かならずよんで ね!

授業ノート『ぱんでみっく!!!

On Pandemic!: COVID-19 Shakes the World, by S. Zizek, 2020.

An Antidote to Zizekian Pessimism

池田光穂

「どんな病気でもそれぞれに独特な間題を含んではい るが,それが常在病でな い限り,その伝播様式についての十分な知識があれは社会からそれを絶滅さ せることができる. 忍ちろんその場合には,精力的な衛生行政活動,十分な予 算および衛生知識の高い世論のささえが必要である.」フランク・マク ファーレン・バーネット卿(1962)

"Broadly speaking, the endeavour is to protect the community against sporadically occurring diseases by measures designed to pi;event their entry and transmission and to protect individuals against endemic diseases. The first group includes several. diseases which can be regarded as candidates for eradication from the world." (Burnet 1972:155)

Introduction: Noli Me Tangere 1
我に触れるな(5)


「マ イケル・デビッド・ソーキン (Michael David Sorkin、1948年8月2日 - 2020年3月26日)は、アメリカの建築および都市の評論家、建築家デザイナー、都市計画家および教育者[2]。 彼は21世紀の変わり目における現代文化と都市、場所の設計における批評家として[3]「建築界で最も率直な公の知識人」の1人であるとされている [4]。ソーキンは最初に、ニューヨーク市のヴィレッジボイスの建築評論家として有名になり、その後は数年間世界中の著名な大学で教え、彼の名を冠した会 社を通じて実践する傍らで、非営利本の出版社を設立、ニューヨークのシティカレッジで都市デザインプログラムを指揮していく [5][6] が、COVID-19によって引き起こされた合併症のためにCOVID-19パンデミックによって71歳の生涯を閉じた [7]。」
・noli me tangere, "Noli me tangere ('touch me not') is the Latin version of a phrase spoken, according to John 20:17, by Jesus to Mary Magdalene when she recognized him after his resurrection."

・俺に触るんじゃなくて、愛をもって他者と触れ合え、という命令
・コロナは、それとは真逆の命令を我々に与える(→だが、歴代のキリスト教徒もハンセン病や精神病の蛇蝎のごとく忌避していたではないか?)
・お互いに触れ合えるのは「内面」だけだ(6)
・ヘーゲル、愛されるものは、私じしんの内なるものである
・愛される者はわたくしの中の部分である。それは謎の部分ではない。
・愛の軌跡は、私のアイデンティティの一部である
・人間は「闇」ヘーゲル(7)——闇は空虚な無である
・身体距離は逆に他者を結びつけるという意味もある
・私の他者に対する重要性を確認するには、コロナ禍における今しかない?(7)
・だが、それはこの破局状況にどのような意味をもつのか?
・歴史から学べる唯一のことは、人間は歴史から学ばないということだ

・感染拡大は、人間を賢くはしない。平常への復帰もありえない(ニーチェ流に、そろそろ人間の「退化」について真剣に考えるべきだろう。そして、暗闇へと 退化するのではなく、光の中で退化する喜びをどう得ることができるのか?それについて考える時なのだ。)
・新しい野蛮状態(→「リヴァイアサン」)
1. We're All in the Same Boat Now 5
我々はみな、同じ舟に乗っている。
李文亮(Li Wenliang, 1985-2020.02.07)

チェルシー・マニングChelsea Elizabeth Manning, 1987-)
エドワード・スノーデンEdward Joseph Snowden, 1983- )
・ヴェルナー・ユーのコメント(9-10)
・人民を信ぜよ——毛沢東
・中国の恐怖政治のパターン(→グアテマラ共和国の1980年代軍部諜報部時代)
・失踪に、法的な根拠なし(10)
・マルクス主義者の失踪という異例な事態も
・「自己組織化ネットワークの亡霊」(11)で何が言いたいのか?
・マルクス主義の伝統が(逆に)共産党支配にとっての脅威になる
・パラフレイズ:「現今の中国の政治問題はマルクス主義の由緒正しい伝統が(逆に)共産党支配にとっての脅威になる.ジジェクはそれを「自己組織化ネット ワークの亡霊」と呼ぶ」
・健全な社会には複数の声があるべきだ(李文亮)12
・「感染流行の制圧には強固な国家が必要である」テーゼ(12-13)には、検討の余地があると、池田は思う。
・(中国と同じようなことをやろうとすると)米国では、隔離は国家の陰謀だと自由主義者が騒いで封鎖を突破するというジジェクの予言は、トランプ政権の国 会議事堂乱入というかたちで、後に現実におこった。
・だからと言って、表現の自由が、蔓延の防止には役立たない。
・ロシア・チャンネルワンは、陰謀説を否定しながら、含みを残し、陰謀説を容認してしまう危険性がある。
・唯一の解決法は、国民と国家との相互信頼の回復でしょう→唯一の解決法は、国民と国家との相互信頼の回復でしょう.もちろん中国も日本の程度の差しかな いことは今般の自民「総統」選挙でも証明済.だがそう審問を立ててこれまで国民と国家との間に相互信頼などというものがかつて存在したのか?ということだ
・アイルランドのジャガイモ危機(1840年代)
・ウェルズ『宇宙戦争』の結末=征服したはずの火星人が人間の病原体で死滅する
・ウェルズは、このアイディアを、タスマニア先住民の絶滅を弟と話していたことに由来する
・コロナパンデミックの社会的責任として血祭りにあげられるのは「グロバリゼーション・資本主義市場・富者の奢り」である(16)
・感染拡大には、深い意味があるのだという「過剰解釈」は避けよう(16)
・宇宙をコミュニケーションの相手だと感じる思考法(宗教)は前近代的である(→僕にとっては、この謂いはですね、宇宙とコミュニケーションしなければ、 誰もが近代になれるんだから、近代というのも随分安っぽいもんだったという意味なのだ)。
・コロナ天罰説というのは因果的原因訴求の考え方なので、どう転んでも迷信のレベルに止まる。
・人間は「自然の偶然性」という考え方に耐えられない(16-17)——これはエヴァンズ=プリチャードが、アザンデの思考法で明らかにしたこと
・ネタニエフはコロナ蔓延に対してパレスチナに支援を提示したのは、新型コロナウイルスに対して、ユダヤ人とパレスチナ人を分けられないからだ。これこそ が人道的配慮ではなく「正しい」政治的配慮なのだ(17)
・「我々は違う船でやってきたが、今は同じ船に乗っている」(マーチン・ルーサー・キング)——このロジックを敷衍すれば、習近平は露骨な反米、反香港自 由派、反台湾自立派を謳うべきはないのだ。
2. Why Are We Tired All the Time? 17
何をこんなに、いつも疲れているのか?
・2種類の人間の登場:1)過重労働の医 療関係者、2)強制的あるいは自主的に引きこもってる人
・強制的不活発
・ハン・ビュンチョル(Byung-Chul Han)の「燃え尽き社会」論(18)
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"In The Burnout Society (original German title: Müdigkeitsgesellschaft), Han characterizes today's society as a pathological landscape of neuronal disorders such as depression, attention deficit hyperactivity disorder, borderline personality and burnout. He claims that they are not "infections" but "infarcts", which are not caused by the negativity of people's immunology, but by an excess of positivity.According to Han, driven by the demand to persevere and not to fail, as well as by the ambition of efficiency, we become committers and sacrificers at the same time and enter a swirl of demarcation, self-exploitation and collapse. "When production is immaterial, everyone already owns the means of production, him- or herself. The neoliberal system is no longer a class system in the proper sense. It does not consist of classes that display mutual antagonism. This is what accounts for the system's stability." Han argues that subjects become self-exploiters: "Today, everyone is an auto-exploiting labourer in his or her own enterprise. People are now master and slave in one. Even class struggle has transformed into an inner struggle against oneself." The individual has become what Han calls "the achievement-subject"; the individual does not believe they are subjugated "subjects" but rather "projects: Always refashioning and reinventing ourselves" which "amounts to a form of compulsion and constraint—indeed, to a "more efficient kind of subjectivation and subjugation." As a project deeming itself free of external and alien limitations, the "I" subjugates itself to internal limitations and self-constraints, which are taking the form of compulsive achievement and optimization."

