空気を読む
On
Reading KUUKI, and/or Social Atmosphere
picture from "The
Cooling Imperative Forecasting the size and source of future cooling
demand," 2019
旧クレジット:「空気について考えることを通して社
会を変えてゆく」「山本七平『空気の研究』ノート:Critique for Shichihei Yamamoto's "A Study
of Japanese Contexual Atomosphre," 1977.」
山本 七平(やまもと しちへい;1921-1991)「日本社会・日本文化・日本人の行動様式を「空気」 「実体語・空体語」といった概念を用いて分析した。その独自の業績を総称して「山本学」と呼ばれる。...1977年 - 文藝春秋より『「空気」の研究』を発売する。...辛口の書評で知られた谷沢永一は、「昭和四十五年から六十二年まで、足かけ十八年間における山本七平の 著作三十二冊から、その急所を引き出し、山本学の大筋を読者に眺めわたしていただきたいとひそかに願った」として書かれた著作があり、たとえば『「空気」 の研究』について、“この「空気」というのはちょっとコメントをつけにくいが、言われたらいちどにわかることである。これを最初に持ち出した着眼はすごい と思う。日本人のものの考え方、意思決定の仕方に、もしエポックを見つけるとするなら、この『「空気」研究』が書かれたときではないか。」と述べてい る....」山本 七平)
1. 場の空気「場の空気(ばのくうき)と は、日本における、その場の様子や社会的雰囲気を表す言葉。とくにコミュニケーションの場において、対人関係や社会集団の状況における情緒的関係や力関 係、利害関係など言語では明示的に表現されていない(もしくは表現が忌避されている)関係性の諸要素のことなどを示す日本語の慣用句である。近年の日本社 会においては、いわゆる「KY語」と称する俗語が流行語となって以来、様々な意味を込めて用いられるようになっている。「場の」はつけず、ただ「空気」と 表現されることもある」場の空気)
2. 空気という課題は想像以上に複雑である:「「いき」の語
源の研究は、生、息、行、意気の関係を存在学的に闡明することと相俟あいまってなされなければならない。「生」が基礎的地平であることはいう
までもない。さて、「生きる」ということには二つの意味がある。第一には生理的に「生きる」ことである。異性的特殊性はそれに基礎附けられている。した
がって「いき」の質料因たる「媚態」はこの意味の「生きる」ことから生じている。「息」は「生きる」ための生理的条件である。「春の梅、秋の尾花のもつれ
酒、それを小意気に呑のみなほす」という場合の「いき」と「息」との関係は単なる音韻上の偶然的関係だけではないであろう。「いきざし」という語形はその
ことを証明している。「そのいきざしは、夏の池に、くれなゐのはちす、始めて開けたるにやと見ゆ」という場合の「意気ざし」は、「息ざしもせず窺うかがへ
ば」の「息差」から来たものに相違ない。また「行」も「生きる」ことと不離の関係をもっている。ambulo が sum
の認識根拠であり得るかをデカルトも論じた。そうして、「意気方」および「心意気」の語形で、「いき」は明瞭に「行いき」と発音される。「意気方よし」と
は「行きかた善し」にほかならない。また、「好いた殿御へ心意気」「お七さんへの心意気」のように、心意気は「……への心意気」の構造をもって、相手へ
「行く」ことを語っている。さて、「息」は「意気ざし」の形で、「行」は「意気方」と「心意気」の形で、いずれも「生きる」ことの第二の意味を予料してい
る。それは精神的に「生きる」ことである。「いき」の形相因たる「意気地」と「諦め」とは、この意味の「生きる」ことに根ざしている。そうして、「息」お
よび「行」は、「意気」の地平に高められたときに、「生」の原本性に帰ったのである。換言すれば、「意気」が原本的意味において「生きる」ことである」九
鬼周造『「いき」の構造』結論の脚注13より)
垂水源之介方式パラグラフ番号 |
新装版文庫版ページ |
コメント |
1【一】 |
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「道徳教育」について雑誌記者に意見を求
められた山本は、「日本の道徳は差別の道徳」だと主張した時に、教育「現場の空気」としては、受け入れられないと返事をもらう。この雑誌記者は、道徳教育
に賛成の立場である。 |
2 |
13 |
三菱重工業爆破事件(1974
Mitsubishi Heavy Industries bombing)
の時に、倒れている人を助けたのは、会社員どうしで、誰彼ともなく介抱している人はいなかったと、解説。隣人を助ける思想がないと山本は、雑誌記者に主
張。雑誌記者は山本の詰問に、いやーと言って返事ができない。山本は「(不道徳なことを)口にできない」、これこそが日本の道徳であると主張する。言論は
自由なのに言いたいことが言えない。記者は「うちはそんな話をもちだせる空気ではない」と釈明する。 |
3 |
15 |
山
本は、記者の「空気」という言葉に関心をもつ。議論の結果でてきた結論ではなく「空気」にしばられるという。この空気からは逃れることができない。採否は
「空気」が決める。「空気」は殺し文句になり、反論できない。「何かわけのわからぬ絶対的拘束は『精神的な空気』」だと山本は主張する。 |
4 |
「空気」に気になると、それがいつも「絶
対の権威」になることに気づく。 |
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16 |
戦
艦大和の記録にも「全般の空気よりして」特攻出撃は当然という意見を引く。大和出撃は無謀というデータはあるが、だれもその決定には反対しない。力をもっ
ているのは「空気」の存在だ。三菱重工爆破の、行動(=傍観して助けない)空気であり、そのことを言わせないのも空気だという。 |
6 |
16-17 |
空気とはなにか? 山本は言語を与えられ
ない。その場の雰囲気でやること。 |
7 |
せざるをえないは、強制されたもので、自
らの意志ではない。空気に支配される=空気勝ち。 |
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8 |
17-18 |
サイパンには出撃を拒んだ大和が、沖縄に
は出撃する。山本は、この決定は完全に理不尽だと云う。 |
9 |
三上参謀と伊藤長官の会話。伊藤長官は空
気を知らないから、裸の艦隊を外洋には突入させないと三上に賛成する。しかし、三上は陸軍の総攻撃に呼応することを主張し、伊藤は「よく了解した」と翻意
する。つまり、空気の決定であることを了解した。 |
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10 |
伊藤の戦後は「ああせぜざるをえなかっ
た」といい、データの根拠を示さない。山本は伊藤が空気に屈服したことを指摘。 |
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11 |
空気とはまことに大きな権力をもった「妖
怪」とまで云う。 |
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戦後、この空気の威力は衰えたか?いや衰
