かならずよんで ね!

中学2年生以上の人のための優生学

Eugenics for young kids and students

ワクチンの人体実験を受けた強制収容所の子どもたち (AUSCHWITZ-BIRKENAU MUSEUM)

池田光穂

上の写真をみてください。アウツシュヴィツの強制収容所において「ワクチンの人体実験を受けた強制収容所の子どもたち」 の写真です。写真をとったのはナチスの親衛隊の将校かそのカメラマンです。子どもたちのほとんどすべて(例外的な生存者がいるからその実態や経験が断片的 にわかるのですが)は、その後実験データをとられて、「処理」すなわち殺されました。なぜ、無垢の子どもたちが人体実験されたり殺されたりしたのでしょう か?

その理由は、このホームページでみなさんが勉強する はめになる「優生学=ユージェニックス」というの名の下で殺されたからです。したがって、過去の痛ましい経験から、若いみなさんが、このことを学ぶことはと ても重要だということが、なんとなく、今からでも予想できるはずです。

◎14歳から考えたい優生学  / フィリッパ・レヴィン著 ; 斉藤隆央訳, すばる舎 , 2021/ Eugenics : a very short introduction  / Philippa Levine. Oxford University Press , 2017 . - (Very short introductions, 495)

ちょっとむつかしいかもしれないけど「優生学=ゆうせいがく」について、以下の説明(英語と日本語)を読んでみよう

"In 1883, Francis Galton, a cousin of Charles Darwin, coined the word "eugenics" to express his dream of perfecting the human race by applying the laws of genetic heredity. Adapting Darwin's theory of evolution to human society, eugenics soon became a powerful, international movement, committed to using the principles of heredity and statistics to encourage healthy and discourage unhealthy reproduction. Early in the twentieth century and across the world, doctors, social reformers, and politicians turned to the new science of eugenics as a means to improve and strengthen their populations. Eugenics advocates claimed their methods would result in healthier, fitter babies and would dramatically limit human suffering. The reality was a different story. In the name of scientific progress and of human improvement, eugenicists targeted the weak and the sick, triggering coercive legislation on issues as disparate as race, gender, immigration, euthanasia, abortion, sterilization, intelligence, mental illness, and disease control. Nationalists eagerly embraced eugenics as a means to legitimize their countries' superiority and racialized assumptions, and the Nazis notoriously used eugenics to shape their "final solution." In this lucid volume, Philippa Levine tackles the intricate and controversial history of eugenics, masterfully synthesizing the enormous range of policies and experiments carried out in the name of eugenics around the world throughout the twentieth century. She questions the widespread belief that eugenics disappeared after World War II and evaluates the impact of eugenics on current reproductive and genetic sciences. Charting the development of such controversial practices as artificial insemination, sperm donation, and population control, this book offers a powerful, extraordinarily timely reflection on the frequent interplay between genetics and ethics. Eugenics may no longer be a household word, but we feel its effects even today."- "Nielsen BookData"

「1883年、ダーウィンの従兄弟にあたるフランシ ス・ガルトンは、遺伝の法則を応用して人類を完成させるという夢を表現するために、「優生学」 という言葉を創り出した。ダーウィンの進化論を人間社会に応 用した優生学は、やがて遺伝と統計の原理を利用して健全な生殖を奨励し、不健全な生殖を抑止しようとする強力な国際運動となった。20世紀初頭、世界中で 医師、社会改革者、政治家たちが、人口を改善し強化する手段として優生学の新しい科学に目を向けた。優生学の提唱者たちは、その方法によってより健康で健 康な赤ん坊が生まれ、人間の苦しみを劇的に抑えることができると主張した。しかし、 現実は違った科学の進歩と人類の改善の名の下に、優生学主義者は弱 者 と病人を標的にし、人種、性別、移民、安楽死、中絶、不妊手術、知能、精神病、病気のコントロールなど、さまざまな問題に対して強制的な法律を制定したの だナショナリストたちは、自国の優位性と人種的前提を正当 化する手段として優生学を熱心に取り入れ、ナチスは悪名高い優生学を「最終的解決策」の形 成に利用 したのである。この明晰な本の中で、フィ リッパ・レヴィンは、20世紀を通じて世界中で優生学の名の下に行われた膨大な種類の政策と実験を見事に統合し、 複雑で論争の的になっている優生学の歴史に挑んでいる。第二次世界大戦後、優生学は消滅したと広く信じられていることに疑問を呈し、現在の生殖・遺伝科学 に優生学が与えた影響を評価する。人工授精、精子提供、人口抑制など、論争の的となる実践の発展を描きながら、遺伝学と倫理の頻繁な相互作用について、極 めてタイムリーかつ力強い考察を展開している。優生学はもはや一般的な言葉ではないかもしれないが、私たちは今日でさえもその影響を感じている」。