「ハンは『バーンアウト・ソサエティ』(原題:Müdigkeitsgesellschaft)の中で、現代社会をうつ病、注意欠陥多動性障害、境界性人 格、バーンアウトなどの神経系疾患の病理学的景観と位置づけている。彼は、これらは「感染症」ではなく「梗塞」であり、人々の免疫学的なネガティブさでは なく、過剰なポジティブさが原因であると主張している。ハンによると、失敗しないように我慢しなければならないという要求や、効率化の野心に駆られて、私 たちはコミッターと同時に犠牲者にもなり、分断、自己搾取、崩壊の渦の中に入っていく。「生産が非物質的であるとき、誰もがすでに生産手段を自分自身で所 有している。新自由主義体制は、もはや本来の意味での階級制度ではない。相互に拮抗する階級からなるものではない。これがシステムの安定性の理由であ る」。ハンは、被験者が自己搾取者になっていると主張している。「今日では、誰もが自分の企業の自動搾取労働者である。主人と奴隷が一体となっている。階 級闘争でさえ、自分自身に対する内面的な闘争に変化している」。個人はハンが言うところの「達成主体」になっている。個人は自分が服従している「主体」で はなく、「プロジェクト」であると考えている。常に自分自身を再構築し、再発明する」ことは、「強制と制約の一形態であり、実際、「より効率的な種類の主 観化と隷属化」である。外的・異質な制限から解放されたとみなすプロジェクトとして、「私」は内部の制限と自己制約に自らを服従させ、それは強制的な達成 と最適化の形をとっている」www.DeepL.com/Translator)

