「監視されていることを知っているポーラ ンド人は、親しくない人の住宅には、いたるところに隠しマイクがとりつけられていることを知っている ので、そうした人に何かを話そうとするときは、街路で待っているものです。そのときの沈黙と、ごくありふれた身振り（みぶり）のうちに、レストランで声を 小さくして語る話しかたのうちに、手紙を燃やす身振りのうちに、息詰まるようなあらゆる種類の身振りのうちに、そして大学のキャンパスを襲うチュニジアの 警察のむき出しで野蛮な暴力のうちに、わたしは権力がもたらすある種の身体的な経験を、そして身体と権力との関係の経験を味わったのです」（フーコー 2008［June, 1975］:37）

ハインリッヒ・ホフマン（1885年 9月12日 - 1957年12月15日）は、アドルフ・ヒトラーの公式写真家で、ヒトラーと親交のあったナチスの政治家・出版人です。ホフマンの写真は、ヒトラー自身と ナチス党を重要な大衆現象として見せるためのプロパガンダキャンペーンの重要な一部であった。彼は、ヒトラーの肖像が切手にまで使用されることで印税を受 け取り、ヒトラーの支配期間中、億万長者となった。第二次世界大戦後、彼は戦争で利益を得たとして裁判にかけられ、4年の禁固刑を言い渡された。彼は連合 国の美術品略奪調査官によって、美術商とコレクターの両方を兼ねたナチスのユダヤ人に対する美術品略奪の「大犯罪者」に分類され、ユダヤ人から略奪した美 術品を多く含む彼の美術コレクションは連合国から没収を命じられた。1956年、バイエルン州はホフマンがかつて所有していた管理下の美術品をすべて返還 するよう命じた。

第一次世界大戦ではバイエルン軍の従軍カ メラマンを務めた[2]。国粋主義者で反ユダヤ主義者であったホフマンは戦後すぐに右翼団体に所属する ようになった。1919年にアドルフ・ヒトラーと出会い、交友関係を結んだ。以降ヒトラーはホフマンの家に足繁く通うようになった[2]。ヒトラーはホフ マンの家の芸術的な雰囲気を気に入っており、「第二の我が家」と呼んでいた[6]。なお、後にヒトラーの夫人となるエーファ・ブラウンは、ホフマンの写真 スタジオで働いていた1929年頃にヒトラーと出会い、それから交際を始めた[2][3]。1920年4月に国家社会主義ドイツ労働者党（ナチ党）に入党 し[1][7]、1923年からヒトラーの写真を撮ることを許可された[8]。以降ヒトラーの行く場所どこにでも同行して彼の写真を撮った。ホフマンが残 した写真数は250万枚にも及ぶという[7]。1932年3月31日には長女ヘンリエッテがナチ党全国青少年指導者バルドゥール・フォン・シーラッハと結 婚した[9]。ナチ党の政権掌握後の1933年には最初のヒトラー写真集『誰も知らないヒトラー』(Hitler,wie ihn keiner Kennt)を出版し、ベストセラーになった。その後もヒトラーの写真集を続々と出版し[7][3]、ホフマンは莫大な富を築いた[8]。1940年1月 には国会議員となった[7]。

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ハインリヒ・ホフマン（Heinrich Hoffman, 1885-1957）がとった、アドルフ・ヒトラーの演説のための身振りリハーサル（1927）

ヒトラーは、人にどのようにみられている のかを、自分で分析するために、ホフマンに写真をとらせた。また、ホフマンはナチスからの全面的支援の もとで、自分の写真集を世に広めた。まさに写真会のレニー・リーフェンシュタール（Leni Riefenstahl, 1902-2003）である。

Adolf Hitler rehearsing poses for his speeches in photos reportedly taken in 1927.

	Bundesarchiv, Bild 102-10460 / Hoffmann, Heinrich / CC-BY-SA 3.0 For documentary purposes the German Federal Archive often retained the original image captions, which may be erroneous, biased, obsolete or politically extreme. Interessante Rednerposen des Führers der nationalsozialistischen Arbeiterpartei, Adolf Hitler! Adolf Hitler machte durch seine Zeugenaussagen vor dem Reichsgericht in Leipzig viel von sich reden. Hitler testifying before the Supreme Court in Leipzig.

◎旧クレジット：身ぶりと権力（Le geste et le pouvoir）

リンク

• ︎ミッシェル・フーコーの権力論▶レヴィ＝ブリュルを読むルイス・イェ ルムスレウについて︎▶ヒラリー・クリントンの身体技法︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎
  

文献

• フーコー，ミッシェル『私は花火師です』中山元訳、筑摩書房、2008年

その他の情報