COVID-19と現代日本:シラバス
COVID-19 and Modern Japan
01
ナンバリング |
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02科目名 |
現代社会論 |
03担当教員 |
池田光穂(大阪大学名誉教授) |
04対象学年 |
【クラス 】 |
05講義室 |
(遠隔または対面)【開講時期】 |
06曜日・時限 |
【単位区分】 |
07科目種別 |
講義 【単位数 】2 |
08準備事項 |
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09備考 |
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10(空欄) |
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11テーマ Theme |
COVID-19と現代日本 |
12概要 Synopsis |
「一
個の怪物がヨーロッパを徘徊してゐる。すなはち共産主義の怪物である」(堺利彦・幸徳秋水訳)とはマルクス・エンゲルス『共産党宣言』(1848)である
が、冷戦後の世界のなかで新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックは、それ以上に世界を震撼させている。「〜させていた」と皆さんとお会い
する時にはぜひ言ってみたいが、このシラバスを講義担当者の私が書いている時点では儚い思いでしかない。させていても/いたでも、COVID-19につい
ては、医療専門家や政治家ならずとも自分を守り、家族を守り、地域をまもり、日本をまもり、アジアをまもり、そして世界(地球)を守るために、さまざまな
知識をリアルタイムで入手し、適切な行動をすることが求められている。かつてのイデオロギーからの脅威が、現在ではCOVID-19からのそれに完全に置
き換わっている。現代社会論そして社会学入門のための教材あるいは教訓としてこの流行病について最新の情報を知り、適切に行動することが今まさに教員と学
生の一人ひとりに求められている。そのことを講義と一部アクティブラーニングで実践的に学びましょう。 |
13到達目標 Aim |
1.これまで知らなかったCOVID-
19にまつわる用語や概念を、友人や家族の人にわかりやすく説明することができるようになる。 2.COVID-19に関する具体的な知識(疫学、人獣感染症、パンデミック、PCR検査、再生産率、感染症予防、ワクチンなど)について知り、それをも とに疾患を予防し、また社会が感染症で苦しむ人々にどのような治療やケアをおこなっているのか理解できるようになる。 3.COVID-19に関する知識が、どのようにして自分の行動に変化を与えるのか社会学の用語(相互作用、アイデンティティ、公共圏と親密圏など)で、 人にわかりやすく説明できるようになる。 |
14 授業形態
Class style |
講義形式 |
15使用言語 Language(s) |
日本語(一部、英語教材)
chiefly in Japanese, partially with English materials |
16アクティブラーニング
Active Learning |
グループワーク(一部) Group
work(partial) |
17内容・スケジュール
Contents, schedule |
1.COVID-19が現代社会にもた
らした諸問題 2.ウイルス学の知識とその隠喩(1):SARS・新型インフル・COVID-19 3.ウイルス学の知識とその隠喩(2):スーザン・ソンタグ流の解剖 4.感染症の人類史(1):疫学史から入るCOVID-19入門 5.感染症の人類史(2):疫学史から入るCOVID-19入門 6.COVID-19流行の現代史(1):中国・武漢と欧州の現実 7.COVID-19流行の現代史(2):遺伝子解析とその解釈 8.対人コミュニケーション論の観点からみたCOVID-19流行 9.隔離の思想(1):ペスト文化と隔離(quarantine) 10.隔離の思想(2):近代の検疫省庁 11.「あたらしい生活」思想の誕生:COVID-19がもたらしたもの 12.生物兵器「言説」の分析:米・中・露のメディア戦略の分析 13.COVID-19に対する日本特殊論 14.COVID-19とレイシズム(人種差別思想) 15.イデオロギーとしてのCOVID-19(まとめ) |
18準備学習・事後学習
Preparation, review |
【事前】教科書に準拠したオンデマンド
レクチャー(10分)の視聴 【事後】10分程度で答えることができる復習課題を自主的な宿題として出します。次回の授業の冒頭で10分程度の答え合わせをします |
19学外授業 Outside
activities |
新型コロナ流行のため予定していませ
ん。 |
20成績評価の方法と基準
Evaluation & criteria |
授業に関連する内容に対する論述方式の
筆記試験にて判定します。 |
21 定期試験中の試験実施方法
Exam period |
定期試験中に筆記試験を実施する:
An exam will be held during the exam period. |
22テキスト Textbooks |
ありません。ただし、参考図書には、必
読文献も一部存在します。 |
23参考図書 References |
ジジェク『パンデミック』Pヴァイン、2020年(ISBN-9784909483584) それ以外のインターネット情報は、適宜紹介したいと思います。 |
24関連する科目、履修者への要望など
Requests etc. |
講義担当者が開講する「社会学入門」では、この授業を理解するための基本的な社会学の知識を提供します。受講
の順番は前後しても差し支えありません。 |
リンク Links |
教材(https:
//XXX.XXX)、オンデマンド(https://YYY.YYY) |
◎COVID-19パンデミックと、世界の医療の不平等について
2020年頭からCOVID-19パンデミックが本 格化した。初期の中国武漢での対応や情報統制、それにつつづくWHOの査察、さらには、米国の前政権の根拠の薄弱な生物兵器説、ブラジル大統領のコロナ軽 視と自治体の反発など、COVID-19パンデミックは、人間の疫病に対する問題は、ほとんどあらゆる局面で政治経済現象(political economy of health)であることを経験的に証明した。The Economist の編集部は、"The right medicine for the world economy: Coping with the pandemic involves all of government, not just the health system"という論説を載せている。その冒頭にはこうあ る。"It is not a fair fight, but it is a fight that many countries will face all the same. Left to itself, the covid-19 pandemic doubles every five to six days. When you get your next issue of The Economist the outbreak could in theory have infected twice as many people as today. Governments can slow that ferocious pace, but bureaucratic time is not the same as virus time. And at the moment governments across the world are being left flat-footed."-The right medicine.
また、BMJには、Political economy of covid-19: extractive, regressive, competitive (https://doi.org/10.1136/bmj.n73) にはもっと露骨に、 Jesse Bump and colleaguesは、"The political economy of covid-19 reflects longstanding patterns of resource extraction linked to racial discrimination, marginalisation, and colonialism"と表現している。
◎「コロナウイルス:COVID-19に対する宿主の遺伝的なリスク要因を解明するための世界的な取り組み」の前では、患者のデータは平等
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の 宿主遺伝学イニシアチブ(COVID-19
HGI)は、COVID-19の遺伝的基盤を調べるための情報資源の照合・共有を目的とした、オープンサイエンスの国際的な共同研究である。COVID-
19
HGIは今回、19か国での46の研究に含まれるCOVID-19患者の最大4万9562人におけるゲノムワイド関連メタ解析の結果を提示している。報告
されたのは、COVID-19の重篤疾患と関連する6座位、中等症から重症のCOVID-19(入院が必要)と関連する9座位、そして、原因病原体である
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染と関連する7座位で、これらには以前報告されたものも含まれている。さらなる解析で
は、これらの関連の基盤である可能性のある遺伝子が優先して調べられ、また、遺伝的相関解析およびメンデル無作為化解析から、COVID-19と他の疾患
や形質との関係が明らかになった」2021年12月16日 Nature 600, 7889)
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