かならず 読んでください

文科省はどんな大学卒業生を期待しているのか?

――日本人に期待されているコミュニケー ション能力とは?――

池田光穂

かつて文部省(当時)の荒木萬壽夫(ますお)大臣が 1963年6月24日、中教審(中央教育審議会)に諮問した「期待される人間像」に対して、その3年5か月後の1966年10月31日づけで「後期中等教 育の拡充整備について」の答申をまとめた。この答申の内容は、青年に対して愛国心や遵法精神を陶冶させようとして、後の、大学紛争(70年安保闘争)にお いても、批判のやり玉にあがった。「期待される人間像」という言葉は、保守反動の自民党長期政権を批判する文言として、多くの人たちの膾炙された言葉であ る。

その後、教育基本法改正(多くのひとたちは改悪と呼 んでいるが)をへて、文部省ー文科省が、国民教育を通して、国家に忠実な人民を陶冶することに関心を傾注し、個人の人権や個人の幸せの追求は、エゴイズム として後回しにされて、内外の文化人類学者が指摘する、集団主義のイデオロギーに与する国家教育方針が現在まで続いていることは、承知のとおりである。

しかし他方で、文科省は、そのような空文のイデオロ ギーよりも、産業界に期待される、より具体的な能力のある児童・生徒・学生を育てようとするテクノクラート的な発想や理念も同時に維持していることも事実 である。これは、文科省にとどまらず、霞が関で「国家・国民に忠誠をつくして」奉職している多くの役人の公的エートスであることも否定できない。

下記に示すのは、中教審答申から44年後の、文科省 のキャリア教育・職業教育特別部会(第30回) 配付資料からの抜粋である。

文章(ヘッダー)は「基礎的・汎用的能力についての 提言の例」として、中教審以外にも、国立教育政策研究所、経済産業省研究会、厚生労働省などの提言をとりまとめた、優秀な比較対照表である。

どの項目にも、コミュニケーション能力を陶冶するも のがあげられている(コミュニケーションという用語のない経済産業省のものでも「チームワーク」の中にその能力の具体例がみられる)


http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo10/shiryo/attach/__icsFiles/afieldfile/2009/07/16/1278415_1.pdf

文献

    1. 後期 中等教育の拡充整備について (第20回答申(昭和41年10月31日))
    2. 資 料の出典は、文科省のキャリア教育・職業教育特別部会(第30回)(2010年)配付資料ウェブページ
    3. コミュニケーション・デザインとは何か?
    4. 4つの学際について


(c)Mitzub'ixi Quq Chi'j. Copy&wright[not rights] 2015

Do not paste, but [re]think this message for all undergraduate students!!!