イザヤ・ベンダサン(山本七平)研究ノート
『日本人とユダヤ人』
Isaiah Bendersan (Pseudonym), Hichihei Yamamoto's book, "Japanese and Jews," 1970.
このページは、イザヤ・ベンダサン(山本七平)『日本人とユダヤ人』で記された主張の中身を、学術的な文化人類学のテーマに洗練させるための挑 戦的なページである。
書肆の説明:「ユダヤ人との比較というユ ニークな視点から展開される卓抜な日本人論。高いコストをかけて保険に入るユダヤ人、安全と水は無料が当たり前と考える日本人。機密を守り通すユダヤ人、 「青竹を割ったように」「腹蔵無く」話す日本人。ユダヤ人とは、道路に裸のまま放り出された子供であるのに対して、日本人は甘やかされたおぼっちゃんだと 著者は指摘する。ユダヤ人がなぜ迫害されてきたのかを徹底考察、アメリカという「帝国」亡き後の日本にも国際社会からの迫害が起こり得ると警鐘を鳴らす。 みずからの戦争体験を踏まえ東西の古典、宗教を追究した深い歴史観を抱く山本七平ならではの日本人論の金字塔」
垂水源之介の書評:「偽名をつかったので
NGで、完全に忘れられた存在。本多勝一との論争でも分が悪い。それからユダヤ教研究者の浅見定雄からもバッシングされて地に落ちました。僕は山本七平の
隠れファンなので、なぜか好き。空気の研究もいいですね。七平さんのいいところは、やはり根本にある反骨精神あるいは惰性的な日本の批判かな?県民性や凡
百の日本人論にくらべると、文化人類学というよりも文化論や文明論的な比較研究で、スタイルは古く要素の対照比較ははやりませんし、手法も、対照の要素の
恣意的な選択の要素が入るので、いまは、このレトリックはエセ「脳科学者」以外は使いません。それでも、反省材料としての文化論という議論を切り拓いたの
で、これはサムエル・ハンティントンのような論点先取のような議論よりもましかと思います。」
章立て
はじめに
1. 安全と自由と水のコスト(隠れ切支丹と隠れユダヤ人)
2. お米が羊・神が四つ足(祭司の務めが非人*の仕事)*1970年版の記述
3. クローノスの牙と首(天の時・地の利・人の和)
4. 別荘の民・ハイウェイの民(じゃがたら文と祝砲と西暦)
5. 政治天才と政治低脳(ゼカリアの夢と恩田木工)
6. 全員一致の審決は無効(サンヘドリンの規定と「法外の法」)
7. 日本教徒・ユダヤ教徒(ユーダイオスはユーダイオス)
8. 再び「日本教徒」について(日本教の体現者の生き方)
9. さらに「日本教徒」について(是非なき関係と水くさい関係)
10. すばらしき誤訳「蒼ざめた馬」(黙示的世界とムード的世界)
11. 処女降誕なき民(血縁の国と召命の国)
12. しのびよる日本人への迫害(ディプロストーンと東京と名誉白人)
13. 少々、苦情を!(傷つけたのが、目なら目で、歯なら歯で、つぐなえ)
14. プールサイダー(ソロバンの民と数式の民)
15. 三つの詩:終わりに
あとがき:末期の一票
著者紹介
山本七平[ヤマモトシチヘイ]評論家。日
本研究者。1970年、『日本人とユダヤ人』を「イザヤ・ベンダサン」名義で刊行し、300万部を超える大ベストセラーになり世の中に衝撃を与えた。現在
でも「日本人論」に関して大きな影響を与えている。1921年生まれ。1942年、青山学院高商部卒。砲兵少尉としてマニラで戦い捕虜となる。戦後、山本
書店を設立し、聖書、ユダヤ系の翻訳出版に携わる。その後、『私の中の日本軍』『日本教の社会学』『帝王学』『昭和天皇の研究』『聖書への旅』『論語の読
み方』など多数の著書を刊行。日本文化と社会を批判的に分析していく独自の論考は『山本学』と称され、日本文化論の基本文献としていまなお広く読まれてい
る
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