えていない。戦後は「ムード」が支配する。 |
13 |
公害問題で、マスコミに不安をいうことは
空気のせいで言えない。 |
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14 |
千谷利三教授の実験用原子炉導入のときに
は、原爆とは無関係であることを必死にしゃくめ委するが、これは空気に徹底抗戦しているからだ。 |
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15【二】 |
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・論理的判断と「空気的判断」のダブルス
タンダードに生きること。 |
16 |
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空気はどのように醸成され、作用が終われ
ば霧散するのか? 人工空気醸成法を調べれば、自然発生的空気のメカニズムもわかるのではないか?(完全にスベるジョークだな——池田) |
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文春の論文の解説。排ガス規制の論文 |
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(凡庸な解説が続く) |
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日本では自動車有罪説が、跋扈しているの
は空気のせいだと、山本は言いたげである。 |
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物神論にとらわれる日本 |
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車が悪いことが宗教性にまでなっている。 |
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空気は宗教的権威である。このあたりは
トートロジーがすぎて、すこし飽きてくる(池田) |
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30【三】 |
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日本人は人骨に弱い。ユダヤ人はへっちゃ
ら。 |
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骨が物神になっているいから。 |
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物神説がつづく |
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啓蒙主義精神が根付いていない |
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カドミウムはイタイイタイと関係ないと、
言えない。マスコミの空気が怖いから。冗長な話が続く。 |
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空気の支配を断ち切るには、科学しかない
そうだ。 |
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親切心で、弱きものをあやめてしまう。こ
れが「日本人の親切」、あまり本筋とは関係ない。 |
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善意が通らないことに、イライラする日本
人。 |
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人骨譚がここで浮上。 |
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イタイイタイ病=カドミウム原因説批判が
つづく。科学で証明したらいいみたいだ。 |
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神=恐れが、金属を御神体として畏れると
いう雰囲気をつくるらしい。 |
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宗教論にすべって、まったく、論証として
は説得力をもたない。 |
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52【四】 |
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だが、これまで述べたことは、すべて「空
気の一方向支配」によるものだという。 |
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西南戦争の話がでてくる |
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西南戦争こそ近代戦争のはじまり。 |
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西郷軍への官軍のプロパガンダ |
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だが、それは創作。 |
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西郷軍はカドミウム棒らしい。つまり、闇 雲に恐れて、答えはひとつしかない。 | |
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官軍の絶対善化 |
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(2)空気支配の原則は「対立概念で対象
を把握すること」。マニ教的二分法だ。第一の原則——64パラにあるが「臨在感を歴史的に把握する」——(1)は、これまでにあったはずだが、池田は見落
とした。 |
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65【五】 |
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76【六】 |
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96【七】 |
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「空気の支配」に抵抗する方法としての
「水を差す」。ただし、この手法は、西洋にはなく、日本でのみ通じる。 |
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●AIと専門家に依存することが人間の判断力を低下 させるが、周囲の人に影響され「空気を読む」こともまた、人間(主体)の判断力を鈍らせます(→人間社会の「空気」を入れ替えて、人間に喜びをもたらす「息」をもたらす斬新な方法)。
まともな社会人は「空気」など読まない!! 社畜になるな!! 関連リンク
リンク
文献
その他の情報