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対話力と市民とのコミュニケーション 0627

ヘルスコミュニケーション2017

池田光穂

この授業のレクチャーの基盤は、2部構成から最初構 想されていた。ひと つは「対話力:言語と感情、「考え」/「気持ち」を伝えるこ との相違点、対話機能」であり、他のひとつは「臨床、OTC(カウンター越しのコミュニケーション)、集会」である。しかし、それらを統合する、新たな教 材が見つかったので、授業運営の戦略を変えることにします。ただし「対話力と市民とのコミュニケーション」の開講趣旨には変更点がありません。

今日は3つのキーワードが、授業が終わった時点で心 に残るようにしましょう。

1)薬害(重篤な有害事象:Serious Adverse Event, SAE)

日本語の薬害を定義すると「一旦は許認可された薬物 の使用により生じた有害事象(adverse event, AE)が重篤な社会事象にまで発展したもの」をいう。したがって、日本語の薬害は「重篤な有害事象(Serious Adverse Event, SAE)」の対応事象とみてよい。それに際して、通常の使用で生じる薬の予測のできない有害作用は、薬物有害反応(ADR)と言って、"An adverse drug reaction (ADR) is an injury caused by taking a medication"と定義される(Adverse drug reaction, by Wiki)。これに対して、副作用(side effect)は、薬物の使用がもつ治療目的とは無関係の作用ことで、薬物有害反応(ADR)よりも意味がより広くとられる。"In medicine, a side effect is an effect, whether therapeutic or adverse, that is secondary to the one intended; although the term is predominantly employed to describe adverse effects, it can also apply to beneficial, but unintended, consequences of the use of a drug." (side effect, by wiki)

日本でおこった薬害(問題)には、時間を遡ってみる と、次のようなものがあげられる:ワクチン禍(1990年代-);ライ症候群(1990年代-);スティーブンス・ジョンソン症候群(1990年代-); フィブリノゲン問題→薬害肝炎(1998年-2008年);ヒト乾燥硬膜→薬害ヤコブ病事件(1996年-2001年);ソリブジン(1993年);非加 熱血液凝固因子製剤→薬害エイズ事件(1989年-1996年);四頭筋短縮症(1970年代);クロロキン(1970年代);アンプル入り風邪薬 (1960年代);キノホルム(1960年代);サリドマイド(1960年代);ペニシリン(1950-1970s);グアノフラシン白斑(1951 年);ジフテリア予防接種(1948年から1949年)

2)レギュラトリー・サイエンス (regulatory science)

ウィキには、Regulatory science is the scientific and technical foundations upon which regulations are based in various industries – particularly those involving health or safety. とある。つまり「さまざまな産業、とりわけ、保健や安全を提供する産業において、制御=管理(コントロール)することが基礎となっている科学技術的基礎づ けのこと」あるいは、制御=管理を基礎づける科学そのものをさす。日本薬学会のレギュラトリーサエンス部会では「我々の身の回りの物質や現象について、そ の成因や機構、量的と質的な実態、および有効性や有害性の影響をより的確に知るための方法を編み出し、その成果を用いてそれぞれの有効性と安全性を予測・ 評価し、行政を通じて国民の健康に資する科学」と定義している(→出典「レギュラトリーサエンスとは」)。

このレギュラトリー・サイエンスを読み、先の薬害 (重 篤な有害事象:Serious Adverse Event, SAE)を関連づければ、薬学分野のなかには、このレギュラトリー・サイエンスを研究し、 教育する分野が不可欠であり、また、薬学分野全般にこの発想が具体的に実践の形で実装されていなければならないことが、薬学生なら容易に理解できるはずで ある。

3)対話を通した「薬物有害反応(Adverse drug reaction, ADR)」の回避にむけてのコミュニケーションデザイン

薬害の事案を学ぶことで、私たちは臨床現場でおこる 「薬 物有害反応(Adverse drug reaction, ADR)」を、患者や製薬品の消費者から、対話を通して情報を収集し、必要であれば、関係部署に報告し、有害事象、そして重篤な有害事象(薬害)を、それ ぞれの階層において未然に防ぐことができるし、また、そのように社会から期待されている。

資料:DVD『クロロキン事件:映像で学ぶ薬害シ リーズ「薬害の知識と教訓」』(財)医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団制作

https://www.pmrj.jp/publications/pub04_kyoikuDVD.html

「クロロキン事件」を取り扱ったDVDの観賞と、そ の後の議論

《課題》《課題シート》※パスワードありません:kadai-yakuCom170627.pdf

1.クロロキン事件において薬剤師が被害防止あるい は最小化に貢献できることがある考えられるところはあったでしょうか。一般論ではなく具体的に考えましょう。

2.上の1.でえられた考察から、このヘルスコミュ ニケーションの授業とどのように、受講生として関連づけることができるでしょうか。皆さんの提案をお聞かせください。

3.クロロキンの被害者が街頭でビラを配っていまし たが、多くの人々が無関心に通り過ぎていきました。それはなぜでしょうか。このような無関心な人々(社会)への働きかけを、薬剤師としてどのようにうけと りますか。

4.薬剤師の、患者に対する現場でのコミュニケー ション以外にも、さまざまな箇所で、薬剤師会という業界団体ならびに日本薬学会などの学術団体は、社会に対してコミュニケーションを展開しています。皆さ んが考える「社会に対するコミュニケーション」を立案=デザインしてください。

5.国が承認した薬にあなたが疑問を感じたとき(安 全性、有効性)、あなたは薬剤師個人としてどのように行動すれば、このような薬害被害を軽減ないしは無くすことができるとおもいますか。

《課題シート》※パスワードありません:kadai-yakuCom170627.pdf

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