かならずよんで ね!

ダニエル・ブーアスティンと擬似イベントの行方

Danny Boorstin and Pseudo-event


Daniel Joseph Boorstin, 1914-2004

池田光穂

Danny "Boorstin was born in 1914, in Atlanta, Georgia, into a Jewish family. His father, Samuel, was a lawyer who participated in the defense of Leo Frank, a Jewish factory superintendent who was accused and convicted of the rape and murder of a 13-year-old girl. After Frank's 1915 lynching led to a surge of anti-Semitic sentiment in Georgia, the family moved to Tulsa, Oklahoma, where Boorstin was raised. He graduated from Tulsa's Central High School in 1930, at the age of 15.[3]" he was "an American historian at the University of Chicago who wrote on many topics in American and world history. He was appointed the twelfth Librarian of the United States Congress in 1975 and served until 1987. He was instrumental in the creation of the Center for the Book at the Library of Congress.And repudiating his youthful membership in the Communist Party while a Harvard undergraduate (1938–39), Boorstin became a political conservative and a prominent exponent of consensus history. He argued in The Genius of American Politics (1953) that ideology, propaganda, and political theory are foreign to America. His writings were often linked with such historians as Richard Hofstadter, Louis Hartz and Clinton Rossiter as a proponent of the "consensus school", which emphasized the unity of the American people and downplayed class and social conflict. Boorstin especially praised inventors and entrepreneurs as central to the American success story.[1][2]"-Daniel Joseph Boorstin, 1914-2004.

コミュニケーションの文化史」の演習課題

◎ニュースの取材からニュースの製造へ

ページ
パラグラフ
コンテンツ(池田=教師の読解)
15
1
新しいニュースへの渇望は、ニュースメディアが登場し、かつ日常生活の中に入り込んだ結果である

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ニュースメディアの神学とは「ニュース は正確であれ」ということだが、かつてはそれがジャーナリストの神学になりそれ(=信条告白)により多くの人が弾圧をうけたり拷問を得た。そして、擬似イ ベントの時代になり、その虚構をもはや多くの人は信じず、ニュースの雰囲気だけを消費する。これはキリスト教における神の没落ととてもよく似ている。
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3
ニュースの定義は、読者をして「おや」「まあ」と驚かせるもの。

4
ここから得られる教訓は、世の中の数多 のできごとをニュースメディアを通して、すべて知る必要はない。メディアはバイアスが入ったものだし(バイアスの入った情報=伝えを「ニュース」と再定義 してよろしい)、むしろ、「ただしい読者」のあり方は、溢れる情報から、自分に適したものを恣意的に取捨選択して、その結果を(自分が考える)全体との測 量をする方法を自ら編み出すことだ。
・ここまでは、世の中にはニュースが横溢しているという「神話」の解説。

5
・ニュースコンテンツがすごいのに、それを伝えた記者がすごく(存在感のある記者だと)感じる。ブーアスティンが主張した幻影に惑わされる「ニュースの消費者」の愚かさ。
16-17
5-2
※パラグラフ番号の挿入をしていません。17ページ冒頭は、15-2パラグラフと理解してください。
・社会は変化しており、また時に「進歩」しているというイメージを、我々に植え付ける。それがメディアの機能。
17
6
・ブーアスティンは「欲張った期待」、今日では「欲望」と呼ばれる。

7
【1】擬似イベント(pseudo-event)の定義=「合成的な新規な出来事」
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8
エドワード・バーネイズBernays, Edward L. 1891-1995)の教訓は、商売の秘訣は中身をよくするのではなく、いかに外見と評判をよくするか?である。例)中身がゴージャスでない古びたものは、老舗の風格を引き継いだ手厚い顧客サービスという(=アピールする)ことだ。

9
・ブーアスティンの良識ある「虚構の解剖」

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・何を言っているんだ、戦況をつくるのは儂だ(ナポレオン)
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擬 似イベントの特徴;1)意図的である、2)仕組まれている、3)現実との関係はあいまい、4)予言の自己成就的である。ブーアスティンの問題は、実際のリ アルな現実が、擬似とリアルのハイブリッド、あるいは言説編成体(フーコー)という意識が欠けていることだろう。ま、幼稚な先行者が甘んじてうけなければ ならない洗礼であるが……
20
13
【2】ダニエルの嘆き

