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コミュニケーション理論とヒューマンコミュニケーション文献

Communication theory and bibliography on human communication

池田光穂

情 報とは「不確実性の解決(resolution of uncertainty)」であると定義することができる。そして、その情報の中身とは、データや知識などで表現されるものであり、それらが提供される と、それまでの不確実性や不確かさが解消される。情報が正しく伝わったり、伝わらなかった (言い換えると、情報が共有されたり、共有されなかったり)するには、情報の発信者と受け手が、別々の 存在であるということが、このモデルの前提になる。それらの間で情報がやりとりされ、最終的に〈共有〉されるわけである。シャノンClaude Elwood Shannon, 1916-2001)は情報を数学的にとら え、電気通信的なモデルで表現した。それによると情報源は確率過程として理解され、エントロピー関数により情報量を定義した。

"Information is the resolution of uncertainty; it is that which answers the question of "what an entity is" and thus defines both its essence and nature of its characteristics. Information relates to both data and knowledge, as data represents values attributed to parameters, and knowledge signifies understanding of a concept" - Information.

"Uncertainty refers to epistemic situations involving imperfect or unknown information. It applies to predictions of future events, to physical measurements that are already made, or to the unknown. Uncertainty arises in partially observable and/or stochastic environments, as well as due to ignorance, indolence, or both," - Uncertainty.

シャノンとウィーバーの理論の要衝は情報 をいかに迅速かつ正確に伝えることを実現する数学モデルにあった。しかし、人間を含む生物一般や、生物 の体内のシステムにおいても、このような機能プロセスはよく観察されるために、コ ミュニケーション一般のもっともシンプルで合理的なものとして利用するこ とができる。

それは情報源(下図で「情報発信者」と表 記)は、伝えたいメッセージを選択し、それを信号に変え、コミュニケーションチャンネル(コミュニケー ション媒体で、音波、電線、電波、インターネットのケーブルなど)を通して、受信体(「受信者」と表記)に送られる。この伝達過程で、情報はさまざまな妨 害をうけ、正確に伝えられないことがある。それをこのモデルはノイズと定義する。受信者は受け取った信号を再びメッセージに解読して、情報発信者の発した メッセージを解読している。情報発信者のメッセージと受信者による解読内容が合致した(共有された)時、コミュニケーションが成立したというのである。

したがって、コミュニケーションの定義の もっともシンプルなものは、「時 間的位相における推移のなかで、情報やデータが『共通のものとなる』という現象一般」ということになる。

Shannon and Weaver, 1949, p.7 に近い作図(図をクリックすると4倍に拡大します)

◎コミュニケーション理論に関するリンク 集(サイト内リンク)

