新型コロナ流行下のこども食堂への影響について
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緊急事態宣言下におけるこども食堂の実態に関して大 阪府と兵庫県の事業運営者に緊急アンケート調査をおこなった。その目的は、大阪、関西ならびに全国における子供たちの生活状況を把握し、こどもたちのさま ざまな諸権利が適切に守られることを願い、こどもたちが緊急事態宣言下においても、疾病流行から守られると同時に、諸権利が脅かされないように、その研究 成果を、行政・大学・家族・大人に助言することにあった。本調査研究では移動や面談の制約がある中、情報収集方法を検討、郵便とインターネットアンケート を実施してこどもたちの置かれている状況について情報収集した。5月21日までに大阪府と兵庫県で451団体に依頼をして65件(20%)の回答があっ た。
5⽉25⽇に第1回目の速報レポートをまとめて、回
答者ならびに関係者に配布した。その結果、平常時はほぼすべての団体(98%)で⾷事を提供していたが、緊急事態宣⾔後は約6割の団体で⾷事の提供を取り
やめていた。その理由には使っている場所が⾼齢者施設や市の施設であるため場所が封鎖されたり使えなくなったりしているからである。⾼齢者や地域の中での
交流を促進するという⽬的を持ったこども⾷堂の存在が明らかになった。そして、平常時のこども食堂では、学習支援をおこなっておりそれができなくなった
が、緊急事態宣言後は、課題を配布し添削指導をおこなっているところもあった。
論点をまとめよう。これまでの国や⾏政が果たすべき 貧困世帯へのサービスの不⾜が根本的な問題としてあること。⽀援活動を⾏っているこども⾷堂そのものへの理解や認知も不⾜している。例えば、学校や教育委 員会との連携を図ることができない、そのために⽀援が必要なこどもたちを把握できていない、⽀援を届けることができない、といった問題を抱えている団体が 多くあった。新型コロナ流行のような⾮常時においてその負の影響が顕著にでてしまっていると言える。アンケートの回答には、ネグレクトや虐待を受けている こどもたちもいるのに、安否確認ができない、こどもだけでなく、親たちが⼤きなストレスを抱えている、また孤⽴している、といった⼼配の声が多く挙げられ ていた。
これらのことから、貧困問題を包括的に取り組む必要
性が明らかになった。「国や⾏政」への要望として、こども⾷堂への運営費の補助・⽀援や、運営に関する対応策(特に責任の所在や指針)の明⽰に関しても意
⾒があった。今回の調査結果を政府や⾏政にきちんと伝えることが、アンケートに答えてくださった運営者の想いであると同時に、それを正確に伝えることが我
々調査者の使命であることが認識できた。関係者に謝意を表したい。
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