マーガレット・ミード:女性と男性の性差の形成に関するモデルとその問題
解説:池田光穂
■この図式を相対化する視点:トリン・T・ミンハの主張
「第三世界における女性の抑圧をヨーロッパや北アメリカの基準や概念で批判し、先進国の女性の平等概念によって裁断することは、民族学のイ デオロギーによりそうことになる。……このイデオロギーは一貫した文化主体のの表象を科学的知識の源泉とし、先住民の文化やジェンダー化された活動をすべ て、男女の性役割にもとづいたステレオタイプに還元して説明しようとする。こうした文脈で使われるフェミニズムとは、西洋化と同じことを意味することが多 い」『女性、ネイティブ、他者』1989年[→この引用源]
■第一世界フェミニズムと、第三世界フェミニズムの違い——セクシズムの暴力と恐怖に抗して
第一世界(西洋)のフェミニズムのジレンマ:西洋からの発言は、しばしば(本人たちが自覚的であればあるほど)人種主義や植民地主義の誹り を恐れて、非西洋の女性と文化に対して否定的見方や道徳的批判を「回避」するために、文化相対主義の態度をとりがち。この態度表明が、第三世界(非西洋) において、女性に対して「否定的見方」や「基本的人権の侵害」などのケースと闘っている(非西洋)フェミニストに対して、連帯と連携の可能性あるいは、そ の「情熱」を逓減させてしまう。
第三世界(非西洋)のフェミニズムのジレンマ:自分たちが
直面している家父長制への批判をすれば、第1世界の帝国主義的なフェミニストとの同盟関係を過度に強調されて、文化内の同質性や「伝統の美風」に抵抗する
「文化的裏切り者」と呼ばれてしまう危険性を有する。かといって、自文化に対して文化相対主義の立場をとれば、さまざまな抑圧や不道徳からの解放をもとめ
る同胞に対する裏切りや傍観主義をとってしまうのことになる。
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