◎コミュニケーション関連文献

  • C・ I・ホヴランドほか著、辻正三・今井省吾訳『コミュニケーションと説得』 (1960・誠信書房)
  • C・ チェリー著、都丸喜成・木納崇訳『ヒューマン・コミュニケーション』(1961・光 琳書院)
  • 山 田宗睦編『現代社会学講座4 コミュニケーションの社会学』(1963・有斐閣)
  • ウィ ルバー・シュラム編、波多野完治監修、テレ・コミュニケーション研究会訳『コミュニ ケーションの心理学』(1964・誠信書房)
  • 江 藤文夫著『見る——現代のコミュニケーション』(1965・三一書房)
  • 吉 田民人・加藤秀俊・竹内郁郎著『今日の社会心理学4 社会的コミュニケーション』 (1967・培風館)
  • C・E・シャノン、W・ウィーヴァー著、 長谷川淳・井上光洋訳『コミュニケーションの数学的理 論——情報理論の基礎』(1969・明治図書)(The mathematical theory of communication / by Claude E. Shannon and Wa rren Weaver. -- University of Illinois Press, 1949)
  • R・ ウィリアムズ著、立原宏要訳『コミュニケーション』(1969・合同出版)
  • 田 中靖政著『コミュニケーションの科学』(1969・日本評論社)
  • 飽 戸弘著『コミュニケーション——説得と対話の科学』(1972・筑摩書房)
  • 山 田宗睦著『コミュニケーションの文明』(1972・田畑書店)
  • D・ K・バーロ著、布留武郎・阿久津喜弘訳『コミュニケーション・プロセス——社会行動 の基礎理論』(1972・協同出版)
  • 慶 應義塾大学新聞研究所編『コミュニケーション行動の理論——インターディシプリナ リー・アプローチ』(1972・慶応通信)
  • 江 藤文夫ほか編『講座・コミュニケーション』全6巻(1972〜73・研究社)
  • 内 川芳美ほか編『講座現代の社会とコミュニケーション』全5巻(1973〜74・東京大 学出版会)
  • 東 京大学新聞研究所編『コミュニケーション——行動と様式』(1974・東京大学新聞研 究所)
  • 稲 葉三千男著『現代コミュニケーションの理論』(1975・青木書店)
  • O・ ラービンジャー著、小川浩一・伊藤陽一訳『コミュニケーションの本質』(1975・ 新泉社)
  • 佐 藤毅著『現代コミュニケーション論』(1976・青木書店)
  • 南 博・社会心理研究所著『くちコミュニケーション』(1976・誠信書房)
  • 滝 沢正樹著『コミュニケーションの社会理論』(1976・新評論)
  • 阿 久津喜弘編・解説『コミュニケーション——情報・システム・過程』(『現代のエスプ リ』110号・1976・至文堂)
  • D・ マクウェール著、山中正剛監訳『コミュニケーションの社会学——その理論と今日的状 況』(1979・川島書店)
  • 生 田正輝著『コミュニケーション論』(1982・慶応通信)
  • 水 原泰介・辻村明編『コミュニケーションの社会心理学』(1984・東京大学出版会)
  • M・ セール著、豊田彰・青木研訳『コミュニケーション——ヘルメス1』(1985・法政 大学出版局)
  • J・ハーバーマス著、河上倫逸・藤沢賢一 郎・丸山高司ほか訳『コミュニケイション的行為の理 論』上中下(1985、86、87・未来社)
  • コ ミュニケーション研究班編『社会的コミュニケーションの研究』1〜3(1985〜 87・関西大学経済・政治研究所)
  • 加 藤春恵子著『広場のコミュニケーションへ』(1986・勁草書房)
  • 青 池慎一ほか著『日常生活とコミュニケーション』(1986・慶応通信)
  • D・ マクウェール、S・ウィンダール著、山中正剛・黒田勇訳『コミュニケーション・モデ ルズ』(1986・松籟社)
  • 竹 内成明著『コミュニケーション物語』(1986・人文書院)
  • 妹 尾剛光著『コミュニケーションの主体の思想構造——ホッブズ・ロック・スミス』 (1986・北樹出版)
  • 鍋 倉健悦著『人間行動としてのコミュニケーション』(1987・思索社)
  • 電 気通信政策総合研究所著『新しいコミュニケーション理論の研究』(1987・電気通信 政策総合研究所)
  • 林 進編『コミュニケーション論』(1988・有斐閣)
  • 田 野崎昭夫ほか編『現代社会とコミュニケーションの理論』(1988・勁草書房)
  • 鶴 見俊輔・粉川哲夫編『コミュニケーション事典』(1988・平凡社)
  • 橋 元良明著『背理のコミュニケーション——アイロニー・メタファー・インプリケー チャー』(1989・勁草書房)
  • 嵯 峨山雄也著『ボディ・コミュニケーション——動作でつくるよい人間関係』(1989・ 勁草出版サービスセンター)
  • 有 吉広介編『コミュニケーションと社会』(1990・芦書房)
  • 原 岡一馬編『人間とコミュニケーション』(1990・ナカニシヤ出版)
  • 東 京大学新聞研究所編『高度情報社会のコミュニケーション——構造と行動』(1990・ 東京大学出版会)
