かならずよんで ね!

トクヴィルと先住民

Tocqueville and "Original" North Americans

池田光穂

トクヴィルは『アメリカのデモクラシー』の第2部第 10章において、アメリカ先住民の問題は、「アメリカの問題であって、デモクラシーの問題ではない」と断った上で、アメリカ先住民と黒人が、白人的な政治 秩序にうまく巻き込まれるには、民族的同化や人種的混血を以外にはないと、きわめて人種主義的な基調に沿って叙述している。この問題について言及している (トクヴィル 2005:265)。にもかかわらず、チェロキー先住民(現)の一八二九年一一月一九日付の議会宛の請願(翻訳では「誓願」となっているが原文は "pétition")の中で、自分たちに降りかかった白人たちからの不当な「暴力」について次のように(引用は一部)訴えている。トクヴィルはその原文 の注七一番で一字一句再掲すると表明しているので、この主張に彼が大きく心動かされたことは間違いないように思われる。

「あなた方の祖先がわれわれの海岸にやってきたとき、膚の赤い人間(=先住民、引用者)は強かった。たとえ無学で野蛮だったとしても、善意をもってあなた 方の祖先を迎え、彼らがその痺れた足を乾き切った土の上に休めるのを許した。われらが祖先とあなた方の祖先とは友好の握手を交わし、平和に生きていた。/ 白人がその必要を満たすために要求するものはすべて、インディアンは速やかにこれを与えた。そのときインディアンは主人であり、白人は彼の前に跪いた。い まや場面は変わり、膚の赤い人の力は弱体化した。隣人が数を増すにつれて、彼の力は次第に減少した。そして、あなた方が合衆国と呼ぶ土地いっぱいにかつて はあれほど多くの有力な部族がいたのに、いまでは全体を襲った災厄から免れた若干の部族が辛うじて残るにすぎない。かつてその力がわれわれの間に鳴り響い ていた北部の諸部族は、すでにほとんど滅亡している。アメリカの膚の赤い人の運命はこのようなものであった。/われらが種族の最後の者たるわれわれも、ま た滅びねばならないのであろうか」(トクヴィル 2005:293-294:/は改行)。

"Lorsque vos ancêtres arrivèrent sur nos rivages, l'homme rouge était fort, et quoiqu'il fût ignorant et sauvage, il les reçut avec bonté et leur permit de reposer leurs pieds engourdis sur la terre sèche. Nos pères et les vôtres se donnèrent la main en signe d'amitié, et vécurent en paix./ Tout ce que demanda l'homme blanc pour satisfaire ses besoins, l'Indien s'empressa de le lui accorder. L'Indien était alors le maître, et l'homme blanc le suppliant. Aujourd'hui, la scène est changée: la force de l'homme rouge est devenue faiblesse. À mesure que ses voisins croissaient en nombre, son pouvoir diminuait de plus en plus; et maintenant, de tant de tribus puissantes qui couvraient la surface de ce que vous nommez les États-Unis, à peine en reste-t-il quelques unes que le désastre universel ait épargnées. Les tribus du Nord, si renommées jadis parmi nous pour leur puissance, ont déjà à peu près disparu. Telle a été la destinée de l'homme rouge d'Amérique./ Nous voici les derniers de notre race, nous faut-il aussi mourir? " (Tocqueville, Online)


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