かならず読んでく ださい

ウェールビーイングの正しい訳語は〈それなりハッピー〉です!!!

Well-bing and human future under era of COVID-19.

池田光穂

1. 「Well-Beingとは何でしょうか? 改めて池田先生に問い直したいと存じます」

(応答)マーサ・ヌスヴァウムのケイパビリティ・ア プローチに私は心酔しております。彼女によると、ケイパビリティはあらゆる諸国の憲法で保障されるべき人間の資質であり、可能なるもの(アリストテレスの いう可能態)である。つまり、Well-Beingとは何かを考えることは、普遍的な人間らしさとは何かについて考えることである。これは、狭い保健医療 の専門家だけでなく、哲学などの思想家、人文社会科学者のみならず、人間のために人工物を組み立てることに血道をあげる工学研究研究者や、原発開発工学者 にとっても、また理論物理学者にも考えるべき重要な課題だと思います。

2. COVID-19が猖獗する今、私たちが本当に守らなければならないものは何なのでしょうか?

(応答)個々人の命でしょう。人間は危機に陥ると、 人間の選別が始まります。安楽死(=私の定義は安楽殺ですが)のみならず、トリアージュも経験的な現場では止むを得ない場合になりますが、ルーティン化し たり、それが金科玉条になるのは強制収容所の論理と五十歩百歩です。医療者にとって辛い作業ですが、記録をきちんと残しておくこと。その決定に利害関係の 人の証人をつけて記録を残しておく(=アーカイブ化する)ことだと思います。

3. Well-beingの「日本語訳」について先生のご提案をうかがいたいと存じます

(応答)真面目に考えるプロセスを経ると「それなり にハッピー」がいちばんいい訳です。そのような訳を日本のWHO関係者が受容することができるまで、外野の僕たちは、もっと人民(ピープル)の側に立てと 文句を言いつづけます。言い方を変えると、Well-being=それなりにハッピーとなったとき、WHOの政策理念は、人々のあいだにようやく浸透した ということになるでしょう。

※2年ほど前(ca.2020)にある某企業が、対 価なしのアンケートをしてきたので、答えたデータ。アンケート会社はその後、梨の礫ですわ、ま、そりゃそやろ、ウェールビーイングの翻訳は?に《それなり にハッピー》

コロナ時代のウェールビーイングについ て
文化と薬理学:医薬品・ドラッグ・アル コール・タバコ

    •    プラシーボとノシーボ(薬理的問題)
    •    プラシーボとノシーボ(文化的問題)
    •    プラシーボとノシーボ(地球的問題)
    •    薬への依存とグローバル製薬企業への依存症
    •    ドラッグの普遍化・遍在化(医薬品・ドラッグ・アルコール・タバコ)
    •    グローバル・ハームリダクションの必要性
移住・グローバリゼーション・健康

    •    グローバリゼーション・グローカリゼーションの再定義
    •    移住/移動現象の普遍化・遍在化
    •    移民と難民の新たな多様性
    •    ジェンダー格差、ヒューマントラフィキング
    •    保健人材の国際移動
    •    治療体系の移動
    •    グローバル・メンタルヘルスは必要か?
遠隔医療:テレメディスンとインター ネット

    •    "Telemedicine is the remote delivery of healthcare services, such as health assessments or consultations, over the telecommunications infrastructure. It allows healthcare providers to evaluate, diagnose and treat patients using common technology, such as video conferencing and smartphones, without the need for an in-person visit." - Telemedicine.
    •    遠隔精神医療・遠隔心理学・サイバー治療
    •    サイバー・ボディとサイバー・セルフ
医療人類学とグローバルヘルス

    •    「貧困と格差」は終わらない――開発人類学の再編成
    •    予防接種
    •    プライマリ・ヘルスケアの地域資源
    •    地域の有力者(コミュニティ・リーダー)の今?
    •    国際的な武器の流通
    •    環境汚染と地球温暖化
    •    バイオパイラシー
医療人類学がグローバル保健戦略に貢献 できる

    •    1. コミュニティレベルでの調査
    •    2. 過去の文献をレビューして地域に関する情報を提供できる
    •    3. 特定の文脈における「文化的行動」を説明できる
    •    4. 地域レベルでの医療政策と国家/国際レベルでの政策立案者の間を繋げることができる
    •    5. 地域レベルでの支援
    •    6. 政策立案者に文化社会的に関する研修プログラムを策定できる
    •    7. 政策関係者などがもつ自民族中心主義を修正できる手助けができる
    •    8. 保健問題に関する研究ツールを提供できる
  医療人類学の強み

    •    1. 特定の地域・コミュニティに関する知識の提供
    •    2. 世界中の比較データの提示ができる
    •    3. 研究方法が全体的で多角的である
医療人類学の弱み

    •    1. 知識やわざが局所的
    •    2. 人類学の知識に精通しているが、医学・生物学・疫学・心理学の知識には乏しいことがある(「人類学的医療」の提唱)
    •    3. エスノグラフィー(民族誌学)の知識が、緊急で喫緊の課題解決には、それほど適合的ではない(=すぐには役に立たない)ことがある。
  1. 「Well-Beingとは何か」、改めて問い直す

(承前)
(承前)
(承前)
結論

    •    グローバルヘルス(世間的な人たちの健康)まではいいけど、プラネタリーヘルスは、オカルト概念/グノーシス知識を召喚し、俗流スピリチュアリズムのカル トするので僕は反対。すくなくともイケていないと思う。
    •    SDGsの取り込み運動の熱狂化に???→とりあえず「裏声で歌えSDGs讃歌」
    •    COVID-19対策のナショナル・ヘルスサービス機能の強化プロセス。想像の共同体の国境は、むかしアイデンティティ、いま疫学が定義する。
やばい → ご静聴ありがとうございま した



●ケイパビリティとは、マーサ・ヌスヴァウムによる と、あらゆる諸国の憲法で保障されるべき人間の資質であり、また、可能なるもの(可能態)である。

    1. 生命
    2. 身体の健康
    3. 身体の不可侵性
    4. 感覚・想像力・思考力
    5. 感情
    6. 実践理性
    7. 連帯
    8. ほかの種との共生
    9. 遊び
    10. 自分の環境の管理

これらは、言うまでもなく人間らしさを保障する論理 になる。すなわち、以下のような説明が可能になる(これらの文言)。

    1. 生命——人間は死ぬ存在である
    2. 身体の健康——人間は身体をもつ
    3. 身体の不可侵性——人間の身体は他者に譲渡できないし、また他者を自分のものとして所有することはできない
    4. 感覚・想像力・思考力——人間は認知能力をもつ
    5. 感情——人間は認知能力と情動を同時にあわせもつ存在である。感情を認知能力と峻別する人もいるが、その両方をもつのが人間の特徴である
    6. 実践理性——言説活動を通して人間は道徳的に結びつくことができる
    7. 連帯——人間は社会的動物であり、その特徴を生かして、個人ができる能力を超えるほどの活動が可能になる
    8. ほかの種との共生——人間の生存や生活は、他の種の犠牲や貢献の上になりたつ。
    9. 遊び——ユーモアと遊びをすることは、人間らしさの信条であり、また、他の種の行動のなかに「遊ぶ」様を認めることができる存在でもある
    10. 自分の環境の管理——人間は自分の存在を保障してくれる環境が必要であり、また、個の保全という権利をもつ存在ということについての合意 がある

【図】財・ケイパビリティ・機能の関係(神島裕子、 57ページより)

文献

Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099