マーガレット・ミード『男性と女性』
Mead, Margaret. 1979[1949]. Male and Female: A study of the sexes in a changing world.
解説:池田光穂
マーガレット・ミード『男性と女性』田中寿美子・加藤秀俊訳、東京:東京創元社、1961[原著
1949]
Mead, Margaret. 1979. Male and Female: A study of the sexes in a
changing
world. William Morrow.
1946, Nov. Stanford Univ. and University of California. ジャコブ・ギムベル講義による。
章立て(必ずしも翻訳の書記法をとらない)
1. 序説
1 ここに提起する問題の重要性について
2 人類学者はどのような方法で書くか
2. 肉体のあり方
3 最初の学習
4 無差別型・金銭思考型・および子宮羨望型
5 父親・母親・および思春期の衝動
6 性と気質
7 人間の性的発展の中の基本的規則性
3.社会の諸問題
8 労働と遊びのリズム
9 父親は社会的発明である
10 性的能力と受胎可能性
11 人間の生殖力
4.現代アメリカにおける両性
12 複雑なアメリカ文化
13 望ましい子供時代
14 結婚前の行動と性的欲求
15 性と成功
16 どの家族もその家庭の中に
17 結婚は一生のものは
18 それぞれの独自性
附録
I 南太平洋の7つの民族
II 洞察を与えるのに関する倫理
III アメリカ文化についての資料と実績
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■男女の文化的差異はない
「どの文化をとっても、はっきりとはっきりと男女の間には、つぎの世代の創造についての方法をのぞいてはなんら
の差異もないのだ、それをのぞいては、すべての点で男女は単に異なった天賦の才能をもって生まれた人間で、その才能のどれ一つでも、男女のどちらか一方だ
けにあたえられているもの、と明らかに語っているものはないということである」(上:p.16)。
■クイアの研究はしない
「女になることを決めた男や、男になることを決めた女の経歴を研究して、どのような解剖学的な、内分泌腺上の、
また心理的学的な手がかりが、彼らをそういう方向に向かわせたかを知るということもない」(上:pp.44-5)。
■7つの民族
・サモア
・マヌス(アドミラルティ諸島)
・アラペシュ(ニューギニア・トリセリ山中)
・ムンドグモ(ユアット河の“喰人種”と見なされる)
・チャンブリ
・イアトムル(大セピック河)
・バリ
■フロイト理論の影響力
p.92-3の註(ミードがフロイトの重要性について感じたのはかなり後になってから? またベイトソン からの影響も考えられる。)、上:pp.108-
■実践的要請
「この世は、男のみで創られているのではない。基本的に考えて、この世界は男が創ったもので、女はむしろ 補助的なものであるという観念から、この世界が人類によって、人類両性のために創られたものである、という観念に切りかえることは、男であると女であると を問わず、私たちにとって多大の努力を必要とする」(下:p.72)。