かならずよんで ね!

「知識に関する問い」と「知識の内容についての問い」を峻別すること

You need to make a distinction between "questions about knowledge" and "questions about the content of knowledge.

池田光穂

知の理論」に関して、2つの問いをいただいた——Dialogue on October 3, 2017

1)それはTOK エッセイへのアプローチは論文へのアプローチにおいても有益なのかどうか、という質問です。

2)もう一 つは「知識に関する問い」に対する理解を深める為に必要な質問です。例えば「自殺は一般的に時代を問わず多くの社会にとって悪であった。」という言説が あった場合、どの様にこの知識に関する問いを立てれば良いのでしょうか?自殺は悪か否か、自殺はどの様な理由で社会にとって悪であったのか、私の立てた問 いはどれも知識内容についての問いになってしまいます。

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1)それはTOK エッセイへのアプローチは(大学生の)論文へのアプローチにおいても有益なのかどうか、という質問です。

一般論ではなにも言えません。TOK は、思考の技術、問題に対する論理的な取り組み方を示唆するものだからです。そもそも、これは高卒までで履修すべき内容です。

2)もう一つは「知識に関する問い」に対する理解を深める為に必要な質問です。例えば「自殺は一般的に時代を問わず多くの社会にとって悪であった。」とい う言説があった場合、どの様にこの知識に関する問いを立てれば良いのでしょうか?自殺は悪か否か、自殺はどの様な理由で社会にとって悪であったのか、私の 立てた問いはどれも知識内容についての問いになってしまいます。

A)「知識に関する問い」と「知識の内容についての問い」を峻別したのは炯眼(=的確な判断)だと思います。

B)「自殺は一般的に時代を問わず多くの社会にとって悪であった」というテーゼは正しいのか?反証はあるのか?ないのなら、C.へ進む。反証があったり、少数意見でも擁護したい場合は、D.にすすむ

C)なぜ自殺は「悪」とみなされたのか?一般的な(=普遍的な)知識なので、なぜ悪なのかを、既存の科学による説明でつけてみる。哲学的、宗教学的、倫理的、心理学的、生物学的、人口学的などなど……

D)「自殺は悪であったという」命題——言説ではありません——に対抗する命題を立てる。「自殺は必ずしも悪ではない」「自殺が正当化される条件」など。また、それに対する具体例を拾い上げ、議論を展開する。

E)この場合の、知識に対する内容の吟味は「自殺= 悪」ということをめぐる経験的事実への吟味と、それが論理的に導けるものなのか、それともできなくて、説明概念だけで終わるのか、ということです。「自殺 とは統一的はカテゴリーで、個々の自殺は千差万別なので、一般的な意味での自殺=悪というのはナンセンスである」という論理も導けます。ちゃぶ台返しの議 論なので、大学院の試験問題で、これをやると不合格になりますね。しかし、自殺の一般化論=ナンセンスは、多くの人が経験的に感じることで、意図的に人を 騙すとか他人を殺すとか、そのような絶対悪(radical evil)に比べれば悪のタイプが違うかもしれません。議論の論理は高次低次に峻別され、次元を超えて議論をすると矛盾に陥るという意味で多元的であると いうことです(ラッセルの「論理階梯論」)

結論)TOK は議論のための出発点であり、議論のための最終兵器ではない。

こんなところでしょうか?

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フィールドワークとは現場に赴くことである
問題にもとづくアプローチは辛抱づよく
成果の還元はさまざまな次元にわける
アクターとしての自覚
エネルギー投下量は面積で考える
学際分野の個人の限界は徒党を組め(→組んで克服だ!)


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