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トリヴァース=ウィラード仮説

Trivers-Willard Hypothesis

池田光穂

トリヴァース=ウィラード仮説とは、一夫多妻の動物では、条件にめぐまれた母親(高品質のメス)は次世代の子どもはオスを 多く産むのに対して、恵まれない母親(低品質のメス)は次世代のこどもメスを多く傾向がある、という現象があるのではないかという仮説である。

ロバート・トリヴァースとダン・ウィラードが 2002年に出した仮説。これによると、低品質のメスの子どもは低品質のオスよりも繁殖活動において成功しやすい。そのため、次世代の子どもの生産におい てもメスを多く産んで生殖の機会を増やすほうに淘汰圧がかかりやすい。なぜなら、遺伝子の質が低品質であってもメスのほうが繁殖に成功しやすいからだ。他 方、高品質のメスは、高品質のオスを産んだほうが、高い生殖確率を確保できるために、オスを多く産むほうが次世代にたくさん遺伝子を残しやすい。(図を参 照)

ただし、よい子のみなさんは、貧乏人の家族で女の子 がたくさんいる家族をみて、その子のお家のお母さんは低品質だと思わないでください。大学の先生でも、ときどき、大学の生徒(学生と言いますが)にわかり やすく説明するために、こんな例を使うことがありますが、それはまちがいです。生物の繁殖活動においては、一般的にメスがオスよりも性行動にイニシアチブ をとります。愚かな人間だけです、男の子が女の子とセックスするときには、リードしなくちゃならないと思い込んでいるのは。メスが、繁殖活動の一環として のセックスにリードをとる理由は、より質の高い遺伝子(図では生殖質と書いています)をえるために、高品位つまり遺伝的質のよいオスを選ぶことに都合がい いからです。どんな女の子でも、身持ちのわるいチャラ男の子どもを宿したいとは思わないでしょう?だから女の子が、三高でも四高でも、ハイスペックの男 の子を求めるのは、理にかなっています。もっとも、「身持ちのわるいチャラ男」が遺伝的にチャラチャラしているわけではなく、生まれてからの生活や親や社 会の訓育で、そのように育てられるからです。実際「男の子が女の子とセックスするときには、リードしなくちゃならない」というのは遺伝的なものではなく、 生まれてからの社会化(しゃかいか)のせいだといわれています。詳しくは「社会生物学」や「包括適応度」や「進化的安定戦略」を読んでください。

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