(1)ハンの論点:主体化
・制約は内的ではない(20)
・ニューヨークタイムズですら、イスラエル政府に配慮して、イスラエル=パレスチナの関係を「二国間」と表記できない
・カミーラ・シャムシーの小説のドイツの国際的賞は取り消した。事後的に、シャムシーが、イスラエルのパレチな政府のボイコットに参加していたためとの理 由。
(2)ハンの論点:不平等の拡大
・外注のプロセスの増加:組み立てラインが外注化される。3つの労働:西洋の自衛の自己搾取、第三世界の組み立て労働、そしてケアする労働。
・上海のiPhone労働は死ぬほど退屈、ケアの労働は共感が強制されること(→感情労働)。
・経営者やオーナーに代わって企業家的な振る舞いを期待されている「クリエイティブチーム」という欺瞞的な労働の押し付け(24)(→大学の執行部という 役職も似たようなものだ。だが、なぜか、大学の教員は名誉なことと考え[部分的給与手当もあるゆえ]ホイホイと引き受け過重労働に従事している)。
・自己開発は搾取労働であるというジジェクの指摘はナイス(25)
・そのようなケアワーカーの自己規律や献身を批判してはならず、また、「気楽にいこうぜ」という態度もいましめられる。
・Arbeit macht frei (働けば自由になる)という箴言は今も生きている
・(だが)コミュニティの利益にとっては意味のある仕事であり。そのような労働の疲労こそ価値があると、その文章に彼は続ける。
3. Toawrds A Perfect Storm in Europe 29
欧州のパーフェクトストームに備えて
・パフェクトストーム:めったにおこりえ ないことが重なっておこる大惨事
・「我々はみな、同じ舟にのっている」
・プートガン旋風(トルコとシリアン)
・エルドアンによるトルコ国内の難民の排除(→ギリシャ国境に)。だが、トルコのシリア内戦への関与は、トルコ国内の難民発生に責任がある。
・ロシアとトルコは、ヨーロッパに圧力をかける絶好の位置にある。
・対立→協調→対立の繰り返し、悪魔の地政学的ダンス、この共通点から「プートガン」だという。
・最小限の正義は、ハーグにしかない。
・ハンガリー首相オルヴァーンは移民拒否の政策を崩さないが、ヨーロッパのモデルになると豪語
・ドイツのグレゴール・ギジ、第三世界の貧困対策に取り組まないかぎり、ヨーロッパへの移民渡航のトレンドはなくならず、それがさらに反移民の感情を逆撫 でするだろうと反論
・貧しい国の苦境の原因は、ヨーロッパの植民地主義や人種差別であることは、すでに全世界の人々が知るところのコンセンサスであるからだ。
4. Welcome to the Viral Desert 37
ようこそ、ウイルスの砂漠へ
・コロナとは一見無関係におもえる別の社 会的ウイルスの蔓延:1)フェイクニュース、2)妄想的陰謀論、3)人種差別の爆発(33)
・コロナウイルスが中国共産党支配の構造を変える期待もあったが、現在我々が直面しているのは「共産主義」をこれまでのそれとは異なったヴァージョンに連 中が書き換えていることである。
・共産党が崩壊することを期待するのはキルビルでの「五点掌爆心拳」を期待するのと同じ(ように馬鹿げたことだ)
・ジジェクは、それは共産主義や共産党ではなく、資本主義への五点掌爆心拳になりうることだ(35)
・人間は悲しいことに、破局的にならならければ、社会の成り立ちを根本的に考えようとしない。
・脅威は去っていない(37)
・国家や機関が我々をコントロールするだけではない。我々自身が自分をコントロールしなければならない。
・コロナの前に、ネットワークで、ヴァイラルやウイルスという言葉が流行していたが、その比ではない。
・むしろ「資本主義アニミズム」=市場や金融資本を生命のように扱う思想の登場。——市場がパニックに陥っている(39)
・ジジェクによると、これは世界経済の再組織化の予兆なのだ(そんなバカな?——池田)
・ジジェクの共産主義者の定義:「自由主義的価値が危機にさらされている理由を真剣に考え、根本的な変化だけがその価値が救えると気がついた、自由主義 者」(40)
5. The Five Stage of Epidemics 47
感染流行の五段階モデル
・キュブラー=ロスの死の受容への5つの プロセスと、コロナとはよく似ている(41-42)
1)拒否=失業
2)怒り=愛する人の死
3)取引=離婚
4)抑うつ=薬物中毒
5)受容
この態度の応用問題:地球温暖化
1)拒否→温暖化や気候変動は危機ではなく通常のものである。危機を煽るのは嘘である。
2)怒り→企業や政府に対する怒り
3)取引→リサイクルをすすめれば速度を提言できる。温暖化にあわせたビジネスチャンスが生まれる。
4)抑うつ→手遅れだ
5)受容→生活全体をもう変えなければならない
・ペストの脅威に晒された中世の人も同じ反応をした(43)
・我々の生活の不確実性を再認識させた
6. The Virus of Ideology 53
イデオロギーのウイルス ・我々が密接につながればつながるほど、 破局的危機はおとづれやすくなる逆説(46)
・技術の進歩は、脆弱性の確率を高くする(46)
・隔離だけでは効果はない(47)
・ディストピア未来とは、家ですべてが完結してしまうこと(→仮想シラバス「デストピア を設計する」)。
・武漢の風景は『渚にて』に重なるのか(48)
・シチュアシオニストの1966年の結論:「無意味な時間なく生き、邪魔するものなく楽しむ」
・国を愛するよりも国を恥じるほうが、そいつが国に帰属している度合いが大きいとカルロ・ギンスブルグはかつてそう言ったそうだ(50)
・イスラエルの民よ、ネタニエフとトランプの西岸政策を恥よ。
・英国の民よ、ブレクジットのイデオロギーの夢にだまされたことを恥よ。
・だが、今は恥じる時ではなく、辛抱強く自分たちの奮闘をやり抜け。
・本当に恥じるべきは、無垢の他者を危険にさらしながら、自分はさっさと感染予防している連中である。
・支配者層のダブルスタンダードに対する怒りこそが、コロナに対する肯定的な副作用を生む可能性がある。
7. Calm Down and Panic! 61
冷静にパニクれ!
・メディアはパニクるなというが、出てく るデータはパニクるようなものばかりである。
・(旧)共産圏では、政府要人がパニクるなと言っているときに、当事者はパニクっていたと、人々は理解した(52)
・トレペ枯渇の群集心理は、自分はそんなことは起こりえないと信じているが、隣人たちはそうは考えずに扇動を受ければ実際に枯渇するのではないかと思い込 み、「自分の分」だけを確保すればいいと、やはり、隣人と同じ行動をする(52-53)。※他者の情報の不足、他者との相互監視、そして他者に対する「信 頼」の欠如
・ジジェクは、コロナ流行で、共産主義が復活すると予言したが、すくなくとも、古い権威主義論理は限界を露呈した。
・共産主義のかつての誘惑=サボタージュが蔓延しつつある。
・ジジェクが考える共産主義は、国際協調(相互依存とエビデンスにもとづく集団行動の重要性)(57)
・愛国主義ポピュリズムの致命的限界
・「XXX ファースト」の終焉
・「三博士」とは、病院の収容人員以上の患者が来た場合に、人工呼吸器やベッドやケアの分配は、病院の三医長が決定する
8. Monitor and Punish? Yes, Please! 71
監視と処罰?ええ、お願いします!
・ジョルジオ・アガンベンの批判「絶対的 に不当な緊急対策」がおこなわれている。
・人種差別と社会統制が横溢しているという、左派のある立場を、アガンベンも同じ。
・ウイルス感染の脅威
・ジジェクの危惧は、コロナ制圧の効果とは無関係の社会統制や、政府の瑕疵を隠蔽するようなものとして対策が機能すること。
・ボッカチオ『デカメロン』の登場人物たちは上流階級の人たちだ。
・いつかは、戻るにしても、それは、以前とおなじものではない。
・ウイルスはリビングデッド(66)
・ウイルスは「決して止揚できない残余」——再統合されることのない中途半端な存在(66)
・ヘーゲルの「精神は骨である」をもじって、「精神はウイルスである」
・ミームは心のウイルス
・ここでトルストイの説明であるが、なぜかは示されない。
・ウイルスによる自然の攻撃を、人類によるウイルスへの攻撃に、返しているにすぎない(68)
9. Is Barbarism With a Human Dace Our Fate? 83
人の顔をした野蛮が我々の運命か
・感染すれば、疲弊する不確実性は終わる だろうか?
・感染拡大を防ぐには、新しい社会変化が必要だ(派)としてのジジェク
・経済のメガクライシスが起こる(70)
・人の顔をした野蛮
・パンデミックの規模の大きさは、これまでの社会倫理の崩壊と、高齢者と弱者を切り捨てるというメッセージでもある。
・自己決定にもとづく自殺は容認されるべきだが、効率化が第一原理になってはいけない——生き続けるための無条件の支援が必要である
・我々の社会は、むき出しの生以外は、何も信じなくなっているというアガンベンの主張には反対——でも読者にはジジェクの主張との違いがわからない。
・相互確認距離のジョークは、限定核戦略理論を知っている人以外笑えない(72)
・ケイト・ジョーンズ(コロナは)人間のコントロールだけの問題ではない(人獣共通感染症のために)自然環境だ——(僕)箱舟のノア船長のような発想だ な、Sigh
・マーシャル・バーク:大気汚染は早死にと関係ある。中国のコロナ犠牲者は、その過重の負担のせいだろう。
・3つの危機:医療、経済、心理
・ワクチンの占有をめぐって、民営化=野蛮〈対〉集産主義=文明、の戦いだという。本当か?
・ジジェクは共産主義が、コロナ危機を救うといって、冷笑された。
・医療が崩壊したら、コミュニティによる自治が必要になる(しかし、だれがその統治術を学ばねばならないのか?コミュニティのメンバー自身だろう)
・公的な公共サービスを生かす(76)——ある種の戦時共産主義(1918)
・危機においては我々はみな社会主義者(77)
・惨事便乗型資本主義(ナオミ・クラインの用語)(78)
・ピケティは政治のことは忘れて、どのように、どの方向性を変えるのかを議論せよというが、ジジェクは、誤りだと喝破する。今こそ政治が必要だ——私が先 住民遺骨返還の科研で昨夜(211010)叫んだことではないか?!
10. Communism or Barbarism, as Simple as That! 95
共産主義か野蛮か。それだけだ!
・なぜ、ジジェクは共産主義が到来すると メシア——ヘブライ語で、聖油を注がれた者——のごとく主張するのか?
・ハン・ビュンチョルの批判:西洋は敵のいない暮らしになれたゆえに(東洋という仮想の)敵に過剰反応する。
・西洋社会は、自分たちがいうほど寛大なのか?——それと「政治的に正しい検閲」は同根のものか?(80)
・池田の妄想→エポケーが純粋に哲学的方法だとしても,そのデカルト的孤独が哲学的に可能だという前提に立っているために極めてスコラ的な観想の精神技法 だろう.だからエポケーは普遍的な文化の差異を超えた超越論的な概念として自分の足で立つことはできないんじゃないかな?
・『マッドマックス』的な世界秩序がやってくる?(81)
・トランプ政権期のコロナ対応が叙述される(82-)
・カント「(国家の法律には)従え、しかし、思考の自由を維持せよ」といった(84)
災害資本主義に対する、災害共産主義だ——市場のメカニズムに委ねるのではなく、コントロールせよという意味のようだ(85-86)
・ジジェクの共産主義は、政治と経済とケアの国際協調体制のことだとわかる(86)
・だから、ウイルスとの戦いを「戦争」の比喩を使ってはならない(87)
・モーリス・ブランショが、核戦争の脅威の時代に「自分の命だけを考えること」が生存への要求ではないと主張しているらしい。そこで大切なことは、人類全 体が自己破壊から守こることをとおして「新しい人間性」を作りつつあることを認識することである(87-88)。
Appendix: Two Helpful Letters from Friends 129 友 人からの二通の有益な手紙【邦訳は、これが11.の前にきているが英語オリジナルは、このセクションが最後の部分になる】——訳者の意図か?編集者や訳者 の凡ミスのようには思えない異同であるからだ。ただし、もし、そうだったとしても、そんなアホなことがどうして、日本版で起こったのかを考察することも興 味ふかいからだ。

