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Relations for real dummies
梶田孝道編『新・国際社会学』(2005)と本 講義の異同
解説:池田光穂
このページは2006年度高知大学医学部集中講義・国際関係論「忘れる人のための国際関係論」の参考書に指定された梶田編(2005)の本と、この授業との 関連性ならびに、講師(池田)が用意するウェブ・リソースとの関連性を指摘するものです。
このような解説をおこなうことは、梶田編の参考書にある各執筆者について積極的にも消極的にも評 価をすることと無関係であり——私は執筆者や出版社とは何の利害関係もありません——純粋に学問的動機ないしは教育的配慮に従って作成したものです。ま た、このページは、その本についていかなる論評をおこなうものでもありません。
【国際社会学の基礎理論】
1.国際移民の社会学 |
【キーワード】pp.317-335[一部原著とはちがう表現をしています]
・ 非合法移民(illegan immigrants) ・デニズン(denizen、定住外国人) ・遠 隔地ナショナリズム(long distance nationalism) ・トラフィッキング=移民搬送活動(trafficking) |
移民に関する議論は、講義04「国家のもつ意味」等で論じられます。 |
2.エスニシティの社会学 |
・エスニック集団
・動員主義的アプローチ ・社会関係資本 ・個人化 |
エスニシティ関する議論は、講義04「国家のもつ意味」等で論じられます。 |
3.ネーションとナショナリズムの社会学 |
・ナショナリズム
・エスニー(ethnie) ・ネーション ・カルチュラル・スタディーズ |
ナショナリズム関する議論は、講義04「国家のもつ意味」等で論じられます。 |
4.ジェンダーと国際関係の社会学 |
・脱構築
・フレーム ・ジェンダー ・ポストコロニアル研究 ・国際社会 |
ジェンダーは、それぞれの箇所において検討する重要な議論のテーマです。
事例検討になりますが、FGMと国際社会(→リンク)というテーマで触れる可能性があります。 |
5.宗教と国家の比較社会学 |
・イスラム原理主義
・イスラム神秘主義教団 ・解放の神学 ・民衆宗教 |
宗教もまた重要なテーマです。西欧社会におけるイスラム教、ユダヤ教、キリスト教の関 係については、個別事例の紹介になりますが講義08「中東情勢」の部分で触 れることになります。 |
【国家を横断する主体と現実】
6.EUにおける人の国際移動 |
・ヨーロッパ連合(EU)
・EC市場統合 ・地域統合 ・「文明の衝突」 ・「移植されたイスラム」 |
EUに関しては、講義09「超大国および地域の国際政治」で検討します。 |
7.グローバル化の諸力と都市空間の再編 |
・ジェントリフィケーション(gentrification)
・外国人労働者 ・「下町」 |
わかりにくい章の内容ですが、強いグローバリゼーションのプロセスの中での都市生活の 変貌という観点からは、講義10「新国際経済秩序あるいはネオリベラリズム経済」に深く 関係する内容です。 |
8.トランスナショナル・メディアの可能性 |
・メディア文化とグローバル化
・文化帝国主義 ・脱中心化 ・トランスナショナル ・グローカル |
文化の問題です。スペシャルページ「異 文化理解の基礎」をご覧ください。 |
9.国境を越える社会運動 |
・サブ政治
・新自由主義 ・反グローバリズム ・農業の工業化 ・多国籍企業 |
国際政治に関わる問題は講義03「国際政治理論+対外政策論」で論じます。 |
10. NGOとグローバル市民社会 |
・NGO
・グローバル市民社会 ・グローバル・ガバナンス ・ヘテラーキー(「政治権威が統治の各層に分担・分割され、多くのエージェンシーが統治 の作業を分担しているシステム」p.328) ・フレーミング |
市民社会の変貌、ないしそれに対する市民社会の新しい対応は重要な問題ですが、十分に 触れられないと思います。理論的な「統治の問題」(→リンク)や「権力の問題」を中心に論じま す。 |
【変貌する人種/民族/国家】
11. アイデンティティ・ポリティクスのジレンマ |
・アファーマティブ・アクション
・多人種アイデンティティ ・人種 ・ホワイトネス |
人種・民族に関する議論は、文化人類学者には得意のテーマですので、きちんと説明する
つもりです。
・人種 ・民族 ・先住民 |
12. 多文化主義政策の現在 |
・多文化主義法:「カナダにおける多文化主義の維持と向上のための法律」(1988)
・公用語法(1969/1988) ・カナダ遺産省(Ministry of Canadian heritage) ・市民権・移民省 ・ケベック・ナショナリズム |
多文化共生に関しては、私(池田)は実践的関心をもっていますので「多文化共生保健コミュニケーター」などのページをごらんください。 |
13. 社会主義後の多民族状況 |
・多民族状況
・連邦制 ・言語問題 ・ソヴィエト民族理論 ・制度論的アプローチ |
資本主義へ再び戻りつつある旧・社会主義国や独裁国家は、近代国家プログラムの新旧の 制度の入れ替わりなど複雑な問題を抱えています。ただし、このことは授業全体の流れの中で検討します。身近な例としては中国なので講義07「極東・東南アジア情勢」でしょうか。 |
14. 経済発展とエスニック関係 |
・ブミプトラ(bumiputra)
・華僑・華人(overseas Chinese) ・権威主義的体制 ・多極共存民主主義 ・アジア的価値 |
東南アジア情勢ですので、講義07「極東・東南アジア情勢」で論じます。 |
15. 在日韓国・朝鮮人の変貌 |
・定住外国人と新渡日外国人
・日本籍の在日韓国・朝鮮人(Korean Japanese) ・民族教育 ・特別永住資格(「日本国の平和条約の発効により日本の国籍を離脱した者で、終戦前から 引き続き本邦に在留しているもの及びその子孫が、日本に永住できる法的な地位」) ・集団的権利 ・対内的制約 ・対外的制約 |
これも日本をめぐる極東情勢ですので、講義07「極東・東南アジア情勢」で論じます。 |
16.まとめ |
Mitzubishi Ikeda, 2007-2019