正戦論:ジョナサン・モレノ『操作される脳』30
リーサル・ノン=ウェポンは、もちろん『リーサル・ウェポン』(メル・ギブソン主演、リチャード・ドナー監督, 1987年)のパロディ
「正 戦論はアウグスティヌスが一定の戦争の正当化をキリスト教神学で基礎づけたことに始まる。トマス・アクイナスは同じくキリスト教的立場 から正戦の体系化を進めた。神学的正戦論ではキリスト教的正義を守る側の行為だけが正当化された。要するに正当なキリスト教だけが正義で、それ以外はすべ て悪だとするものだった。これは後の十字軍や非ヨーロッパ地域への侵略と植民地支配の理論的根拠ともなった。グロティウスは『戦争と平和の法』などを著 し、戦争自体の正当性(ユス・アド・ベルム)だけではなく戦争中の行為の正当性(ユス・イン・ベロ)について論じた。正当性に関するこの二段構えの議論 が、後に形成されていく戦時国際法の構造の土台をなすことになる。一八世紀以降、植民地でのヨーロッパ諸国間の争いが始まるに至って、当事国を平等なもの とみなす無差別戦争観が主張されるようになった。これは正戦か否かを区別せずに、戦争を主権国家の正当な権利として認めるというものであり、正戦論は衰退 していった。二O世紀に入ってからは、二度の世界大戦があまりに甚大な被害をもたらしたため、無差別戦争観は戦争違法観に取ってかわられ、ジュネーヴ議定 書や国際連合憲章などでは戦争を含む武力行使が国際法に違反すると明言された。だが、国違憲章には軍事的制裁や自衛権について定めた部分があり、これは一 定の条件下での武力行使を正当化すると解釈することも可能なために、正 戦論の復活だと考える意見もある」(訳者、脚注)(モレノ 2008:314-315)。
Just war theory
deals with the justification of how and why wars are fought. The
justification can be either theoretical or historical. The theoretical
aspect is concerned with ethically justifying war and the forms that
warfare may or may not take. The historical aspect, or the “just war
tradition,” deals with the historical body of rules or agreements that
have applied in various wars across the ages. For instance,
international agreements such as the Geneva and Hague conventions are
historical rules aimed at limiting certain kinds of warfare which
lawyers may refer to in prosecuting transgressors, but it is the role
of ethics to examine these institutional agreements for their
philosophical coherence as well as to inquire into whether aspects of
the conventions ought to be changed. The just war tradition may also
consider the thoughts of various philosophers and lawyers through the
ages and examine both their philosophical visions of war’s ethical
limits (or absence of) and whether their thoughts have contributed to
the body of conventions that have evolved to guide war and warfare. |
正義の戦争理論(正戦論)は、どのように、そしてなぜ戦争が行われるの
かを正当化することを扱っている。正当化には、理論的なものと歴史的なものがある。理論的側面は、戦争を倫理的に正当化すること、および、戦争が取るべき
形態と取るべきでない形態に関わるものである。歴史的側面、すなわち「正しい戦争の伝統」は、時代を超えてさまざまな戦争に適用されてきた規則や協定の歴
史的体系を扱うものである。例えば、ジュネーブ条約やハーグ条約のような国際協定は、ある種の戦争を制限することを目的とした歴史的ルールであり、弁護士
が違反者を訴追する際に参照することができる。しかし、こうした制度的協定の哲学的一貫性を検証するとともに、協定の側面を変更すべきかどうかを検討する
のは倫理の役割である。正義の戦争の伝統は、時代を超えて様々な哲学者や法律家の考えを検討し、戦争の倫理的限界(または不在)についての彼らの哲学的ビ
ジョンと、彼らの考えが戦争と戦争を導くために発展してきた一連の慣習に貢献したかどうかの両方を検証することも可能である。 |
https://iep.utm.edu/justwar/. |
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