・有名な絵画に関する優れたエッセイを読 む方が混んだ美術館で(その)絵画を見るよりもじゅうようになる。これは、ベンヤミンのアウラ概念の完全な倒錯(オリジナル/コピー/メタ解釈の序列の変 化)。
・文中の「気散じ」ならびに「アウラ」はすべて ベンヤミン[一九九五]による表象芸術の比較社会論の議論に負うている。ユージン・ スミスの写真は、耽美的表現を追求するあまりコンテクストが醸し出すアウラ性を、写真の鑑賞者が得るための、その手がかりを失うという的確な批判をティス ロン[一九九九:六八-六 九頁]は展開している(→「あなたには愛というものがわからない」)。





https://www.youtube.com/watch?v=4TAO_NjrJ7M

『ニ ノチカ』(Ninotchka)は、1939年のアメリカ合衆国のエルンスト・ル ビッチErnst Lubitsch, 1892-1947)監督のロマンティック・コメディ映画。ソビエト連邦を風刺したコメディ。グレタ・ガルボが初めて出演し たコメディ作品で、それまでシリ アスな役どころが多く「笑わない女優」と呼ばれていたガルボが大笑いするシーンがあることから、公開当時は「Garbo laughs!」(ガルボ笑う)というキャッチコピーが使われた

・ミルクなしのコーヒーが、コロナなしの隔離、すなわち、皆があえて美術館に殺到しているときに、ホテルでその名画のエッセーを読むことの個人の至福に浸 る。それがブラックコーヒーすなわち、コロナありの隔離で、だれもが隔離を強いられる。コロナなしの隔離(=選択としてのミルクなしコーヒー)と、たんな る隔離つまりコロナありの/が強いる隔離(=オプションのないブラックコーヒー)とは、異なる。
・リオデジャネイロの精神分析医ガブリエル・トゥピナンバ:今、不安で最悪の無気力の幻想に晒されているのは、以前から、家で働いていた人たちだ。
・コロナでも日常生活におおきな変化がない人のは、コロナの脅威は亡霊のような幻想である(91)
・また遠隔治療を理論的に嫌っていた同業者は、コロナで収入が少なくなることを知った途端、遠隔治療をはじめる。
・フロイト『快楽原則の彼岸』、戦傷帰還兵よりも無傷の帰還兵のほうが暴力的心象や戦時の幻想を追体験する。戦勝帰還兵は自分の外傷経験に向き合うことが できる。
・2013年ブラジルの「六月の旅」抗議運動を、トゥピナンバは思い起こす。(→"Nationwide protests broke out in 2013 and 2014 primarily over public transport fares and government expenditures on the 2014 FIFA World Cup.")。警官隊に殴られること、HIVに罹患するほうが、可視化されて気が楽になるのではないか?(仮説)
・ラカン流の、現実と現実界の区別(→「ファンタスムは、象徴界と現実 界をむすびつける形である 169/ファンタスムの機能は、1)欲望に関するものと、2)享楽=欲動に関するものにわけられる。その区別は?——はてさて、俺にもわからねぇ」/欲望 →対象α、の役割は、象徴界→現実界のそれと似ている 169/象徴界にも、現実界にも法がある。象徴界の法にしたがい、欲望の法をあきらめると、後悔が襲い、それを罪悪感と呼ぶ。/つまり、象徴界に法があ り、欲望にも法がある/現実界そのものにアプローチすることが困難でも、言語を媒介にして、現実界に対して変えることが可能(とラカンは信じた)/現実界 (=不可能なもの)の問題、ラカンの問題関心は象徴界にあった。象徴界の分析に向いていた。象徴界だけでは限界があるのは、上掲(先に述べた)とおり。だ から現実界を扱う必要があった。その手がかりは言語であり、現実界は象徴界の穴と考えられた 146-147)
・「無効な象徴化」
・現実に、コロナと戦っているひとは、狂気のパラノイアに屈服する可能性は低い
・狂気のパラノイアに屈服する可能性の高い人には、ラカンのアドバイスに呼応して「恥じることなく自分の症状を同一化する努力をせよ」(95)
・アンドレアス・ローゼンフェルダー:基本的なものがあって、他の愛があって、本当 に大切な任務がある(97)

