『ハンナ・アーレント伝』読書メモ
エリザベス・ヤング=ブルーエル『ハンナ・アーレント伝』晶文社 1999年(Hannah Arendt : for love of the world / Elisabeth Young-Bruehl.New Haven : Yale University Press, 1982)
【読書ノート】
* イスラエルに反対するユダヤ教徒(酒井啓子教授) http://bit.ly/bub1lq
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「教える者の見解が審査を受けるということがいったん起きると、学問の自由は根底から否定される」——ヤスパース(引用はヤング=ブルーエル
1999:87)
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「同化が市民権の代償でない」ような共同体をいかにして建設するか——(ヤング=ブルーエル1999:121)アーレントの1975年ソニング賞受賞講演
* 強制的同質化(Gleichschaltung)—アーレントは知識人とその職業的性癖(d伺romation
professionelle)こそがナチスとの同質化に寄与したと指摘(ヤング=ブルーエル1999:165)
* ドイツ1933年(昭和8年)もちろん1月にヒトラ政権掌握:しかし同年、8 月1日
- 改正図書館令施行 (政府による図書館統制強化開始)、また9 月5日 -
キューバでバティスタ(後の大統領・独裁者)による軍事クーデター、ふふん〜 http://bit.ly/bpZTr6
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モスクワ裁判(1936,37,38)において革命党が全体主義運動に変化(転落?)していったことを当のヨーロッパや北米の知識人たちが十分に認識して
いたのに、なぜソビエト全体主義体制を国際社会は切り崩せなかったのか?_今日のミャンマー、チベット、北朝鮮と中枢国にも通底する問題
* 彼らの国際主義は個人的確信に留まり、主権についての彼らの健全な無関心は、国際政治には非現実的な無関心になった、というのがアーレントの結論
Origin of Totalitarianism p.264 http://bit.ly/9KEo9F
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う〜「ハンス・アイスラー/詩:ベルトルト・ブレヒト/老子亡命途上での道徳経成立の物語(1957)」を聴いてみたいもんじゃ〜1938年?にベンヤミ
ンがパリに持ち帰った思い出とともに(ヤング=ブルーエル
p.219)
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国=ホームを持たない難民は(当然のことながら)「強制送還」手続きにおいて送り還される「国=ホーム」がない[ホームのある人間はホームのない人間がど
のように処遇されるかという経験を仮想でも想像できる契機をそのままでは何ももたない] http://bit.ly/bM2cMe
* How interesting is, the Arendt's theoretical concept on "Inter-racial
imperialism" for analyzing anti-Semitism with imperialism !
* 「誤った信頼と行動の拒絶によって支払われる代価」おおっ!おとろしや〜(ヤング=ブルーエル
p.230)
* The Fourteen Points (1918) by US President Woodrow Wilson declared
with
pointing self-determination of "national groupings."
* 故郷を持たないものは幸せだ、彼は今でもそれを夢にみる——ハンナ・アーレント(ヤング=ブルーエル1999:266)
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確かに歴史叙述というものは書き手——集合的なものを含む——の正当化を伴うねぇ〜(とりわけ歴史主義のイデオロギーの残滓がのこる今日においても……)
* おおっ!The Dark Side of the Moon
ってロシア収容所の回想記(著者不明)のタイトルなの(ヤング=ブルーエル1999:286)
* 補足:いや〜まさに sui generis 空前絶後だね〜♪(ヤング=ブルーエル1999:288)
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なるほど、ヨーロッパの反米(正確には反=アメリカ合衆国)主義の起源は、全体主義崩壊後のマーシャルプランの開始に遡れるか〜(ヤング=ブルーエル
1999:292)
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近代国家を生きる我々にとって、テラーとは日常生活からかけ離れた非日常な出来事ではない。むしろテラーとは、我々の生活空間と壁一枚隔てたところで進行
している事態であり、それらは局所的な特殊事象でありながら同時にかつグローバルな一般的事象である http://bit.ly/9Ty36F
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ヤスパースとゴッフマンの2つの接点を持ちそうもない二人の思想家(前者は実存主義哲学、後者は私に言わせると「実存派」社会学者)について対照的に考え
る——当世流行の安っぽい対称性人類学じゃないからな〜♪
http://bit.ly/aKq5GS
* リースマン『孤独な群衆』誕生秘話(ヤング=ブルーエル 1999:346)
* アーレントの人権に関する権利概念は、自然法的な啓蒙の概念から完全に離脱しているために、空前絶後,
sui generis だね。自然と文化の二分法からみれば、完全に文化の領域におけるオリジナルな発想、スバラシ!(ヤング=ブルーエル
1999:352)
* 世界とそこに住む人間とは同じものではない、世界は人々のあいだにある—ハンナ・アーレント(ヤング=ブルーエル
1999:356)
* 鉄槌による哲学(ニーチェ)
* 「ナザレのイエスは神ではなく、白痴だった」—ハインリッヒ・ブリュッヒャー(ヤング=ブルーエル
1999:368)
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「ナザレのイエスは神ではなく、白痴だった」というギャグは今日でもザ・シンプソンのみならず俺達の茶の間でも腐るほど語られているが、メル・ギブソンが
見事に表現したようにグロい事以外のなにものもないからね。でもギャグが威力をもつのはそれに対抗する神聖化が給備されているからだよね〜♪
