帝国医療の問題系に関するメモ
Memorandum on the problematic system of imperial medicine
Malaria
eradication campaigns have been with us for decades but are they now
transitioning from spraying insecticides to releases genetically
modified mosquitoes?
(Source: National
Library of Medicine)
1.「切断」の概念——帝国医療の予感
仮説A:帝国医療はもはや過ぎ去っ た存在である。
・歴史的素材として我々はそれを客体化することができる。
・帝国医療を歴史のエピソードとして相対化したり、社会理論の肥やしにする。
仮説B:帝国医療は今日の現下の医療システムである。
・歴史的素材の中に、過ぎ去ったものと連続しているものが混在する。
・歴史的素材として客体化するには認識論的な操作が必要になる(→客体化のテクニック。もしそれがあるものとして)
・帝国医療の概念の拡張
・領土なき帝国としての生物医療とそれに対する「抵抗」の方法あるいは実践的課題の導出
(予感はいかにして触知しうるか?)
2.客体化の認識論的装置
・相対主義(文化相対主義、歴史相対主義、認識論的相対主義など)[opp. 本質主義]
・まなざし("gaze" by Foucault)の分析[cf.社会構築主義]
・社会分析
・医療概念の拡張(法的システム—法廷記録(Vaughan 1991)、認識システム、権力システム—生=権力(Foucault)、経済システム) ———— ・反実証主義的方法(例:対位法的読解、遡航voyage in[対話の場所において、差異の主張をおこなう])
3.有用性と社会の変革
・核分裂物質(ウラン235、プルトニウム239、ウラン233)は臨界量を超えると分裂をおこし、巨大なエネルギーを放出する。
・「危険な階級」としての労働者階級(19世紀前半)から、革命の主体としての発見(cf.『英国労働者階級の現状』)
・憐れみを与える対象から解放の主体へ(ただし臨界量を超えなければ核分裂はおこならない:プロパガンダの必然性)
・解放と抑圧の弁証法(核エネルギー(→労働者の破壊力)は政治による制御が必要)
・19世紀から20世紀中葉までの社会思想の発想は「制御」概念にあるのでは?(制御概念は、必然的にその事前に[病などの]自然史 natural history を必要とする)
・制御の発想は、“自分の行為が結果的に何を生み出すかを知らない”行為者観とは相反する。
4.近代主体は誰が作ったか?
・人間が近代医療を造ったのではなく、近代医療が[近代における]主体を形成した(cf. Armstrong)
・初期マルクス主義:資本主義の生産様式が近代的人間をつくる。作り出すものと造られるものとの齟齬が人間を疎外に導く。(差異生産= 再生産による暴走を、革命的暴力として制御、活用する)
5.グローバリゼーションから帝国主義へ
・帝国の認識の拡張としての民族医療(→知識の集積)
・熱帯の猖獗の地の征服(→植民事業)
・西洋近代医療の実験(植民地の若き医師たちが、本国に近代科学としての熱帯医学を持ち帰り、教育を通して帝国医療の宣教につとめる)
・後発帝国医療という発想は成り立つか?(例:日本)
■ 記憶としてのアイヌの人骨発掘問題
満州における田村、アイヌにおける内村
帝国医療と植民地医療
植民地医療:ポストコロニアル・システムに仕える医療
帝国医療:アーノルド、組織的権力。
リンク
文献
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