◎14歳から考えたい優生学 / フィリッパ・レヴィン著 ; 斉藤隆央訳, すばる舎 , 2021/ Eugenics : a very short introduction / Philippa Levine. Oxford University Press , 2017).のコンテンツ(→「わたしたちが優生学について知っていることのすべて!!!」)

1: The World of Eugenics
優生学の世界
科学的起源と社会的起源
優生学と社会改革
さまざまな優生学
国家への帰属
優生学とナチズム
だれが優生学者だったか
優生学と科学と文化
だれが優生学に出資したのか
優生学の教育
宗教
優生学への抵抗 

2: Intelligence Chapter
優生学と知能
精神薄弱の定義と分類
社会環境の変化と知能
知能テストの起源
テストがメジャーになる
集団への実施へ
教育と隔離
道徳的危険
人種と知能
批判者

3: Reproduction
優生学と生殖 生殖を奨励する
生殖と積極的優生学
性教育
人工授精
避妊
中絶
安楽死
優生学的断種
断種と法廷
断種への反対
断種の性別

4: Race, Class, and Gender
格差と優生学
民族衛生と、国家の概念
性別/ジェンダー
階級
人種
人種の混合
移民

5: Eugenics after 1945
一九四五年以降の優生学 ニュルンベルクの医師裁判とその影響
人口抑制
遺伝学、生物学、優生学
異論
人種と遺伝学
前途
ニュルンベルクの医師裁判
ニュルンベルク医師裁判とその周辺.
・ニュルンベルク・コード(医師裁判を教訓に1947年8月に定められた医学実験の10項目の倫理コード)

◎これより詳しく知りたい方は、是非とも「優生学大全(all about Eugenics)」を参照してください。

●優生学辞典(数字は和書のページ)

優生学の現代▶︎アメリカ合衆国の優生学▶︎︎優生学大全▶︎各国別比較:優生学の年表▶︎︎ナチ人種衛生学・ナチ優生学の時代マディソン・グラントと優生学の時代︎▶︎︎人種衛生学︎アルフレー ト・プレッツ▶︎︎アルフレッド・グロートヤーン社会ダーウィニズム︎▶国立人種生物学研究所(ウプサラ)︎︎▶︎フリッツ・レンツ▶ナチのバイオポリティクス(1943)︎︎▶︎オイゲン・フィッシャー▶︎︎生命倫理学関連年表▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎

★は優生学に批 判的な研究者たち サラマン,レッドクリフ・ネイサン(50)
ポペノー, ポール(42,51,168,206,218-219,183,153,173,109,114)
ジョンソン,ロズウェル (51,168,183,206,219)
イング,ウィリアム(52)
★フートン,アーネスト(55,102)
★ジェニングズ,ハーバート (25,55,100)
★ホグベン,ランスロット(55-56)
ヨハンセン,ウィルヘルム(55)
★ペンローズ,ライオネル (56,100,241)
★モール,オットー・ロウス(56)
★ロリア,アキレ(57)
★ラッセル,バートランド(57)
★チェスタトン, G.K.(58)
ゴールトン『遺伝的天才(1869)』
ゴー ルトン,フランシス(13,16,18,41,47,60- 61,65,68,70,92,182,195,53,60,168,182)
メンデル、グレゴール
ダーウィン,チャールズ
ダーウインのパラドックス(65)
ヴァイスマン,アウグスト(16-17)
ヴァ イスマンのバリアー
ピアソン,カール(18,163,198)
ウェルドン,ウォルター(18)
ジーメンス,ヘルマン• ヴェルナー(18)
へス,ルドルフ(19)
ユージン,チホン(19)
ノルダウ,マックス(21)『退化論』
ロンプローゾ,チェーザレ(21)
エリス,ハヴロック(22)
ラ テン国際優生学協会連合(24,141)
ジェニングズ,ハーバート(25,55,100)
人種学(Rassenkunde)(29)
レ一ベンスボルン/生命の泉(ドイツ)(31)
ヒムラ一, ハインリ ッヒ(31,192)
ディーキン,アルフレッド(32)
ジョー ダン,デイヴィッド・スター(32,40)
スターリン、ヨシフ(18,33,101,104)
ミュルダール,アルヴァ(34)
ミュ ルダール,グンナー(34,43)[on eugenics]
コリンズ,ウィルキー(35)
リドストン, G. フランク(35)
ウェルズ, H.G.(36,39)
ポペノー, ポール.(42,51,168,206,218-219)
ク レペリン,エミール(43)

