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人類学者の課題

El papel del[a] antropolog@

池田光穂

26■人類学者の課題

これまで私が述べてきたことは、(a)現在の私たち を取り巻く社会文化的環境つまり時空間上の「いまここで」どう考えるかという観点よりも、(b)制 度 的通訳文化人類学がもつ定常的な存在規定としての「これはこれこれであ る。あれはああすべきだ」という主張がより強くなされているように、読者は思われ るかもしれない。にもかかわらずこのふたつのことが私のなかでそれほどお互いには矛盾しない。

異文化において調査をおこなう文化人類学者が、自ら がもつ自民族中心主義を克服して、自文化の調査研究を遂行するためには、対象者が考え行動するように 自分自身の感覚を他者に〈転移〉(クラパンザーノ 1991)することで、かろうじて自文化を相対化することができる。この〈転移〉は精神的安定性という観点からは極めてリスクの大きい実践である。医療通 訳の文化人類学における研究対象は、(1)医療通訳者と(2)その被益者(外国人の患者)ならびに(3)医療通訳をめぐる日本の社会的文脈である。

もし、文化人類学の知見が、医療通訳の制度化に貢献できるのであれば、臨床におけるコミュニ ケーション過程における被益者の考えや行動に対して、いかに 適切な「文化の翻訳」を提供することができるかどうかであろう。逆に、不適切な「文化の翻訳」が医療通訳者に対して提供されるのであれば、これは双方の発 展にとって不幸の極みである。文化人類学における制度化と職業倫理の形成は、この部分に深く関わっている。文化の翻訳には、資格は不要だが、その遂行には 大きな倫理的な責任が伴うことは言うまでもない(cf. Hotaka 2002)。

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Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1997-2099

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