戦略的プロパガンダの目的
Purposes and
Objects of strategic propaganda
「プロパガンダと日本人」)『日本人の性格構造とプロパガンダ』所収)のなかで、ジェフリー・ゴーラーはプロパガンダの5つの特徴をあげている (福井 2011:198——文言は改変)。
1)軍事的な混乱(の要因)をつくりだすこと、
2)敵のなかでの「闘争心」を失わせ、市民のあいだでの戦闘を支持する気持ちを減少させること(=厭戦気分の醸成)、
3)国内的な分裂をおこす、
4)敵と同盟関係にある国のあいだに分裂を引き起こすこと、
5)戦争開始後、占領地の住民に従順さと協調性を得るようにする、
の以上である。
また、ゴーラーによると日本人は「知らないという環境への恐怖から、自分たちが接触する可能性のある人や場所にかんするあらゆることを理解する ため、努力をおしまない」とある。1990年代にピークを迎える日本における文化人類学ブームや、国際コミュニケーションや、国際文化学部の増設ラッシュ は、経済大国になっても、なかなか国際社会の一員として認められないという(自己認識)という恐怖から、このようなトレンドができたのではないかと想像す る。私はしばらくは、小田実の(それは、また鶴見俊輔の精神でもあった)「なんでもみてやろう精神」元フルブライターの戦後に生まれたリベラルマインドの エートスだと信じてきたけど、ゴーラーの日本人の性格分析を援用すれば「知らないという環境の恐怖」から接触する異文化理解を惜しまない本来——つまり時 空を超えてしばしばこの国でみられる——の日本人のエートスかもしれぬ。
この論理を敷衍すると、松浦武四郎や本多勝一が醸し出す(文化を異にする)他者への(時空間を異にする)ヒューマニズムもこの解釈枠組で十分 理解できるのではないか?——もちろん松浦武四郎や本多勝一のカルト的ファン(もちろん自他共に許すリベラル派に属するだろう)この私の主張には承服する ことはないだろうが……。
僕がある週刊誌『京都民報』に書いたハンセン病関連の記事にも(ハンセン病対策の歴史の暗闇を)「知らないことは罪」というスローガンに、記事 を読んだ多くの友人たちが敏感に反応したのも、そうかもしれぬ。
日本人にとって体面を汚すのは恐怖になるので、ゴーラーは、アメリカ合衆国は、個々の軍人や政界のリーダーを露骨に批判するのではなく(とくに 「ミカド」に対する批判は禁忌)、「立派な自信あふれた優れた父親」の役割を一貫して演じ、日本人に対して賞賛しつづバランスをとるべきで、その際には英 語ではなく日本語でおこなうべきと論じている(福井 2011:199)。
ゴーラーの日本国内における工作対象の候補は、1)被差別部落民、2)リベラルな知識人、3)小作農民、4)労働者グループであり、また、その プロパガンダの方法は、脅迫と甘言ではだめだとも主張している。脅迫と甘言とは「降伏しなければ滅ぼされる」「降伏すれば原料に自由にアクセスできる」と いうもの。日本人には、(威厳をもった)父親や先生のように接し「これが文明化した人たちの行動である」「これが近代的なやり方」である、とせよとまで 言っている(福井 2011:201-202)。
●加藤哲郎『象徴天皇制の起源―アメリカの心理戦「日本計画」』平凡社、2005年
●アメリカがドイツでおこなった心理戦
Amerikanische Gegenpropaganda/ / Berlin, Großkundgebung im Sportpalast, Goebbels, 18. Februar, 1943
"A leaflet meant to be dropped onto a German city. This is an
example of psychological warfare on the part of the 8th Air Force.
Translation: On February 18, 1943, a few weeks after the catastrophe of
Stalingrad, Dr. Goebbels posed a mass gathering in Berlin's Sportpalast
the question: "DO YOU WANT TOTAL WAR?" An enthusiastic "yes" was the
Nazi gathering's answer. Today Germany knows what "total war" means,
better than Goebbels and his yes-shouters in the Sportpalast foresaw.
The total war that the Nazis wanted will be continued with ever severer
force and effect until Germany capitulates unconditionally. THE GERMAN
PEOPLE MUST CHOOSE FOR THEMSELVES: EITHER continuation of the total
Nazi war until German manpower and industry is completely destroyed" - Totaler Krieg.
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Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099
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