認知症と呼ばれる老い人が「うちに帰りたい」 というとき、何が起きているのか?
《認知症コミュニケーション・デザイン》以下の文章は、池宮輝哉(てるくん)氏による、「認知症と呼ばれる老い人が「うちに帰りたい」というとき、何が起きているのか?」という文章で ある。みなさんにとって「うちに帰りたい」と思った時の気分と、認知症と呼ばれる人の気持ちの人が「うち に帰りたい」と表現した時に、その人に去来する気分にどのような類似点、相違点があるのか考えてみましょう。
ぼく自身の人生に照らし合わせてみると「うちに帰る」というこ
とについては、小さい頃から両親や親族間のいがみ合いによる家庭崩壊や家の差し押さえが続いた経験があるので「うち」と言うものについてあまり良い思い出
がありません。帰りたいと思うどころか、なるべく帰りたくないという気持ちがありました。
なので、介護施設で「うちに帰りたい」と言われるお年寄りに関しては、たとえ事情などで帰れなくとも、帰りたい場所があると堂々と宣言できるという事は、
自分にとって少しうらやましい気持ちがあります。周りからはわからない人と言われても、自分が帰るべき所をしっかりわかっているのです。
人生いろいろありましたが、ぼくは今小学校の子どもたちを中心とする放課後子ども教室の仕事をしています。「童心に帰る」という言葉がありますが、ぼくに
とって帰りたい「うち」のような場所が少しずつ出来てきました。みなさんが帰りたいと思える場所はありますか?
みなさんはどうでしょうか?
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