『南アメリカインディアン・ハンドブック』を編纂したジュリアン・スチュアード(Julian Steward, 1902-1972)によると、南北のアメリカの先住民は文化的にみて、北米と南米の巨大二大集団に分類されて、メソアメリカ より、つまり現在の、ホンジュラス東部より南からパナマにかけては「中間地帯」という両大陸の特徴をもつと説明されている。

アメリインディアンの末裔は、2万年か2万5千万年 前に、北アメリカ大陸北西端のベーリング海峡が氷により徒歩可能な時期に、シベリアを経由してモンゴ ロイドが移住した末裔であることがわかっている。赤ちゃんにみられる蒙古班や、母から子に伝わるミトコンドリアの遺伝子から、現在の南北両大陸に住むラテ ン系の混血の人たちには、アメリインディアン起源のルーツが認められていて、彼/彼女らの「大いなる母」を共有していることは間違いないようだ。もちろ ん、日本や韓国あるいはモンゴルの人たちにとっては「大いなる伯母」さんにあたるわけだが……。だから、先住民やそうでない民の間の人種差別を正当化した り、国家という了見の狭い統治単位に括られている国民の間での優劣の話をジョークだと考えない連中が、いかにスケールの小さい奴であり、人類の歴史的伝統 を軽視することがこれでおわかりになったことであろう。

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