キンゼイ, アルフレッド(44-45)

ゴルトシュミット,リヒャルト(50) ダグデール,リチャード(66)
スピアマン,チャールズ(69)
ビネー,アルフレッド(68,78)
シモン,テオドール(70,71)
ゴダード,ヘンリー(72,75-182)
ターマン,ルイス(72-)
カレル,アレクシー(74)
ヤーキーズ,ロバート(79,81)
★ボアズ,フランツ(82)
ボ ンド、ホレス・マン(83)
田 中寛一(1882-1962)
ヴァルガス,ジェトゥリオ(105)
ド・プローゾル,シカール(115)
マラー,ハーマン・J.(120)
ヤコプス,アレッタ(123)
ストープス,マリー(124)
サンガー,マーガレット(124)
ハイゼルデン,ハリー(130)
ビンディングとホッヘ(130)
ケネディ、フォスター(132)
フィッ シャー、オイゲン(138)
テヘダ、アルベルト(139)
ラフリン、ハリー(140, 141)
フーヴァー、ハーバート(140)
リシェ、シャルル(141)
ケール、レナート(141)
マンリウ、イオアン(141)
マロリー、ジョン(142)
プリディ、アルバート(142)
バック、キャリー(143)
ハロー、エマ(144)
ホワイトヘッド、アーヴィング(144)
ストロード、オブリー(144)
エスタブルック、アーサー(144)
タフト、ウィリアム・ハワード(146)
ホームズ(Jr.)、オリバー・ウェンデル(146)
バトラー、ピアス(146)
★駒井卓(こまい・たく)148
パー ル、レイモンド(148)
フィッシュバイン、モリス(149)
パネット、ジレナルド(148)
ランドマン、ジェイコブ(149)
★ピウス11世(150)
★ピエリ、ジャン(150)
★ライアン、ジョン(151)
プレッツ 、アルフレート(155)
レ ンツ、フリッツ(156)
フェインマン、エンリケ(158)
ダ・クルス、カンディド(160)
シジウィック、エレノア(163)
カイト、エリザベス(164)
デンディ、メアリー(165)
ピンセント、エレン(165)
ケイ、エレン(167)
ショー、バーナード(167)
サリービー、ケイレブ(167)
シュタイナハ、オイゲン(169)
イェーツ、W.B.(169)
アサートン、ガートルード(170)
バーマン、ルイス(170)
マイルズ、キャサリン・コックス(171)
クーパー=ヒューイット、アン(172)
ジョージ5世(174)
パン・グアンダン(潘光旦)176 Pan Guangdan.
ラスキ、ハロルド(177)
リッター、ロベルト(181)
マヌイル、サビーネ(182)
アントネスク、イオン(183)
ヘルセーニ、トライアン(184)
ドヴォルニコヴィッチ、ウラジミール(187)
池田林儀(いけだ・しげのり)(187)
ブラガ、テオフィロ(187)
プーチ・イ・サイス、エルメネヒルド(188)
グラント、マディソン(189)
ミョエン、ヨン・アルフレッド(Jon Alfred Mjøen, 1860-1939)
ステッガーダ、モリス(190)
イースト、エトワード(191)
ジョーンズ、ドナルド(191)
ロケット=ピント、エドガー(191,193)
ドミンゲス、オクタヴィオ(193)
バスコンセロス、ホセ(193)
クック、セシル(193)
ネヴィル、A.O.(193)
ガリマラ、ドリス・ピルキントン(194)
ルンボリ、ヘルマン(195)
リシェ、シャルル(196)
アペール、ウジェーヌ(196)
ジークフリート、アルフレート(197)
モウル、マーガレット(198)
ロス、エドワード(199)
ニール、ジェームズ(206)
ビールス、ウォルター(208)
リューディ ン、エルンスト(211)
ケンプ、テイエ(212)
アイゼンハワー、ドワイト(214)
ギャンブル、クラレンス(214)
ボールディング、ケネス(215)
ショックリー、ウィリアム(215-216)
ガンジー、インディラ(217)
銭信忠(チェン・シンチョン)218
チャウシェスク、ニコラエ(219)
ミュア、レイラニ(224)
クーパー=ヒューイット(224)
スタンプ〈対〉スパークマン裁判(224)
シンスハイマー、ロバート(226)
ロスマン、シーラ;ロスマン、ディヴィッド(227)
ロバーツ、ジョン・フレイザー(228)
シルバー、リー(236)
サヴァレスキュ、ジュリアン(237)
パーソン、イングマール(237)
ハリス、ジョン(237)
ポーリング、ライナス(239)
グラハム、ロバート(239)
ドブジャンスキー、テオドシウス(241)
ヤング、マイケル(242)
ジャンセン、アーサー(244)
アイゼンク、ハンス(245)
ドレイパー、ウィクリフ(245)
ワーツ、ドロシー(250)






