On dilemma of hiring Specially Appointed Researcher/Fellow and Stuff
児美川孝一郎(2017)によると、「任期付の特任教員には、アカデミックなバックグラウンドを持つシニア層や若手が着任し、学部などに所属す ることになるポスト(=特任教員01)と、社会人経験などを経て、大学教育の新たな機能を担う初年次教育センターやキャリアセンターなどに所属することに なるポスト(=特任教員02)」の2種類のタイプわけがあるという。
しかし、それらのカテゴリー分けはあまり意味をなさず、常勤の「特任」という文字がつかない非特任教員と、組織の有期雇用計画に則り、採用時に 雇用任期を定めて雇用する特任教員の2種類がある。教員に準じるのが特任研究員である。教員は文字通り大学の教育と研究に携わり、研究員は研究と庶務に従 事する。しかし、実際は、庶務だけの仕事を雇用時に要求される「研究員」も存在する。その理由は、庶務は事務部に属するので人事系統が異なるために、教育 研究をマネジメントしている管理者が教育研究のための専従の事務職員を求めるからである。
特任教員や研究員の英語の特任という形容詞は、Specially Appointed であり、特任教授は、Specially Appointed Professor であり、これには常勤(Full time)と非常勤(Part time)の区別がある。
常勤の「特任」という文字がつかない非特任教員とは、基本的には大学全般の研究・教育・社学連携・ならびに管理の業務を定年まで雇用されるもの であり、特任は、任期を定めるというよりも、なにか、特別のミッションのために雇用された人という意味がある。そのため常勤の特任の人でも、特別のミッ ションが終われば(普通プロジェクトの期間を定めるので)、雇用が終わることになる。そのため、特任教員・研究員は、かりに常勤であっても数年ごとに任期 を定めている。私の大学(職場)では、博士号のある人は最大で10年間連続で雇用することができ、博士号のない人は最大で5年間である。さらに、それらの 人を雇用したければ最低6ヶ月のクーリングオフ期間が必要である。
しかし、Specially Appointed というミッションがなくても、非特任の教員よりも、給与制度や社会保険制度のカバーに違いがあるために、大学側は人件費を削減して、非特任ではなく、特任 教員——場合によってはほぼ全ての教員をそのように扱う——で雇用することもある。ただし、このような雇用は、大学を永続的に発展させるためには、不適切 なものである。
そして、何よりも、特任研究員・特任教員は、自分のキャリアデザインとして、いつまでもその身分に留まるよりも、より待遇のよい、非特任かつ常勤のポストをもとめて移動する、プッシュ要因が存在する。
特任研究員・特任教員の側からの視座からみれば、全国の大学や研究機関で教職員公募に出して、よいポジションに移動したいが、それがなかなか難 しい。その理由は、多くの公募が、完全に自由競争の原理で動いていないこと、教職員候補が供給過剰になっており、有名校や名の通った私立では人気が非常に 高いために、第三者からみて、実力があるような人でもなかなか雇用の道はきびしい。
社会主義計画経済ではなく完全自由競争で回っているために、それに応募する大学教員や研究員候補者は、実際のところ、何度も何度も挑戦し、実際に疲弊してしまう人も多い。また、雇用の機会を得た人たちに所感を聞いてみると「本当にラッキーだった」というのが正直なところである。
雇う側からみると、優秀な人は、いつまでも特任研究員・特任教員のままでいると、他所に公募を受けて出て行ってしまうかもしれないという心配がある。かといって、非特任の教員・研究員として雇用するためのポスト枠組みがない。また、ポスト枠組みがないために、近しいスタッフとしていてほしいが、その方の将来をことを考えると、他大学の非特任の安定した雇用に就いて、将来も教員として、研究と教育に精進してほしいという願望もある。その相反する欲望が、特任研究員・教員のジレンマである。
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