コヨーテとミグラの間で:移民にとっての心理的脅威
Between Coyote and Migra: Various psychological threats for Migrants from Central America
■コヨーテとミグラの間で:移民にとっての心理的脅威
・コヨーテは、労働移民のための非合法の旅行エージェントであり、労働移民の送出先の村落に赴いて、比較的高額でアメリカ国内あるいはアメリカ とメキシコの国境までの搬送つまり旅行に添乗する。コヨーテの語源は不詳だが、野生のイヌ科の肉食獣で、アメリカ西部の先住民文化においてはトリックス ターの役割を果たすこともあるが、評判のよい動物ではない。
・グアテマラにおけるコヨーテの多くは、労働送出先の地元民か、ソロマなどの移民を多く送出させている住民である。前者は、高額な契約金を支払 うために地元民が有利で信頼がおけるという理由からよく利用され、後者は、移民の送出には危険が伴うために、業務に対する信頼という観点から指摘されるよ うだ。
・コヨーテには、かつてのプランテーションへの労働周旋人(contractor)のような、賃金の前貸しや労働契約に関する業務は行わないの で、機能上の類似点は全くない。しかし、村落の外部と内部の労働経済的関係を周旋するという点で、象徴的には(善悪という観点からは)アンヴィバレントな 存在として、よく似た扱いを受けている。
・ミグラ(メキシコあるいはアメリカの移民局[Immigration and Naturalization Service]のエージェント)であり、村落においてこのことについて知るものは、移民経験をもった者しかいない。ミグラは、労働移民にとっての経済的 成功という野望を挫くという意味で「敵」ないしは「やっかいな存在」として認識されている。村落でミグラのことを聞くのは、コヨーテが移動の段取りを話す 中である。また、通過するだけのメキシコのミグラは不法移民にとって評判の悪い存在であり、その悪行についてのさまざまなフォークロアが存在する。メキシ コと比較されて、アメリカのミグラが「よりまし」な存在として語られることがあるが、移民の不法性を暴くエージェントして移民にとって敵であることにかわ りはない。
リンク
文献
その他の情報
Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 2011-2019