11. The Appointment in Samara: A New Use for Some Ild Jokes 107

サマラの約束一古いジョークの新しい使い 方
・自分を種だとおもって疑わない男。医師 は、彼が種ではなく人間であることを説得する。だが、その恐怖は払拭させられなかった。彼は自分は種でないことを知っているが、鶏のほうがそれを知ってい るかどうかはわからないからだという、
・マスクをつけたクロアチアの教授:「二週間前にはマスクではウイルスを防げないと教授は言ってたではないですか?」教授「そうだ、それを僕はわかってい るが、ウイルスのほうはそれを知っているかな?」
・たしかに、ウイルスは何もわかっちゃいない——ウイルスは機械的に増殖する存在
・それでは、資本のウイルスか?——いや、資本は亡霊のようなもので、それを信じているふりをやめれば、資本は存在しなくなる(99)
・コロナパンデミックで、何を考えなきゃならないのか?:人間の文化的選択や嗜好、経済や国際取引、国際政治のネットワークや接続と断絶のメカニズム、恐 れやパニックのイデオロギー的側面などなど。
・ブルーノ・ラトゥールは、コロナ危機は、きたるべき気候変動に対するリハーサル。そして、その「当事者→原語はアクターだ:つまり訳者はANTには無知と思われる」は人間の形をしていない(101)
・環境にとって、人間こそがウイルス=病原体にほかならない。
・戦争をしかけてくるのは、システムであり、アサンブラージュである(102)
・Vibrant matter : a political ecology of things / Jane Bennett, Duke University Press , 2010. Preface vii Acknowledgments xxi 1. The Force of Things 1 2. The Agency of Assemblages 20 3. Edible Matter 39 4. A Life of Metal 52 5. Neither Vitalism nor Mechanism 62 6. Stem Cells and the Culture of Life 82 7. Political Ecologies 94 8. Vitality and Self-interest 110 Notes 123 Bibliography 157 Index 171
・ベネット=新唯物論者(102)
・エージェンシーの社会現象化(103)
・COVID-19流行下における、さまざま社会的集合体のアクション(リオデジャネイロのギャング 104)
・ラトゥールの議論を引き受けて、政治はモノ的になるべきという:モノの政治(Dingpolitik)
・新しい生殖技術がパブリックスをうみだす(106)
・そして、人間もアクタン化する、すなわち非人間化する(107)
・人々が、科学者の言うことをきかなくなったのは、COVID-19の流行が未曾有だったことにある(108)→だから新しい生き方を(再)構築しなけれ ばならない。
・サマラの約束(サマセット・モーム)→破局的自体を避けようとすることが、破局を産んでしまう108-109
・オイディプスの神話
・アメリカは、原理主義を締め出そうとして、逆に、原理主義の思想を強くしてしまった(110)
・ボリス・ジョンソンの集団免疫計画は、犠牲者が多くでて頓挫する→集団免疫は、高齢者のリスクを高めるが集団全体にとってはよくなる、という論理。
・低賃金所得者に仕事に戻ろう(=日本では居酒屋を再開しよう)という呼びかけることは、彼らの雇用を確保するために必要なことのように思える。だが、そ のことが完全を大きくする、という「言説」が、それに対して歯止めをかける。そうすると、コロナの脅威を信じない為政者と働くかねば食えない労働者は、感 染拡大の危惧を「偉大なる嘘」として糾弾する。(112)
・したがって「仕事に戻ろう」というキャンペーンは、福祉国家の運営の原則には、こまったプロパガンダになる。
・ハンガリーの強権政治(ヴィクトル・オルバーン[オルバーン・ヴィクトル] 首相)の居直り。→ただし、これは撤廃される。
・リシャルト・カプシチンスキ(Ryszard Kapuściński)Shah of Shahs. →これは、ジジェク・ジョークの V. for Vendetta のパート1に連なる話か?(114)
・現代科学は、文化を超えた普遍性の支配形態になった(115)
・コロナ偏重の医学への揺り戻しはどうか?(116)
・トップダウンによる強制か、集団免疫か、の2種類しかないのか?
・コロナ流行で生じたのは「新しい野蛮な資本主義の蔓延」である。
・新しい闘争の形態こそが、真の「サマラの約束」だという。
Slavoj Zizek, Pandemic!: COVID-19 Shakes the World, ISBN: 978-1-509-54610-7 https://bit.ly/3geXguJ
パンデミック 世界をゆるがした新型コロナウイルス (ele-king books)
"The Appointment in Samarra"(as retold by W. Somerset Maugham [1933]) 【サマラの約束】
"There was a merchant in Bagdad who sent his servant to market to buy provisions and in a little while the servant came back, white and trembling, and said, Master, just now when I was in the marketplace I was jostled by a woman in the crowd and when I turned I saw it was Death that jostled me.  She looked at me and made a threatening gesture,  now, lend me your horse, and I will ride away from this city and avoid my fate.  I will go to Samarra and there Death will not find me.  The merchant lent him his horse, and the servant mounted it, and he dug his spurs in its flanks and as fast as the horse could gallop he went.  Then the merchant went down to the marketplace and he saw me standing in the crowd and he came to me and said, Why did you make a threating getsture to my servant when you saw him this morning?  That was not a threatening gesture, I said, it was only a start of surprise.  I was astonished to see him in Bagdad, for I had an appointment with him tonight in Samarra."
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「バグダッドにある商人がいた。彼は自分の召使を市場に送り、食料を買いに行った。しばらくすると、召使は白く震えながら戻ってきて、こう言った。「ご主 人様、今、市場にいたとき、群衆の中の女性に押しのけられました。振り返ると、私を押しのけたのは死(神)でした。 彼女は私を見て、脅すような仕草をしました。さあ、あなたの馬を貸してください、そうすれば私はこの街を離れて、(死すべき)自分の運命を避けることがで きます。 私はサマラに逃げて、そこでは死(神)は私を見つけることができないからです」。 商人は彼に馬を貸し、召使は馬に乗り、脇腹に拍車をかけ、馬が疾走する限り走り続けた。 そして、商人は市場に下りて行き、人ごみの中に立っている私(=死神)を見て、私のところに来て言った。「今朝、私のしもべを見たとき、なぜあなたは脅す ようなしぐさをしたのですか?」 「あれは脅しそうとしたではなく、ただの驚いたのでした」と私は言った。 今晩サマラで彼と約束があったので、バグダッドで彼を見て驚いたのです」www.DeepL.com/Translator)。