フィリッパ・レヴィンってどん な人?(『14歳から考えたい優生学』の著者の先生)

Philippa Judith Amanda Levine, FRAI, FRHistSは、大英帝国、ジェンダー、人種、科学技術の歴史家である。キャリアのほとんどを米国で過ごし、テキサス大学オースティン校のメアリー・ヘ レン・トンプソン百年記念人文科学教授(2010~17年)、ウォルター・プレスコット・ウェブ歴史・思想教授(2017年~)を務めている。1979年 から1984年までオックスフォードのセント・アントニーズ・カレッジで博士号(DPhil)を取得(当初はケンブリッジのキングズ・カレッジの大学院生 として、1980年から教育科学省の研究生として支援)。 [DPhilは論文「The amateur and the professional: antiquarians, historians and archaeologists in nineteenth century England, 1838-1886」に対して授与された[3]。1983年から85年まで、イースト・アングリア大学で歴史学の講師を務めたのが最初。その後、南オース トラリアのフリンダース大学で女性学の研究員として2年間過ごし、1987年にフロリダ州立大学へ助教授として赴任した。3年後、准教授に昇格。1991 年、南カリフォルニア大学歴史学部の准教授として移り、1994年に正教授となる。2010年にテキサス大学オースティン校の人文科学におけるメアリー・ ヘレン・トンプソン百年記念教授に就任[2]。 2017年よりテキサス大学オースティン校の歴史と思想におけるウォルター・プレスコット・ウェブ教授を務める[1]。1994年に王立歴史学会のフェ ロー(FRHistS)に、2014年にグレートブリテンおよびアイルランド王立人類学研究所のフェロー(FRAI)に選出された[2]。」https://en.wikipedia.org/wiki/Philippa_Levine.

◎"許容されうる医学実験 ("Permissable Medical Experiments")——ニュルンベルク・コード.

1.被験者の自発的な同意は絶対に不可欠なものである。

2.実験は、社会の利益のために実りある結果を生み出すようなものであるべきであり、他の方法や研究手段では実行不可能なものに限り、また無作為でも本質的に不要なものであってはならない。

3.実験は、動物実験の結果、及び病気の自然な過程についての知識、研究中の他の問題についての知識、に基づき設計され、予想される結果が実験を正当化させるものでなければならない。

4.実験は、すべての不必要な肉体的および精神的な苦痛や怪我を避けるものであるべきである。

5.死亡または身体障害を負う傷害が発生すると信じうる先験的な理由がある場合、実験を実施してはならない。ただし、場合によっては、実験医が自ら被験者としての役割も果たしている実験は除く。

6.起きうるリスクの程度は、実験によって解決されるべき問題の人道的重要性によって決定されるものを超えてはならない。

7.被験者を、わずかな怪我や障害の可能性から守るために、適切な準備と、適切な設備のもとで行われるべきである。

8.実験は科学的に資格のある人によってのみ行われるべきである。実験を行う者、または参加する者は、その実験のすべての段階を通して、最高度の技術と注意が要求されるべきである。

9.実験の過程で、被験者が実験の継続が不可能であると思われる肉体的または精神的状態に達した場合、実験を終了する自由を被験者に与えるべきである。

10.実験の過程で、責任者たる科学者は、その立場で求められる誠実さ、優れた技能、注意深い判断力、に基づいて、万一被験者に傷害、身体障害、または死をもたらす可能性がある場合には、いつでも実験を終了できるよう、備えをしておかなければならない。

ニュルンベルク・コード(サイト内リンク)

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Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1997-2099

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