テキスト分析「ゲノム配列を核としたヤポネシア人の起源と成立の解明」
Yaponesia 2018-2023
☆ このページは、「ゲノム配列を核としたヤポネシア人の起源と成立の解明」の研究の評価を、納税者である第三者の観点から分析するものである。得られた資料 は、すべて、日本学術振興会KAKENデータベースで公開されたものからである。
★ヤポネシア[wiki](Yaponesia) とは、「古い時代から日本列島に住んでいた人々を、斎藤(2015,2017a)は「ヤポネシア人」と呼ぶことを提案した。「ヤポ」は日本語をラテン語で はヤポニアと呼ぶことから、「ネシア」は「ポリネシア」や「ミクロネシア」というように島々を意味する。この言葉は、長く奄美大島に住んだ作家の島尾敏雄 が提唱したものである。ヤポネシアとカタカナあるいはローマ字(Yaponesia)で表記すると、漢字や別の発音で言われる問題も起きない」(斎藤 2019:16)——ヤポネシア(Japonesia サイト内)
★ヤポネシアゲノムの解説ページ
「ヤ
ポネシア(日本列島)には約4万年前に最初のヒトが渡来し、その後も何度か渡来の波がありました。この枠組みの中で、ヤポネシア人(日本列島人)はどのよ
うな集団にその起源をもつのか、ヤポネシアにおける成立・発展の過程はどうであったのかを、多地域から選別した現代人500個体と旧石器時代~歴史時代の
古代人100名のゲノム配列を決定し比較解析することで、ヤポネシア人ゲノム史の解明をめざします。ヒトとともにヤポネシアに移ってきた動植物について
も、それらのゲノム配列の比較から歴史を解明します。過去の人口増減の詳細な歴史を、ゲノム配列から推定する既存の方法や新規に開発する方法を用いて、再
構築します。ヤポネシア人の歴史を多方向から検討するために、これらゲノム研究と、年代測定を取り入れた考古学研究や、日本語・琉球語の方言解析を含む言
語学の研究グループとの共同研究を行ないます。これらから、文理融合のあらたな研究領域を確立します。」http://yaponesian.org/)
ゲノム配列を核としたヤポ
ネシア人の起源と成立の解明(報告書類ポータル) |
研究領域
ゲノム配列を核としたヤポネシア人の起源と成立の解明 研究課題/領域番号 18H05505 研究機関 国立遺伝学研究所 研究代表者 斎藤 成也 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 教授 (30192587) 研究分担者 篠田 謙一 独立行政法人国立科学博物館, その他部局等, 研究調整役 (30131923) 遠藤 光暁 青山学院大学, 経済学部, 教授 (30176804) 藤尾 慎一郎 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30190010) 木部 暢子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語変異研究領域, 教授 (30192016) 鈴木 仁 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (40179239) 長田 直樹 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (70416270) 研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2023-03-31 キーワード ヤポネシア / 現代人ゲノム / 古代人ゲノム / 考古学 / 言語学 |
2018
年度 実績報告書 |
研究実績の概要 実質的に、2018年7月から、本新学術領域研究「ヤポネシアゲノム」がはじまった。7月に第1回総括班会議を開催した。9月に公募研究の説明会を開催し た。全体会議を11月に青山学院大学で開催し、計画研究の研究代表者と研究分担者の大部分が出席した。第2回総括班会議も開催した。同年9月には北海道大 学にて「歴史はやわかりセミナー第1回」を開催した。12月には韓国の遺跡を訪問するとともに、釜山大学で第3回総括班会議を開催した。2019年3月に は京都駅前で公開講演会・第4回総括班会議を開催し、同じく1月に北海道大学で若手研究集会を開催した。このほか、10月に三島市の市民文化会館と国立遺 伝学研究所で開催された日本人類学会で本新学術領域関係のシンポジウムを4個開催した。 