大阪大学COデザインセンター(教授・センター長)。幼少期より、冷戦 と高度経済成長の中で人工甘味料・保存料による食生活を送り、青春時代はベトナム反戦と大阪万博の中で厭戦の重要性と科学技術信仰の思想に感化される。鹿 児島大学理学部生物学科卒業。大阪大学大学院医学研究科修士課程修了(医科学修士)、博士課程単位取得済退学時に途上国の保健医療と疫学調査の重要性に気 づく。本書に関連する論文「病気の文明史」はインターネットで公開中。「病気の文明史」でネット検索すると本監修の理解に役立つ、大人向けの理論的な解説 あり。専門は、医療人類学、臨床コミュニケーション、中米先住民学など。著書に『実践の医療人類学』(世界思想社)、『看護人類学入門』(文化書房博文 社)など。9,500ページ近くあるホームページではイケペディアにて検索可能。(ikepedia.html)
・Vibrant matter : a political ecology of things / Jane Bennett, Duke University Press , 2010. Preface vii Acknowledgments xxi 1. The Force of Things 1 2. The Agency of Assemblages 20 3. Edible Matter 39 4. A Life of Metal 52 5. Neither Vitalism nor Mechanism 62 6. Stem Cells and the Culture of Life 82 7. Political Ecologies 94 8. Vitality and Self-interest 110 Notes 123 Bibliography 157 Index 171
●In Vibrant Matter the political theorist Jane Bennett, renowned for her work on nature, ethics, and affect, shifts her focus from the human experience of things to things themselves. Bennett argues that political theory needs to do a better job of recognizing the active participation of nonhuman forces in events. Toward that end, she theorizes a "vital materiality" that runs through and across bodies, both human and nonhuman. Bennett explores how political analyses of public events might change were we to acknowledge that agency always emerges as the effect of ad hoc configurations of human and nonhuman forces. She suggests that recognizing that agency is distributed this way, and is not solely the province of humans, might spur the cultivation of a more responsible, ecologically sound politics: a politics less devoted to blaming and condemning individuals than to discerning the web of forces affecting situations and events.Bennett examines the political and theoretical implications of vital materialism through extended discussions of commonplace things and physical phenomena including stem cells, fish oils, electricity, metal, and trash. She reflects on the vital power of material formations such as landfills, which generate lively streams of chemicals, and omega-3 fatty acids, which can transform brain chemistry and mood. Along the way, she engages with the concepts and claims of Spinoza, Nietzsche, Thoreau, Darwin, Adorno, and Deleuze, disclosing a long history of thinking about vibrant matter in Western philosophy, including attempts by Kant, Bergson, and the embryologist Hans Driesch to name the "vital force" inherent in material forms. Bennett concludes by sketching the contours of a "green materialist" ecophilosophy.
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→自然、倫理、感情などの研究で知られる政治理論家のジェーン・ベネットは、『Vibrant Matter』において、物事の人間的な経験から物事そのものへと焦点を移す。ベネットは、政治理論では、出来事に人間以外の力が積極的に参加しているこ とを、もっとうまく認識する必要があると主張する。その目的のために、ベネットは、人間と非人間の両方の身体を貫く「重要な物質性」を理論化する。ベネッ トは、エージェンシーが常に人間と非人間の力の場当たり的な構成の結果として現れることを認めるならば、公共の出来事に関する政治的分析がどのように変わ るかを探っている。ベネットは、主体性がこのように分布しており、人間だけのものではないことを認識することで、より責任感のある、生態学的に健全な政治 を育むことができるのではないかと提案する。ベネットは、幹細胞、魚油、電気、金属、ゴミなど、ありふれたものや物理的な現象についての議論を重ねること で、生命的物質主義の政治的・理論的な意味を検証している。幹細胞、魚油、電気、金属、ゴミなど、ありふれた物や物理的現象を取り上げ、化学物質を活発に 発生させる埋立地や、脳の化学的性質や気分を変えるオメガ3脂肪酸など、物質的な形態が持つ生命力について考察する。その過程で、ベネットはスピノザ、 ニーチェ、ソロー、ダーウィン、アドルノ、ドゥルーズなどの概念や主張に触れ、カント、ベルクソン、発生学者のハンス・ドリーシュなどが物質的な形態に内 在する「生命力」に名前を付けようとしたことを含め、西洋哲学における生命力のある物質についての考え方の長い歴史を明らかにしている。最後にベネット氏 は、「緑の物質主義」というエコフィロソフィーの輪郭を描いて締めくくる(www.DeepL.com/Translator)
Zizek 的な悲観主義に対する解毒剤
An Antidote to Zizekian Pessimism

In times of crisis, when institutions of power are laid bare, people turn to one another. Pandemic Solidarity collects firsthand experiences from around the world of people creating their own narratives of solidarity and mutual aid in the time of the global crisis of Covid-19. The world’s media was quick to weave a narrative of selfish individualism, full of empty supermarket shelves and con-men. However, if you scratch the surface, you find a different story of community and self-sacrifice. Looking at eighteen countries and regions, including India, Rojava, Taiwan, South Africa, Iraq and North America, the personal accounts in the book weave together to create a larger picture, revealing a universality of experience. Moving beyond the present, these stories reveal what an alternative society could look like, and reflect the skills and relationships we already have to create that society, challenging institutions of power that have already shown their fragility.- Pandemic Solidarity: Mutual Aid during the Covid-19 Crisis (FireWorks)
危機の時代、権力機構がむき出しになったとき、人々は互いに頼り合うの です。パンデミック連帯』は、新型コロナウイルスの世界的危機の中で、連帯と相互扶助の物語を自ら作り出した人々の、世界各地での実体験を集めたもので す。世界のメディアは、スーパーマーケットの棚が空っぽになり、詐欺師が出没するという利己的な個人主義の物語をすぐに描き出しました。しかし、その表面 を削ってみると、共同体と自己犠牲の物語が見えてきます。インド、ロジャバ(=クルド)、台湾、南アフリカ、イラク、北米など18の国と地域に目を向ける と、本書に収められた個人的な記録が織り成すスケッチは、経験の普遍性を明らかにしています。今この時を超えて、これらの物語はオルタナティブな社会がど のようなものかを明らかにし、その社会を作るために私たちがすでに持っているスキルや関係性を反映し、すでにもろさを見せている権力機構に挑戦していこう としています.

