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オープン・エデュケーションとは？

What is Open Education? : Globalizing worldwide manipulation? Or powerful salvation tool for all the poor who cannot access to public education?

池田光穂

オープン・エデュケーション（開かれた教育： open education）とは、知識を創り出し、みんなで共有（シェア）し、かつ構築してゆかねばならないと人びとが考える時に、必要とされる理念やそれにも とづく方法のことである。

オープン・エデュケーション・コンソーシアム（http://www.oeconsortium.org/）は、 開 かれた教育に対して次のように言及している。

「教育へのアクセスと全世界的な効果をよりよいもの にするために、すべての人に開かれた共同参画（オープン・シェアリング）という方法を用いる（1）学習資源、（2）道具（ツール）、（3）実践活動、を含 むものが『開かれた教育』すなわちオープン・エデュケーションである」（下記の英文の意訳）

"Open education encompasses resources, tools and practices that employ a framework of open sharing to improve educational access and effectiveness worldwide" - Open Education Consortium, http://www.openeducationweek.org/what-is-open-education/

この理念や方法で、期待されている強力なツールがイ ンターネットであることは言うまでもない。東京大学が紹介するオープン・エデュケーションは、その点ではとても偏った紹介で、適切な紹介とは言いがたいも のであるが——つまり真に受けてはいけないものだが——日本における、オープン・エデュケーションを謳い、人口に膾炙させたものであるので、取り上げなけ ればならないものである。あるいは、それ自体が、日本におけるオープン・エデュケーションの理念の輸入文化史に欠かせない資料になる。

「オープンエデュケーションとは、高等教育機関が講 義や教材などをインターネットを使って広く一般に配信することで、大学で生まれた知を社会に還元する教育活動を指します」出典：http: //www.he.u-tokyo.ac.jp/edtech/open-education/

京都大学の定義も、また、そのような換骨奪胎の好例 であるので、引いてみよう。しかし、この紹介の後半部分は、オープン・エデュケーションの思想的コアを部分を外しておらず、上の東大のものよりもはるかに ましである。

「世界のどこにいようとインターネット環境さえあれ ば、無償で提供されるさまざまな講義ビデオや教材から学ぶことを可能にしてくれるオープンエデュケーションは、インターネットが普及しつつある世界で進行 中の、「学びと教え」を巡る素晴らしいムーブメントです」http://www.z.k.kyoto-u.ac.jp/freshman- guide/pokezemi/past-years/14/show/210

では、なぜインターネットなのであろうか？　オープ ン・エデュケーション・コンソーシアムの主張に再度耳を傾けてみよう（＝眼差しを見開いてみよう）。すなわち、オープン・エデュケーション（OE）は、 （1）学習資源、（2）道具、（3）実践活動からなりたつ、全世界的（ワールドワイド）な善意の試みである。

そのような試みに、人びとが参画する時に、この３つ の軸に沿って人びとはさまざまな課題に直面する。すなわち（１）学習資源をめぐる課題、（２）学習のツールをめぐる課題、そして（３）実践活動をめぐる課 題である。

そのようなオープン・エデューケーション資源 （Open Education Resource[s]）をネットを中心に提供するというのは、全世界ネットでのオープ ン・エデュケーション・コンソーシアムの目論見なのである。

そして、教育におけるテクノロジー（エドテック：Educational technology, EduTech, or EdTech）というものがある。

"Educational technology (commonly abbreviated as EduTech, or EdTech) is the combined use of computer hardware, software, and educational theory and practice to facilitate learning. Educational technology creates, uses, and manages technological processes and educational resources to help improve user academic performance.[The field has been described as a persisting initiative that seeks to bring learners, teacher, and technical means together in an effective way."

以上のことを踏まえて、思いつつままにそれらの具体的な課題について考えて みよう

（１）学習資源をめぐる課題

• ・世の中に数多ある学習資源のうちどのようなものにプライオリティ（優先順位）をおいて提供あるいは配信するのか？
• ・提供する学習資源の正当性・正しさ・良質なこと、をどのように保証してゆくのか？
• ・学習資源というものは、揺るぎのない必須のことから、知らなくてもよいものまでさまざまなのか？　それとも、あらゆる森羅万象のことを 効率良く伝えるほうが、その理念に対応するのか？
• ・全地球の人びとが、かならずシェアしなければならないことはなにか？
• ・提供される多様な資源に対して、学習者はどのように取捨選択する権利と能力を持ち得ることができるのか？
• ・等々
  

（２）学習のツールをめぐる課題

• ・世界のさまざまな多様な言語に対応すべきなのか？　それとも「国際語」と呼ばれるメジャーな言語で提供すべきか？
• ・インターネットはオープン・エデュケーションにとっての強力なツールであるが、それだけでいいのか？
• ・人と人が直接出会い、対話を繋げることが全くなくてもよいのか？
• ・インターネットによるオープン・エデュケーションを通して、人と人のコミュニケーションの様式が将来変化することはないのか？（それは よいことなのか？／それとも弊害はまったくないのだろうか？）
• ・文字情報の提供がいいのか、それとも動画配信がいいのか？
• ・インターネット・ツールという教育上の武器が協力でも、結局はタブレットを製造したり、それに関するソフトウェアを提供する企業の営利 活動に片棒を担ぐのではないだろうか？
  

（３）実践活動をめぐる課題

• ・オープン・エデュケーションのような手法は、わざわざ銘打たなくても、ネットを利用して、自分で勉強している人には当たり前の実践なの ではないか？
• ・オープン・エデュケーションのような用語は、わざわざ銘打たなくても、これまでも世界の多数の社会教育や識字教育をおこなってきた人に は、当たり前の理念なのではないか？
• ・学習者の質問に答えるためには、インターネットを介してもマンパワーの投入が必要なのではないか？
• ・高齢者や子供たちに、インターネット利用のレクチャーをするためには、きめ細かいマンツーマンのサービスも必要なのではないか？
• ・インターネット・ツールという教育上の武器が協力でも、結局はタブレットを製造したり、それに関するソフトウェアを提供する企業の営利 活動に片棒を担ぐのではないだろうか？
  

文献

• Open Education Consortium
• What is Open Education?(2015) by Open Education Consortium
  
• 京都大学国際高等教育院「オー プンエデュケーション入門2013年」
• インターネットはからっぽの洞窟 / クリフォード・ストール著 ; 倉骨彰訳、東京 : 草思社 , 1997.1
• コンピュータが子供たちをダメにする / クリフォード・ストール著 ; 倉骨彰訳、東京 : 草思社 , 2001.11
• 池田光穂「クリフォード・ストール頌歌」
  

• For all undergraduate students!!!, you do not paste but [re]think my message. Remind Wittgenstein's phrase, "I should not like my writing to spare other people the trouble of thinking. But, if possible, to stimulate someone to thoughts of his own," - Ludwig Wittgenstein