* マルクスの全体主義への我有(appropriation)のプロセスの解明(ヤング=ブルーエル
1999:376-378)
* 古い主権(sovereignty)概念にしがみつくことへの危険(ヤング=ブルーエル
1999:383)
* 確かに国民主権(national
sovereignty)というのはすでに死んでゾンビになっている主権概念を生き長らえらせる姑息な発明物だったかもしれない。しかしその放棄の先に全
体主義がまっていたのも事実。つまり国民の国有化あるいは社会化(Nazi)
* アーレントとシュレジンジャーJr.との邂逅の箇所『クリティーク』創刊(ヤング=ブルーエル
1999:388)
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1994年のアパルトヘイト廃止以降の、世界の反人種主義運動のターゲットはイスラエルがパレスチナに継続しておこなう人種差別政策へと舵を切った。これ
は冷戦の終わりとともにその問題の歴史的起源が深いことを再認識させることでもあった。
* イスラエルがパレスチナに継続しておこなう人種差別政策の起源としての1954年の国籍剥奪法(ヤング=ブルーエル
1999:393-395)
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そう!俺達のうまれた年はフルシチョフの秘密レポート報告と水俣病の「公式認定」だからね。もろ[その前後にもいろいろあるけど]ポスト政策災害世代なん
です〜。国会議員を絶対信じてはいけないという態度も三つ子の魂レベルなんです。
* イスラエルの帝国主義化(ヤング=ブルーエル 1999:401)
* 哲学に政治的概念がないという指摘はこれまでにも随所に出てくるがアーレントの言葉(引用)としてはここが初出か(ヤング=ブルーエル
1999:406-408)
* 人種差別撤廃論文「リトルロックについての省察」とその論争(ヤング=ブルーエル
1999:414-426)結構長い議論
* 後からの癒し(cura
posterior)というものが、我々の属性であると同時にかけがえのない「能力」であるがゆえに、人は死にゆく人に「生きろ」と叫びつづけなければな
らない……
* ゲルショム・ショーレムみたいな奴は俺達のまわりにもいるよね(ヤング=ブルーエル
1999:450)
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アイヒマン裁判でユダヤ人証人への質問である「あなたはなぜ反抗しなかった」というハウスナーの審問の背景を語るアーレントの恐るべき真実!!!(ヤング
=ブルーエル
1999:461-462)_はいまだ『ハンナ・アーレント伝』晶文社
* レオ・ベック批判問題(ヤング=ブルーエル 1999:482-487)ここいらは重要だな〜
* エルサレムのアイヒマン論争、その果ての「根本悪」概念の放棄(ヤング=ブルーエル
1999:489)
* 「政治は保育園のようなものではなく、政治においては、服従と支持は同じものだからである」『エルサレムのアイヒマン』アーレント伝p.496
* 善良な人が最悪のことをする——アーレント(ヤング=ブルーエル 1999:499)
* そうそう!アーレントがアドルノを蛇蝎のように嫌うのもやむなし!(ヤング=ブルーエル
1999:500-501)
* 「はるかに信頼できる人は、疑う人、懐疑主義者でしょう」H・アーレント(ヤング=ブルーエル
1999:501)
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「事実は、たとえそれがどんな恐ろしいものであっても、「われわれが忘れないように」ではなく、われわれが判断できるように保存されなければならない」
(ヤング=ブルーエル[彼女自身の言葉]
1999:504)
* 「神々は物語を語り歌うことができるように不幸や悪事を人間にまわしてよこす」だって!(ヤング=ブルーエル
1999:504)
* 「詩を栽培して/呪いの葡萄酒をつくれ/嘆きの恍惚のなかで/人間らしい不運を歌え」——W.H.オーデン[詩人](ヤング=ブルーエル
1999:504)
* 1965年4月15日紐育タイムズ誌ハンス・モーゲンソー論文(ヤング=ブルーエル1999:510)
* 弘法のアーレントも歴史認識——とりわけベトナム戦争と合衆国の戦略的布置——を誤る(ヤング=ブルーエル1999:526)
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ブレヒトとスターリン問題は映画『善き人のためのソナタ』の一シーンを思い起こす、つまりあれはアレゴリーあるいはメタヒストリーだとね(ヤング=ブルー
エル1999:526-529)
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ネットルのローザ・ルクセンブルグ伝記とレーニンと対比される彼女の非マルクス主義的解釈から共和国主義への思考のプロセスはなかな圧巻じゃ〜(ヤング=
ブルーエル
1999:530-535)
Rosa Luxemburg, 1871-1919
Hannah Arendt, 1906-1975
* アーレントとギアーツとの交錯をなんで考えなかったのか!俺ってアッホ http://bit.ly/bJxSFW
* 「何にでも顔を突っ込む批評家のジョージ・スタイナー」の表現に座布団一枚! 誰だ俺のことだと言っている奴は?(ヤング=ブルーエル
1999:536)
* ミルトン・コトラー Neighborhood government, 1966(ヤング=ブルーエル
1999:538)
* 1967年アメリカ政治学会における全体主義に関する議論は重要だな〜(ヤング=ブルーエル
1999:5543-545)
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暴力を権力の延長や集中の概念でとらえないアーレントの見方はチョムスキーの非暴力が力(=権力と我々が呼ぶもの)になりうるということをはからずも「論
理的」に実証する(ヤング=ブルーエル
1999:551)http://bit.ly/bEgnDj
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モーゲンソー「あんたはいったい(政治思想において)何者やねん?」アーレント「わかりまへんねん(略)しゃーけど気にしてまへん」(ヤング=ブルーエル
1999:599)_って晩年のフーコーと似とるぞっ(Fのアイディア剽窃をまたひとつ発見!)
* Denken ohne Gel穫der てすりなき思考活動(ヤング=ブルーエル 1999:602)
Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099