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・擬似イベントの歴史は、アメリカの歴史である

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・19世紀のニュースシステム

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・18世紀初頭からのニュース
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・グラフィック革命(これは慧眼)
・メディアの歴史を開陳
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・フランクリン・ルーズベルト
・ディズレイリーとジョージ・アリスの倒錯した関係

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・マスコミの誕生
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・本格的インタビューの誕生

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・ニュース製造の力
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・大統領記者会見

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・テレビ番組

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・大統領定例記者会見
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26
【3】
・イギリス

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・アメリカ人は擬似イベントが大好き
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・ハンドアウトの(驚くべき)語源=戸口で物乞いに与える腐りかけた食い物のこと。たしかに最近は学生のひどいハンドアウトでお腹を壊す教授も多い。

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28
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・シカゴ・サン・タイムズ 1961.04.28の興味ふかい記事

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・成功する政治家とは、擬似イベントを上手に利用すること。
・ルーズベルトの炉辺談話(fireside chats): "The fireside chats were a series of evening radio addresses given by Franklin D. Roosevelt, the 32nd President of the United States, between 1933 and 1944. Roosevelt spoke with familiarity to millions of Americans about recovery from the Great Depression, the promulgation of the Emergency Banking Act in response to the banking crisis, the 1936 recession, New Deal initiatives, and the course of World War II. On radio, he was able to quell rumors, counter conservative-dominated newspapers and explain his policies directly to the American people. His tone and demeanor communicated self-assurance during times of despair and uncertainty. Roosevelt was regarded as an effective communicator on radio, and the fireside chats kept him in high public regard throughout his presidency. Their introduction was later described as a "revolutionary experiment with a nascent media platform."[1]"-The fireside chats.
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・FDR(Franklin Delano Roosevelt) とJFK

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・擬似イベントの天才としてのFDR

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・マッカーシー事件
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マッカーシー事件批判

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・アイゼンハワーが演じる擬似イベント

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・ジョージ上院議員「日本はアメリカで繊維製品をダンピングするかわりに中国と貿易せよ」(ca.1962)

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・ブーアスティン仮説:「人間はあらかじめ作られた内容によってその経験を満たす傾向がある」

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・実際にパレードを見に行くよりも、テレビでパレードの全貌を見る(見た気持ちになる)ことができる
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・テレビに自分が映ることが嬉しい

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・ニューオリンズの公立学校差別(1960年12月2日)"The Problem We All Live With" by Norman Rockwell, on Ruby Bridges (1954- )
ジョン・スタインベック
Norman Rockwellと聞くとこれでしょう?イデオロギー的には苛烈ではない彼がこれを描いたのは、1960年のルビーの登校意思表明「事件」について書いたジョン・スタインベックの記事が原因になるという。だけど、これを描ききるのに、4年もかかっている。


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ニュース・リークについて

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「ニュースリークは擬似イベント」——まさに正鵠を得ているように思われる

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「米国、4月に中共の金門、馬祖攻撃を予期、防衛策検討中」→「アイゼンハワーの見解『金門、馬祖で戦争はおこらない』(1955.03.26)
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擬似イベントはさらなる擬似イベントをうみだす。

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・宣伝と擬似イベントはちがう

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・全体主義社会において流通するのが宣伝

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・メディアが発達した米国で擬似イベントが横溢する

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【5】リンカーン「人民を永遠に騙すことができない」テーゼ

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・リップマンの「ステレオタイプ」

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経験の人為的単純化ではなく、経験の人為的複雑化が重要な課題だ(これも慧眼)
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擬 似イベントの特徴8つ:1)より劇的、2)報道されやすい、3)思いのままに繰り返すことができる、4)作り出すのにコストがかかる、5)理解されること を目的とするのでわかりやすい、6)社交の場で便利である、7)擬似イベントに精通することが物知りとみなされる、8)擬似イベントは他の擬似イベントを 指数関数的に増加させる

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・新しいグレシャムの法則(悪貨が良貨を駆逐する)

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・クイズショー

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・大統領討論のというクイズショー
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・当意即妙の能力と、政策担当の能力は別

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・アメリカの選挙民教育は、大統領選挙のテレビーショで瓦解してしまう。

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・擬似イベントは擬似能力を強調する

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アメリカ人が世界を支配する幻想を植え付ける

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・擬似イベントを一度味わうと、それに対する批判能力を失う


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Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1997-2099

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