はじめによんでください

岩田一政ほか編『国際関係研究入門[増補版]』と本講義の関係

解説:池田光穂

国際関係論 国際政治学あるいは国際経済論に主たるルーツをもつこの分野が、近年になり多様な学問的ディシプリンを吸収して巨大になったことが説明されています。つまり、国際関係論は、今日ではきわめて学問横断で学際的な研究であることが示されます。
国際関係史 国際間の関係における、主人公――これはプレイヤーとかエージェントなどと呼ばれます――は長い 間「国家」と呼ばれるものでした。複数の国家間の歴史や、そのような関係の中にある一つの国の対外関係の歴史を論じていれば、国際関係史をやっているとい うことができました。しかしながら、現在では、国連をはじめとする国際機関、多国籍企業、そしてNGOなどの組織の動きや、さらにそれらの動きに大きな影 響を与える、政治家、官僚、企業家、社会運動家、そして民衆なども、これらの国家間のゲームについて参入しています。まず基本は、国家ですが、そのような 筋からさまざまなプレイヤーがどのように歴史的に絡んでくるのかを明らかにするのが、この研究です。
国際政治論 国際間の関係における、主人公――これはプレイヤーとかエージェントなどと呼ばれます――は長い 間「国家」と呼ばれるものでした。しかしながら、現在では、国連をはじめとする国際機関、多国籍企業、そしてNGOなどの組織の動きや、さらにそれらの動 きに大きな影響を与える、政治家、官僚、企業家、社会運動家、そして民衆なども、これらの国家間のゲームについて参入しています。まず基本は、国家です が、そのような筋からさまざまなプレイヤーがどのように政治学的(権力ゲーム)に絡んでくるのかを明らかにするのが、この研究です。
国際関係法 国際関係に関する法律には、まず国家間の紛争を調停・調整する国際法・条約法など、紛争と外交に 関する国際的な取り決めがあります。さらに、国際間の経済的取引を定める、国際経済法、国際取引法があります。GATT/WTOあるいは知的財産に関する さまざまな国際協約などは、それらの取り決めをおこなう時に大きな影響を与えています。また、人身売買などを国際的な条約において批准する場合、それぞれ の国家は、そのような取り決めの精神を反映するために、国内法の整備に着手しなければなりません。したがって、国際関係法を学ぶことは、それぞれの国内に おける法とさまざまなかたちで連関していることを知ることになります。
国際経済論 人類の文明とその発展に、広域的な交流を欠かすことは考えられません。また国際的な貿易により、 巨大な富が世界中を循環していると言うこともできます。貿易における公平な競争が実現されないために、さまざまな国際紛争を人間は経験してきました。国際 間の資本の移動、多国籍企業論、国際的な投資の取り決めやその具体的実践などについて、経済学や政治経済学の理論を使って分析するのが、この学問の特徴と いっても過言ではない。開発理論、為替レート決定の歴史、国際通貨体制、そして、グローバルガバナンスとしての経済的パワー(権力)の問題にも関わりま す。
国際文化論 この領域名称はそれほどなじみのないものですが、異文化比較論や文化をめぐるダイナミズム(文化 摩擦や文化変容さらには国際交流)に関する学問ということであれば、文化人類学や国民文化論などさまざまな研究があることがわかるでしょう。研究として は、言語学、文化人類学、社会学などの知識を動員して、比較的同時代の現象について分析します。
国際協力論 国際協力とはかつて国際援助すなわち、国際的な経済援助、現在の用語で言えば、国際開発と言われ てきたものを指します。主流の経済学のほかに、今日では司法協力(法学)や保健医療協力(医学・保健学)などの分野からの参入も多くなりました。経済・文 化・技術移転という3つの柱で理解することが主流になってきました。
比較政治論 古くは政治体制論と言われてきたものですが、今日では国際的な比較や、歴史的事実の具体的検討な どの視点が入り、きわめて「厚い記述」が要求される分野への変化を遂げました。あるいは、近代の政治学は、国際的な事例の検討を通して、はじめて西洋中心 主義からの視座を少しづつ脱却し、「人類にとっての政治学」になりつつあります。もちろん、ゲーム理論などの数理社会学の発展によって、分析方法も洗練さ れてきました。
日本外交論 日本において政治を論じることは、男性性の最たるものとされてきて、今日でもそのようなサブカル チャー的キャラクターは残っていることは、土日の報道を中心としたバラエティ番組をみればすぐにわかります(つまりテレビではオッサンばかりが国際関係を マッチョ的に論じている)。しかし、諸外国では、女性の政治参加の度合いがより進んでおり、またそのような影響を受けて、多角的な外交論が展開されていま す。我が国も男性中心主義的な床屋政談から脱却し、ジェンダーバイアスのとれた政治の議論がより進むでしょう。なぜなら、政治学には、さまざまな理論的装 置があり、これを使いこなすのにジェンダーの違いなどを見つけることが困難だからです。[→リンク先のページの「ジェンダーと国際関係」をご参照ください]。
国際方法論 要するに、国際関係論を教育・研究する際に、必要な理論とそのための方法論を検討するものです。


Mitzubishi Ikeda, 2007

池田蛙