2019年2月にB02言語学班の班会議が石垣島と与那国島で開催されたが、他の研究者も多数参加して、学際的な研究会となった。2019年1月には、ド イツのイエナで開催された言語学・考古学・遺伝学の国際会議に本新学術研究の関係者4名が招待され講演した。 本新学術研究の活動を広く知っていただくために、季刊誌Yaponesian(領域代表の斎藤成也が編集長をつとめ、総括班の研究分担者とB01班の木下 尚子が編集委員)を編集し、ゼロ号を2019年2月に刊行した。このゼロ号では、「ヤポネシア鼎談」として、総括班の斎藤成也・藤尾慎一郎・木部暢子が話 し合いをした様子を掲載した。また、各計画研究の紹介をしたほか、「ことばめぐり」、「遺跡めぐり」、「しまめぐり」、「動植物ゲノム紹介」、「ソフト ウェア紹介」、「研究室紹介」、およびコラムとして「わたしの好きなヤポネシアのうた」の連載をスタートさせた。リレーエッセイをもうけ、ゼロ号では、先 史モンゴロイド重点領域研究と新学術研究「旧人から新人への交代劇」の領域代表をされた赤澤威さんに寄稿していただいた。 現在までの達成度 (区分) 現在までの達成度 (区分) 2: おおむね順調に進展している 理由 2018年度は、7月から活動が開始となったので、全体会議は1回だけ、11月に青山学院大学で開催した。2019年1月には北海道大学で若手交流会を、 3月に京都駅前で公開講演会を開催した。また9月には歴史はやわかりセミナーを北海道大学で開催した。総括班会議は、7月、11月、12月、3月の4回に わたり開催した。特に12月は韓国の釜山大学で開催し、その前後に遺跡や博物館を見学するとともに、領域代表の斎藤成也と古代人ゲノムA02班研究代表者 の篠田謙一が釜山大学博物館で講演した。また2019年1月には、ドイツのイエナ大学で開催された国際シンポジウム"Transeurasian millets and beans, languages and genes"に4名の班員が発表した。2019年2月に開催された言語学B02班の班会議は、言語学だけでなく、ゲノム学や考古学の研究者も多数参加し、 総括班からも旅費支援をおこなった。 今後の研究の推進方策 2019年度以降の4年間は、総括班としては、総括班会議を年に4回以上開催するほか、年に2回の全体会議、年に1回の公開講演会および若手集会の開催を おこなう。また、最終年度を待たずに、3年目(2020年度)にはしかるべき出版社に打診して、全7巻から構成されるヤポネシア人の起源と歴史に関する書 籍シリーズの刊行を企画し、5年間の新学術領域研究ヤポネシアゲノムが終了したあとただちにこれらの書籍が刊行されることを計画している。これら日本語の 書籍は、国民に広く新学術領域研究ヤポネシアゲノムの成果を知っていただくためのものだが、英語の書籍についても、領域代表の斎藤成也がSpringer 社のEvolutionary Studies SeriesのSeries Editorなので、ここで何冊かの英語の書籍を出版する計画である。 |
2019 年度 実績報告書 | キーワード ヤポネシア /
現代人ゲノム / 古代人ゲノム / 考古学 / 言語学 / 文理融合研究 |
研究実績の概要 自然科学と人文社会科学の文理融合、日本と海外の研究者の交流、研究者と一般社会との交流を三本柱とした。このため、領域全体会議の開催(年2回)、公開 シンポジウムの開催、ホームページから動画を含めたさまざまな情報を社会に発信、ヤポネシア人ゲノム研究に関する日本語の季刊誌Yaponesian の出版、研究環境を整備、などの活動をおこなった。 リースしているサーバー(すさのを)および国立遺伝学研究所のスーパーコンピュータを用いて、現代人ゲノムの解析環境をととのえた。2018年度に購入し たサーバー2台(うみさちとやまさち)を用いて、古代人や公開されている現代人ゲノムや動植物ゲノムデータの格納をおこない、それらデータの解析環境を整 えた。季刊誌Yaponesianの2019年はる号、なつ号、あき号、2020年ふゆ号を編集刊行した。新学術領域研究ヤポネシアゲノムのウェブサイト を運営した。 5月9日、神戸にて国際中国語学会のサテライト会議を開催し、言語学者と他分野の研究者が講演・議論をおこなった。5月10日、京都大学東京オフィスにて 現代人ゲノムデータ共有に関する説明会を開催した。