  • 辻 村明、D・L・キンケード編、中島純一訳『コミュニケーション理論の東西比較——異文 化理解のパラダイム』(1990・日本評論社)
  • J・ B・ベンジャミン著、西川一廉訳『コミュニケーション——話すことと聞くことを中心 に』(1990・二瓶社)
  • 中 島梓著『コミュニケーション不全症候群』(1991・筑摩書房)
  • 稲 葉三千男著『コミュニケーションの総合理論』(1992・創風社)
  • E・ M・ロジャーズ著、安田寿明訳『コミュニケーションの科学——マルチメディア社会の 基礎理論』(1992・共立出版)
  • 飽 戸弘著『コミュニケーションの社会心理学』(1992・筑摩書房)
  • 宮 原哲著『入門コミュニケーション論』(1992・松柏社)[2006年に改訂版]
  • R・ R・ラッシュ、D・アレン著、村松泰子編訳『新しいコミュニケーションとの出会い ——ジェンダーギャップの橋渡し』(1992・垣内出 版)
  • 飯 塚久夫ほか編『コミュニケーションの構造——人間・社会・技術階層による分析』 (1993・NTT出版)
  • 橋 本満弘・石井敏編『コミュニケーション基本図書1 コミュニケーション論入門』『同2  日本人のコミュニケーション』(1993・桐原書 店)
  • 郵 政国際協会電気通信政策総合研究所編・刊『情報社会におけるコミュニケーション構造の 変容』(1993)
  • 大 田信男ほか著『コミュニケーション学入門』(1994・大修館書店)
  • 高 橋純平・藤田綾子編『コミュニケーションとこれからの社会』(1994・ナカニシヤ出 版)
  • 正 村俊之著『秘密と恥——日本社会のコミュニケーション構造』(1995・勁草書房)
  • 伊 藤守・小林直毅著『情報社会とコミュニケーション』(1995・福村出版)
  • 尾 関周二ほか編『思想としてのコミュニケーション』(1995・大月書店)
  • 田 中伯知著『コミュニケーションと情報』(1996・芦書房)
  • 船 津衛著『コミュニケーション・入門——心の中からインターネットまで』(1996・有 斐閣アルマ)
  • 橋 元良明編著『コミュニケーション学への招待』(1997・大修館書店)
  • 佐 藤勉編『コミュニケーションと社会システム——パーソンズ・ハーバーマス・ルーマン』 (1997・恒星社厚生閣)
  • 大 谷裕著『コミュニケーション研究——社会の中のメディア』(1998・慶應義塾大学出 版会)
  • 竹 内郁郎ほか編著『メディア・コミュニケーション論』(1998・北樹出版)
  • 池 村六郎著『コミュニケーション——メッセージの解読とメディアの経験』(1998・阿 吽社)
  • 中 森強編著『新現代図書館学講座15 コミュニケーション論』(1998・東京書籍) 
  • 田 村紀雄著『コミュニケーション——理論・教育・社会計画』(1999・柏書房)
  • 後 藤将之著『コミュニケーション論——愛と不信をめぐるいくつかの考察』(1999・中 央公論新社)
  • 伊 藤陽一編『入門セミナー・現代コミュニケーション1 コミュニケーションのしくみと作 用』
  • 関 口一郎編『同2 現代日本のコミュニケーション環境』(1999・大修館書店)
  • 橋 元良明・船津衛編『シリーズ情報環境と社会心理3 子ども・青少年とコミュニケーショ ン』(1999・北樹出版)
  • 池 田謙一著『社会科学の理論とモデル5 コミュニケーション』(2000・東京大学出版 会)
  • 阿 部潔著『日常のなかのコミュニケーション——現代を生きる「わたし」のゆくえ』 (2000・北樹出版)
  • 正 村俊之著『コミュニケーション・メディア——分離と結合の力学』(2001・世界思想 社)
  • 宮 崎公立大学コミュニケーション学会編『コミュニケーション用語事典』(2001・北樹 社)
  • A・ J・プリマック著、中野尚彦訳『チンパンジー読み書きを習う』(1978・思索社)
  • 鈴 木健二著『フェロモン』(1980・三共出版)
  • C・ K・キャッチポール著、浦本昌紀・大庭照代訳『鳥のボーカルコミュニケーション』 (1981・朝倉書店)
  • T・ R・ハリデイ、P・J・B・スレイター編、浅野俊夫・長谷川芳典・藤田和夫訳『動物 コミュニケーション』(1988・西村書店)
  • J・ R・クレブス、N・B・デイビス著、山岸哲・巌佐庸訳『行動生態学(原書第2版)』 (1991・蒼樹書房)
  • Marc D. Hauser : The Evolution of Communication(1996, MIT Press, Cambridge MA)
  • A. Manning & M. S. Dawkins ed. : An Introduction to Animal Behaviour, Fifth ed. (1998, Cambridge University Press, Cambridge)

  • Hermes_dilemma_vcrapanzano.pdf

    Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 2006-2019

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