List of Figures Series Preface Foreword by Rebecca Solnit Introduction by Marina Sitrin About Colectiva Sembrar PART I - GREATER MIDDLE EAST (ROJAVA, TURKEY AND IRAQ) 1. Communal Lifeboat: Direct Democracy in Rojava (NE Syria) - Emre Sahin and Khabat Abbas 2. "Capitalism Kills, Solidarity Gives Life": A Glimpse of Solidarity Networks from Turkey - Seyma OEzdemir 3. Solidarity Network in Iraq During Covid-19: This Time the Enemy is Invisible - Midya Khudhur PART II - SOUTH AND EAST ASIA (TAIWAN, SOUTH KOREA AND INDIA) 4. Sharing Spaces and Crossing Borders: Voices from Taiwan - Chia-Hsu Jessica Chang 5. Standing in Solidarity with Those Who Must Refuse to Keep Social Distance: Disability Activism in South Korea - Ji Young Shin (translated by Han Gil Jang) 6. Rethinking Minority and Mainstream in India - Debarati Roy PART III - SOUTHERN AFRICA (MOZAMBIQUE, SOUTH AFRICA AND ZIMBABWE) 7. Confronting State Authoritarianism: Civil Society and Community-Based Solidarity in Southern Africa - Boaventura Monjane PART IV - EUROPE (PORTUGAL, GREECE, ITALY AND THE UK) 8. On Intersectional Solidarity in Portugal - Lais Gomes Duarte and Raquel Lima 9. Solidarity Flourishes Under Lockdown in Italy - Eleanor Finley 10. Solidarity Networks in Greece - EP and TP 11. Viral Solidarity: Experiences from the UK - Neil Howard PART V - TURTLE ISLAND (NORTH AMERICA) 12. Turtle Island - carla bergman and magali rabasa with Ariella - Patchen and Seyma OEzdemir PART VI - SOUTH AMERICA (ARGENTINA AND BRAZIL) 13. Argentina: Injustices Magnified Memories of Resistance Reactivated - Nancy Viviana Pineiro and Liz Mason-Deese 14. On Grassroots Organizing: Excerpts from Brazil - Vanessa Zettler Concluding to Begin - Colectiva Sembrar Notes on Contributors Index



パンデミック02:
スラヴォイ・ジジェク/パンデミック2 COVID-19と失われた時/Pヴァイン/9784909483850(Szizek_pandemic2021_JAP.pdf)Zizek, Slavoj/Pandemic! 2: Chronicles of a Time Lost/Polity/ 9781509549078(Szizek_pandemic2021_ENG.pdf