5月11日~12日、東京上野の国立科学博物館にて全体会議と総括班会議を開催した。9月15日、総括 班会議を開催し、また福井駅前アオッサにて公開講演会を開催した。9月24~25日、淡路島の淡路夢舞台にて「くにうみミーティング」(若手研究者育成の 一環)を開催した。3月中、三島市の国立遺伝学研究所にて総括班会議と全体会議を開催する予定だったが、コロナ感染拡大のため2020年度に延期した。 現在までの達成度 (区分) 現在までの達成度 (区分) 2: おおむね順調に進展している 理由 2018年度に計画したほとんどの行事や季刊誌Yaponesianの編集・発行がおこなわれたので。 今後の研究の推進方策 総括班としては、総括班会議を年に4回以上開催するほか、年に2回の全体会議(国立歴史民俗博物館・国立国語研究所)、年に1回の公開講演会(那覇市内) および若手集会第2回くにうみミーティング(淡路島夢舞台)の開催をおこなう。 季刊誌Yaponesianの2020年はる号、なつ号、あき号、2021年ふゆ号を編集刊行する。 リースしているサーバー(すさのを)および国立遺伝学研究所のスーパーコンピュータを用いて、現代人ゲノムの解析環境を整える。 2018年度に購入したサーバー2台(うみさちとやまさち)を用いて、古代人や公開されている現代人ゲノムや動植物ゲノムデータの格納をおこない、それら データの解析環境を整える。 |
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2020
年度 実績報告書 |
ヤポネシア / 現代人ゲノム / 古代人ゲノム / 考古学 / 言語学 / 文理融合研究 |
研究実績の概要 リースしているサーバー(すさのを)および国立遺伝学研究所のスーパーコンピュータを用いて、現代人ゲノムの解析環境をととのえた。2018年度に購入し たサーバー2台(うみさちとやまさち)を用いて、古代人や公開されている現代人ゲノムや動植物ゲノムデータの格納をおこない、それらデータの解析環境を整 えた。季刊誌Yaponesianの2020年はる号、なつ号、あき号、2021年ふゆ号を編集刊行した。新学術領域研究ヤポネシアゲノムのウェブサイト を運営した。特に今年度は英語版を充実させた。2020年6月27-28日に、立川市の国立国語研究所にて総括班会議と全体会議をハイブリッド方式で開催 した。2021年2月15-17日に、国立遺伝学研究所と共催で「ゲノム概念誕生百周年記念シンポジウム」をオンラインで開催した。2021年3月2-3 日に、 「第2回くにうみミーティング」(若手研究者育成の一環)を開催し、公開講演会もオンラインで実施した。2021年3月19-21日に、佐倉市の国立歴史 民俗博物館にて全体会議と総括班会議をハイブリッド方式で開催した。 現在までの達成度 (区分) 現在までの達成度 (区分) 2: おおむね順調に進展している 理由 新型コロナイウルスの蔓延により、若干計画を変更したが、オンラインを用いて活発な活動をおこなった。 今後の研究の推進方策 新型コロナイウルスの蔓延がつづくことが予想されるので、オンラインを用いた活動を多数取り入れる。 |
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2021
年度 実績報告書 |
ヤポネシア / 現代人ゲノム / 古代人ゲノム / 考古学 /
言語学 / 文理融合研究 |
研究実績の概要 リースしているサーバー(すさのを)および国立遺伝学研究所のスーパーコンピュータを用いて、現代人ゲノムの解析環境をととのえた。2019年度に購入し たサーバー2台(うみさちとやまさち)を用いて、古代人や公開されている現代人ゲノムや動植物ゲノムデータの格納をおこない、それらデータの解析環境を整 えた。季刊誌Yaponesianの2021年はる号、なつ号、あき号、2022年ふゆ号を編集刊行した。新学術領域研究ヤポネシアゲノムのウェブサイト を運営した。2021年6月12-13日に、オンラインにて総括班会議と全体会議を開催した。2021年11月28日に、国際日本文化研究センターと共催 で「埴原和郎の二重構造モデル論文発表30周年記念公開シンポジウム」をハイブリッド方式で開催した。2022年2月12-13日に、オンラインにて全体 会議と総括班会議をハイブリッド方式で開催した。2022年3月15-17日に、 「第3回くにうみミーティング」(若手研究者育成の一環)を開催した。 現在までの達成度 (区分) 現在までの達成度 (区分) 2: おおむね順調に進展している 理由 新型コロナイウルスの蔓延により、若干計画を変更したが、オンラインを用いて活発な活動をおこなった。 今後の研究の推進方策 新型コロナイウルスの蔓延がつづくことが予想されるので、オンラインを用いた活動を多数取り入れる。 |
