講師:池田光穂
ホームレスの子供が路上に眠る——。
皆さんの反応は「信じられない!」ということになるでしょうか?でも「残念ながらそれが現実だ!」という世界があります。そのような「不幸な子供たち」を
生み出した社会——これまでの学校教育ではいきなりこの「社会」が「国家」という名前ですぐに置き換えられる不幸が現在でもつづいていますが——は、日本
の(幸せな)社会よりも酷いと批判できるでしょうか?
ホームレスの子供を生み出す社会の住人たちは、日本でしばしば報道される「児童虐待」「ストーカー」「電車の痴漢」のニュースを見て、「信じられない!」
という反応をします。この授業は、2つの「信じられない!」現象の根がじつは、おなじ問題系にあることを解き明かすことにあります(→対位法的読解)。その問題系を、人類学
的想像力を動員して解明に努めることが、このヴァーチャル(あるいはリアルな)授業の目的です。
●映像資料
ジルベルト・ディメンスタイン原作、サンドラ・ウェルネック監督(シネルス制作) 『路上の子どもたち——ブラジルのストリートチルドレンの闘い』1996年
●キーワード
ストリートチルドレン、子どもの人権、都市環境における暴力、犯罪
●関連映像作品
ミラ・ナイール監督『サラーム・ボンベイ』1988年
『シティ・オブ・ゴッド』(公式サイトhttp://cityofgod.asmik-ace.co.jp/) シノプシス:「1960年代から1980年代にかけてのリオデジャネイロ、中でも貧困にあえぐファヴェーラと呼ばれるスラム地域を舞台にした、強盗、麻薬 ディーラーなどをして金を稼ぐモレーキ(ストリートチルドレン)たちの抗争が、実話を基にして描かれている。原題の "Cidade de Deus" とは、映画の舞台であり現存するファヴェーラの地名である」ウィキペディア日本語
●文献
ジルベルト・ディメンスタイン『風みたいな、ぼくの命』神崎牧子訳、現代企画室、1992年
Nancy Scheper-Hughes and Carolyn Sargent eds.1998. "Small Wars: The Cultural Politics of Childhood". Berkeley: University of California Press.
Fuente: Scheper-Hughes, Nancy and Daniel Hoffman. 1998. Brazilian Apartheid: Street Kids and the Struggle for Urban Space, In "Small Wars: The Cultural Politics of Childhood," Pp.352-388. Berkeley: Universit of California Press.[シェッパー=ヒューズ,N.とD.ホフマン「ブラジルのアパルトヘイト—ストリートチルドレンの都市空間での居場所を求める闘い—(上/ 下)」『思想』2000年1月号(No.907),Pp.70-90. 2000年2月号(No.908), Pp.219-236.]
●リンク先
Discovering the Truth Behind Children in Brazil ( April Brayfield,Ph.D, Tulane Univ.)
[Thanks for her information, Ms. Emma Burrows from Osaka University]
●課題
◎リンク集
行動する人類学
Anthropology in Action
人類学を発動させる:文化人類学と問題解決アプローチ
関連情報
リオのスラム街で麻薬戦争激化=州は軍派遣要請、「囲い込み」案も−ブラジル
【サンパウロ18日時事】ボサノバの名曲「イパネマの娘」で有名なブラジル・リオデジャネイロの観光地イパネマ海岸周辺のファベーラ(ス ラム街)で、麻薬組織による激しい抗争がぼっ発。9日以来、少なくとも十数人の死者が出ている。州政府は1200人の重武装警官を投入したものの、沈静化 には至っていない。 事件は9日未明、麻薬取引で1日に億単位の金が動くとされる南米最大級のファベーラ、ホッシーニャを乗っ取ろうと、別の組織が乗り込んできたのが発端。 双方が撃ち合いを始め、駆け付けた警察と三つどもえの銃撃戦となった。警察の一斉手入れにより一時は沈静化したかに見えたが、ホッシーニャのボスが警官に 射殺され、事態はさらに混迷を深めている。
(時事通信) [4月19日7時1分更新] 2004年4月19日 Yahoo ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040419-00000567-jij-int