00. 哲学者が農作物の収穫について書 く理由 ・コロナパンデミックで一番影響をうけた のは非熟練移民労働者だろう。5-
・大切なことは「社会についてどのようなビジョンをもつかだ」
・コロナで世界の人々が連帯の機運がうまれたが、それを潰したのは「道徳言説の手榴弾」である
・マスクを拒否する人たち
・いま人間の命に対するスタンスが問われている
01. わからないこと、わかりたくない こと、できること ・グルーチョ・マルクス「こいつは本当に バカなのだ」9
・ロックダウン緩和への市民的圧力
・迷信じみた象徴行動が幅を利かせる(10)
・権威筋のアドバイスも相矛盾する
・死を他人事のように考える傾向が増した(11)
・世界の終焉、歴史のおわり(12)
・監視資本主義とワイヤードブレインの二本立ての世界(13)
・ワイヤードブレインはシンギュラリティの発想
・グローバル社会こそが、生存のための調整をおこない、謙虚な暮らし方を可能にする(14-15)
・いま、政治的な判断が求められている(15)
02. ヴァイラル・ワールトの5月1日 ・最下層はメディアから無視され、医療者 には「感傷的なキャンペーン」が続く。
・新しい労働階級(D・ハーヴェイ)の誕生(16-17)
・彼らは搾取される
・ニコライ・シュルツ:余剰価値の占有を余剰存在の占有でおきかえよう(18)
・人々はその関係性の網目から逃れられない
03. 新型コロナ・地球温暖化・搾取 ——同じ闘い ・ファウチの予想がはずれる(20)
・ウイルスとの共存が課題になる
・グレタ・トゥーンベリー:今日の政治経済システムでは問題がとけない。王様はみんな裸でこの世はヌーディストパーティなのだ。(21)
・BLM(22)
・命を生存に貶めるために、国家が強制するロックダウンや、外出規制を拒否する。
・ロックダウンを否定するのは、新極右ポピュリストである。
・コロナ資本主義とはなにか?(23-24)
・新しい労働者への搾取
・労働者自身が生産手段をもってくる(25)
・ソーシャルディスタンスは共産主義か?
・超搾取の時代には、新しい経済秩序が必要。
04. 銅像の破壊が十分に過激でない理 由 ・(1)シュトゥットガルトでの暴動
・(1-2)英国海岸でも人々が押し寄せる——大衆の不満?
・(2)人種差別への抗議・(3)闘争の大義のために当局の規制を無視する方法
・3種類の暴力の共通点は、社会政治的な計画表明抜きの暴発。BLMですら、PCのみがあり、将来の具体的計画がない。
・ルーマニアにおける思想警察の機運
・思想警察の特徴は「禁書目録」である(29)
・デカルトの普遍的懐疑は、一種の文化相対主義(29)
・コギトにはジェンダーなし
・この高貴な現象を、下衆のポピュリストや保守派にゆだねるべきではない
・自分の過去には批判をしてもよいが、自己卑下には屈してはいけない(31)
「黒人であるこの私は、私の人種の過去に対する罪悪感が白人のうちに結晶化することを願う権利をもたない」(ファノン)31-32.
・ポリコレの用語を使うことで、人種差別から免罪される気持ちになってはならない
・ひねくれた罪悪感を楽しむ(=実は犠牲者を見下す)のではなく、必要なのは積極的な連帯である(33)
05. 父、あるいは、それ以下 ・コナン・ドイル『白銀号事件』
・ルカシェンコと抗議デモ
・投機と生産の分離(38-39)
・資本主義下では、民主主義の放棄は絶対におこらない(38)
06. ソーシャルディスタンス時代の セックス ・アイルランド医療サービスのジョーク (40)
・リアルなセックスがおわってしまったらどうなるのか?(41)
・すべての性交渉は、リアルなパートーナーとするマスターベーションである(テーゼ)42
・じじつ、ロックダウンでセックスドールの売り上げがのびた。
・デュアン・ルーセル「多くの人がパンデミックで以前よりも強い結びつきをもつ」43
・「魂は肉体がなければ罪深い」アルセーニ・タルコフスキー(44)
07. 豚と人類のすばらし(くもない) い新世界 ・イーロン・マスクの豚のニューラルリン ク生体改造「幸せな豚」BMI 45
・「ワイヤードブレインの中のヘーゲル(Slavoj Žižek - Hegel in a Wired Brain)」
・ニューラルリンクとワイヤードブレインは補完的(47)
・パンデミックでおこったのは、近隣性と遠隔性の距離の布置=コンステレーションである。48
08. 「非接触型」の未来なんてごめん だ ・ナオミ・クライン「スクリーン・ニュー ディール」
・非接触空間で暮らせる人たちが最もコントロールされている。権力者に暮らし全体が筒抜け。
・新労働者階級=エシェンシャルワーカー
・スクリーン・ニューディールの先は、ワイヤード・ブレイン
09. グレタとバーニーは、どこに? ・オバマの存在意義:「黒人も大統領に なったじゃないか?!これ以上何を求めるのか?」(55)
・解放をもとめる人を解放するのではなく、解放を追求する人たちの闘争を支援すべき。
・グレタはバーニーは過激だから消えたのではなく、十分に急進的ではなかった。つまり、新しいビジョンを示せられなかった。新しいグローバルビジョンが必 要なのだ。
10. 今、現実世界で上映されている映 画はどんな映画か ・在庫が尽きたのは薬局ではなく銃器店 だった。
・COVID-19は必ず戻ってくる
11. パラダイスの殺人 ・連帯のイメージの代わりにあるのは恐怖 である
・感染死の恐怖
・暴力ではなく寛容だ
12. 今、売られている夢は ・主人公がありきたりの生活に戻ることが 願望の実現なのだが、現実はなにもかも失った状態である(69)
・とりつかれたのように外出禁止のルールをまもっていた市民が、やがてコロナの脅威を感じなくなる。
・ジジェクに言わせれば、社会秩序の崩壊(→それゆえ連帯や寛容を説く)が最大の問題なのに、隔離生活をエンジョイする富裕な階級の世界想像力の貧困、下 層労働者の絶望的貧困や雇用不安、そして、経済界の人命軽視の経済優先策を怒っているのだ(と理解できる)。
・今必要なのはマルクスの格率なのだ=その能力に働いて、その必要に応じて受け取るという生命維持の基本が確保されることが「新しい社会」の要件である。
13. はい赤い薬を、でもどっちの ・マトリクスの青い薬=現状のまま、赤い薬=覚醒の道。この赤い薬は、 ポピュリストの「社会の大嘘」を拒否するという道。
・右派ポピュリストと急進左派は類似か。75
・このパンデミックは、パーフェクトストームに展開する可能性がある。
・習近平体制の全体主義化、イスラエルのヨルダン川西岸の併合。
・ラカンのいう大文字の他者の崩壊=精神的な破綻のはじまり 78
14. シンプルだが実行するには厄介な事ども ・テドロス「リーダーシップと結束が欠如」した世界
・グローバル資本主義は障害
・正常性は精神病の一種である(ジャック・ラカン)83
うつ病「どうでもいいよ、もう死んでるんだから」
統合失調症「全然気づいていなかった」
妄想症「私は起こるとおもってたよ」
強迫神経症「ルールを守っていたら大丈夫」
解離性障害「いったい、この責任者は誰なんだ」84
・喪の作業には、何かが欠けている。そのためにカタストロフに向かう道が開かれる85
・和解(reconsiliation)は理性の勝利ではなく、行動の悲劇的側面の受容である(ヘーゲル)85
・幻想の支えられない現実はない(ラカン)86
・クロノス、アイオーン、カイロス 89
・あたらしい生活の様式を創り出す
フォイエルバッハの第11テーゼをひっくりがえせ。20世紀世 界は変革を試みる実践に費やしてきた。いまは、それを新しい方法で解釈する時がきた。
15. おわりに(する時間がない)——無知への意識 ・コロナが存在しない、政治的社会的空間は存在しない。
・市民やその運動を統制できる国家(フィヒテ)など存在しない——ヘーゲル
・カール・シュミットによると、非政治化は、経済への召使への矮小化である94
・グローバリゼーションは柔軟なポストモダン的帝国主義だ
・狂気の歴史の中でフーコーは、ルネサンスでも狂気は霊的なものとして作り出されたと理解されていた。
・自然は歴史的カテゴリーだ(ルカーチ )99
・フロイトの夢思考100 ——夢のトラウマ(106)
・他者の他者は存在しない(103)
・ダリアン・リーダー(110)
・『純粋理性批判』第二版の序文で、信仰の余地をつくるために知を放棄しなければならぬと説くカント。
5大ポイント(113-)
1)見えないものへの肯定が(人々の)無知の前提になる。コロナを否定するものは、陰謀論が好き
2)知識を阻止するものは、フェティシズム的否認として理解される
3)科学は希望のひとつだが、鵜呑みにしないことが重要
4)科学が思考しないということが、逆に科学の強みになる115
5)無知の意志の拡大を、知的操作の矮小化とは考えないこと116
・無知の意志への誘惑に屈するな、パンデミックを真剣に考えよ
16. 権力と外観と猥雑性に関する4つの省察 ・パンデミックが発生したのは、ポピュリズムが台頭する世の中であるこ と118
1)あたらしい、猥褻な「王」、トランプ?
・カントロビッチ、王の2つの身体
・Qアノンとトランプ
・象徴的去勢(ラカン)124
・倒錯者を精神分析というフロイト 127
・猥褻なゲームをたのしむ人たち 132-133
・バタイユはなぜ、1960年代の性革命を批判したか?134
・ポリコレは、抑圧的だ135
・ヤニス・ヴァルファキス135
・道具的理性 136
・ジェイムスン138『アメリカのユートピア』
・ニーチェ「最後の人」139
2)新ポピュリズムはファシズムではない
・中国のせいにすること
・トランプがメラニアを褒め称えて「いっしょにいたときにおならを聞いたことがない」という。
・リベラルな人がコンプライアンスをまもろうとするのと好対照。
・4つの選択肢:リベラルな形式的法治主義147、猥褻なポピュリズム148、左派のアキレス(151)
3)新ポピュリズムの危機
・小島秀夫のゲーム『メタルギアソリッド4』→「世界を変えることではなく、ありのままの世界を残すために最善をつくすこと」
・深刻な罠は、「新しいグローバル倫理が必要だと結論すること」だ162.
・直面する危機のすべてに明確な認識を備えること。162
ジ ジェク読みのジジェク知らず
ジジェク読みのジジェク知らず(まとめ)
1)コロナ・パンデミックは、それ以前の世界が直面していた人びとの苦境をさらに推し進めたように思われる。
2)だけど、人民よ、ここでめげてはいけない。これまでものとは異なる共産主義革命(ver. 2.0)をおこす千載一遇の機会だと考えるべきではないのか?
3)その処方箋は、コロナが分断した、国境封鎖や移民排斥を乗り越えて、みんなが連帯して、この危機を乗り越えるべきだということ
4)ポピュリズム的手法をつかう新しいタイプの政治に対して、対抗言説をつくりあげる必要がある。
5)イデオロギー批判ではなく、我々がどっぷり使っているイデオロギーの作用に自覚的になる必要がある。そのための方法は、ヘーゲルの方法(=主に精神現 象学のそれ)である。
6)もうひとつの、この危機を乗り越える方法は、「汝自身を知れ、とりわけ、汝の欲望そのものを知れ」ということである。そのためには、ジャック・ラカン の精神分析が手がかりになる
クレジット:授業ノート『ぱんでみっく!!!』:以前の「ぱんでみっく!!!」 は、こちらのサイトに吸収統合されました

文献リンク(→Reading Zizek in Japanese/ 日本語でジジェクを読む

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Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1997-2099

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