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ゲノム配列を核としたヤポ ネシア人の起源と成立の解明(pdf等報告書類) | |
ヤポネシア | ヤ
ポネシア(Japonesia)とは、小説家の島尾敏雄が考案した造語である。日本を指すラテン語「Japonia」もしくは現代ギリシア語
「Iaponia」に、群島を指す古典ギリシア語の語尾「ネシア(nesia)」を追加してカタカナ化したもので、日本国ではなく日本列島を意味する。文
芸評論やポストコロニアル批評、カルチュラル・スタディーズ、において好んで用いられる表現である。 島尾は横浜に生まれ神戸に育ったが、第二次大戦中に奄美大島の属島である加計呂麻島に駐屯していた。これが縁となり、島尾は1955年に奄美大島の名瀬 (現在の奄美市名瀬地区)に移住する。その後、島尾は新日本文学会の機関誌『新日本文学』に「名瀬だより」と名付けられたエッセイを連載するが、この連作 エッセイの中で提示されたのが、日本列島を「島々の連なり」として捉える視点である。ヤポネシアとは、そうした視点を解りやすく提示する為に島尾が考案し た語と云える。またこの語は「琉球弧」という概念が文化論上の概念として再定義されるきっかけともなった。 ヤポネシアという語は「琉球弧」とともに南西諸島住民とその子孫の間に広く受け入れられ、南西諸島が日本列島史において果たした役割や、近世から近代、現 代にかけての被収奪・被抑圧の歴史を表現する際のキーワードとして多用されることとなった。ちなみに沖縄出身の作家、霜多正次には、みずからの戦時中の捕 虜体験もからめた、「ヤポネシア」という小説がある。 なお、2020年の時点で、ヤポネシアもしくはヤポネシア人という言葉は学術用語としても認知されている。ヤポネシアに最初のヒトが渡来したのはおよそ4 万年前と考えられ、彼らがどのような起源を持ち、ヤポネシア人として成立・発展していった過程を、古代人と現代人のゲノム比較等から明らかにする研究が 2018年頃から行われている[1][2][3]。 |
南島イデオロギー(村井紀) |
本
書でいう「南島イデオロギー」とは,日本のメディアが今日絶えず反復している南島・沖縄に日本の原郷・原日本を見る,沖縄現象のことである.それは刊行パ
ンフなど多様であるが,たとえばそのもっとも典型的なものに,NHKの“朝ドラ”「ちゅらさん」(2001年)がある.南島・沖縄には,都会に住むあるい
は本州に住む現代の私たちがはるか昔に見失った日本のノスタルジックな生活――家族の絆をはじめ,古い素朴な信仰と生活世界――が,近代文明に汚染されぬ
美しい自然とともに見いだされ,ひたすら癒しの島として表象されているからだ.沖縄を表象する女主人公「ちゅらさん」は,子どものころ,この癒しの島に日
本からやってきた都会の男の子と結ばれるのであるが,彼女は殺伐とした近代都市・東京にいても,沖縄の古語「てだ」(太陽)のような存在として,周囲をた
えず自然に明るくするという存在である.ここには日本=男性・主体・文明,沖縄=女性・客体・自然というジェンダー化された,支配・被支配のオリエンタリ
ズム表象を見なければならないだろう.不思議なことには沖縄本島の大半を占める米軍基地や戦跡,浜辺に占めるリゾートホテル群は少しも描かれてはいない,
「ちゅらさん」が上京する原因たる(?)失業など沖縄の現実はみごとに消去されている. 「ちゅらさん」に見いだされる,現代日本のこのまことに身勝手な沖縄表 象が,政治的な意味をもつことは疑えない.見失われた日本だけを描くことで,つまりノスタルジックな生活と美しいだけの自然を描くことで,基地など政治的 なものを一切排除し,沖縄の現実を隠蔽するメッセージだからである. https://www.iwanami.co.jp/book/b255753.html |
リ ンク
文 献
そ の他の情報
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