文化表象学入門
What is cultural
representation?
(1)文化表象学(ぶんかひょうしょうがく)とは?
文化表象学とはひろく文化表象(ぶんか・ひょうしょう)に関する研究です。表象とは representation (リプリゼンテーション)のことです。文化表象とは、この ひょうしょうに「文化」という形容詞(=文化的)あるいは名詞が直結していることがわかります。
文化表象学とはひろく文化表象(ぶんか・ひょうしょう)に関する研究に従事している熊本大学文学 部の教育と研究組織の総称として使っていました(現在はその組織と名称はありません)。一般的には、文化人類学・民俗学の領 域で、文化記号論がカバーする領域を指し示す言葉でした。しかしながら、文化表象を取り扱う学問として文化表象学あるいは文化表象論という学問がなくなっ たわけではありません。
◆ 文化表象学(Studies of Cultural representations)
■ 記号論・記号 学(→ジョン・ディーりー『記号学の基礎理論』大熊昭信訳、法政大学出版局、1998)
(2)表象(ひょうしょう)とは?
表象とは representation (リプリゼンテーション)のことです。
リプリゼンテーションを英語の辞書で引いてみましょう。つぎのような訳語がみつかるはずです。
■ 表示・表現・描写
■ 想像・概念・表象
■ 上演・演技
■ 代表・抗議
これらの表現にはある共通した特徴があります。それは、あるものを代表する(=代議員で集団を代 表する)、あることを別の表現であらわす(=楽譜や脚本を演奏や上演をとおして表現する)という意味です。
(3)文化表象(ぶんかひょうしょう)とは?
文化表象とは、このひょうしょうに「文化」という形容詞(=文化的)あるいは名詞が直結している ことがわかります。ここには2つの意味をみつけることができます。
(a)文化を表象すること、と(b)表象のうち文化的なもの、です。
私たちは、この文化表象という用語をとることで、人文社会科学研究における重要な概念を使ってい ることに気づきます。それは「文化」と「表象」です。
「文化」も「表象」についても、数多くの人文社会科学研究が、それらの個々のこと、あるいは、そ の両方のことについて議論してきました。私たちの研究も、これらの広大な研究成果の延長上にあることを任じています。
◆ 文化とは?
しかし、それと同時に、私たち自身の学問的オリジナル性を主張します。それらは次の3つの命題に 表現されます。
■ フィールドワークを通 して社会の現実を直視すること
■ 社会の現実についてのユニークな表象=表現方法(=エスノグラフィー)をとること
■ 表象を記 述することについて内省的吟味
クレ ジット:文化表象学(ぶんかひょうしょうがく)、はじめの一歩