公的研究費の管理・監査のガイドラインと、その考え方について
解説:池田光穂
研究機関における(実施基準)(平成19年2月15日 文部科学大臣決定)
※文科省のサイトのウェブデザインが多少見にくいので、テキストを引用し再掲することで、視認性 を高め、このガイドラインがより多くの関係者に対して「研究費を公正に管理するとは(日本の社会とりわけ国立大学法人においては)どのような意味をなすの か?」について考えるためのよすがとしたい。テキストはコピー&ペーストで対応した。したがって、機種依存の文字は正確に反映されていないことを御了承く ださい。(池田光穂)
※この授業資料は、平成23年度コミュニケーションデザイン科目開講の「研究倫理2011」のためのものです。
【全文】
研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)
平成19年2月15日 文部科学大臣決定
本ガイドラインは、文部科学省又は文部科学省が所管する独立行政法人から配分される、競争的資 金を中心とした公募型の研究資金(以下、「競争的資金等」という。具体的な制度は別紙のとおり。なお、新設・廃止等により、対象となる制度に変更があった 場合は、その都度公表する。)について、配分先すべての機関においてそれらを適正に管理するために必要な事項を示したものである。第1節から第6節におい ては、それぞれの研究機関が実施するべき課題をテーマ別に記述し、第7節においては、それらの課題の実施状況評価をめぐって文部科学省がとるべき方策等を 記す。
本ガイドラインの大前提にあるのは、次のような考え方である。
第1に、競争的資金等には研究機関に交付されるものと個々の研究者の研究遂行のためのものがあ るが、個人への補助の性格を有するものであっても、その原資が国民の税金である以上、国民の信頼に応えるため、競争的資金等の管理は研究機関の責任におい て行うべきである、というこれまでの原則を一層徹底することが適当である。
第2に、競争的資金の管理を委ねられた機関の責任者は、研究費の不正な使用が行われる可能性が 常にあるという前提の下で、不正を誘発する要因を除去し、抑止機能のあるような環境・体制の構築を図らなくてはならない。
研究機関は、その性格や規模において極めて多様であり、管理の具体的な方法について一律の基準 を強制することはかえって実務上の非効率を招き、研究機関の研究遂行能力を低下させる危険性が高い。本ガイドラインは、大綱的性格のものであって、具体的 にどのような制度を構築するかは、個々の研究機関の判断に委ねられている。各研究機関において、組織の長の責任とリーダーシップの下、構成員である研究者 と事務職員が自律的に関与して、留意事項を参照しつつ、それぞれの研究機関にふさわしい、より現実的で実効性のある制度を構築することが求められる。
なお、文部科学省又は文部科学省が所管する独立行政法人から競争的資金等の配分を受ける限り、 企業、財団法人、NPO、外国の研究機関等も本ガイドラインの適用対象となる。ただし、小規模な企業、財団法人又はNPO、あるいは我が国の原則を強制す ることが無理な外国の研究機関等、ガイドラインに掲げたすべての項目を実施することが困難な団体については、資金配分機関においてチェックを強化するなど の措置によって代替する場合がある。また、企業等において、会社法に基づく内部統制システムの整備の一環等として、規程等がすでに設けられている場合はこ れを準用することを可能とする。
また、別添として幾つかの実施事項の例を挙げているが、これらは多様であり得る制度構想の選択 肢の一部として参考までに挙げているものであり、各研究機関がこの例の通りに実施することを求めるものではない。なお、本ガイドライン自体も、今後の運用 を通じて、研究機関の実態により即した、より現実的かつ実効性のあるものになるよう見直しを行っていくこととする。
第1節 機関内の責任体系の明確化
競争的資金等の運営・管理を適正に行うためには、運営・管理に関わる者の責任と権限の体系を明 確化し、機関内外に公表することが必要である。
(全機関に実施を要請する事項)
機関全体を統括し、競争的資金等の運営・管理について最終責任を負う者(以下、「最高管理責任 者」という。)を定め、その職名を公開する。最高管理責任者は、原則として、機関の長が当たるものとする。
最高管理責任者を補佐し、競争的資金等の運営・管理について機関全体を統括する実質的な責任と 権限を持つ者(以下、「統括管理責任者」という。)を定め、その職名を公開する。
機関内の各部局等(例えば、大学の学部、附属の研究所等、一定の独立した事務機能を備えた組 織)における競争的資金等の運営・管理について実質的な責任と権限を持つ者(以下、「部局責任者」という。)を定め、その職名を公開する。
最高管理責任者は、統括管理責任者及び部局責任者が責任を持って競争的資金等の運営・管理が行 えるよう、適切にリーダーシップを発揮しなければならない。 (実施上の留意事項) 各機関において適当と判断する場合は、部局等単位で責任の範囲を区分したり、対象となる資金制度によって責任の範囲を区分することができる。その場合は 責任の範囲があいまいにならないよう、より明確に規定する。
第2節 適正な運営・管理の基盤となる環境の整備
最高管理責任者は、研究費の不正な使用(以下、「不正」という。)が行われる可能性が常にある という前提の下で、不正を誘発する要因を除去し、十分な抑止機能を備えた環境・体制の構築を図らなくてはならない。
(1) ルールの明確化・統一化
(全機関に実施を要請する事項)
競争的資金等に係る事務処理手続きに関するルールについて、以下の観点から見直しを行い、明確 かつ統一的な運用を図る。
すべての研究者及び事務職員にとって分かりやすいようにルールを明確に定め、ルールと運用の実 態が乖離していないか、適切なチェック体制が保持できるか等の観点から常に見直しを行う。
機関としてルールの統一を図る。ただし、研究分野の特性の違い等、合理的な理由がある場合に は、機関全体として検討の上、複数の類型を設けることも可能とする。また、ルールの解釈についても部局間で統一的運用を図る。
ルールの全体像を体系化し、すべての研究者及び事務職員に分かりやすい形で周知する。
事務処理手続きに関する機関内外からの相談を受け付ける窓口を設置し、効率的な研究遂行を適切 に支援する仕組みを設ける。
(実施上の留意事項)
機関内ルールの策定に当たっては、慣例にとらわれることなく、実態を踏まえ業務が最も効率的か つ公正に遂行できるものとする。
ルールの例外的な処理は、ルールと実態の乖離を招く恐れが強いことから、極力これを認めない。 やむをえず認める必要がある場合については、例外処理の指針を定め、手続きを明確化して行うものとする。また、例外的処理を認めたケースについて先例集を 作成して周知させるなど、実務が放恣に流れないよう最大限の努力を惜しんではならない。
(2) 職務権限の明確化
(全機関に実施を要請する事項)
競争的資金等の事務処理に関する研究者と事務職員の権限と責任について、機関内で合意を形成 し、明確に定めて理解を共有する。
業務の分担の実態と職務分掌規程の間に乖離が生じないよう適切な職務分掌を定める。
各段階の関係者の職務権限を明確化する。
職務権限に応じた明確な決裁手続きを定める。
(実施上の留意事項)
不正を防止するためには、適切なチェックが必要であることについて研究者の理解を促進し、現場 でのチェックが適切に行われる体制を構築することが重要である。
業務の実態が変化しているにもかかわらず、職務分掌規程等が改定されないまま実態と乖離して空 文化し、責任の所在があいまいになっていないかという観点から必要に応じ適切に見直す。
決裁が形式的なものでなく責任の所在を反映した実効性のあるものとなるよう、決裁手続きを簡素 化する。その際、決裁者の責任を明確にするためにも、決裁者の人数を少人数に絞ることが望ましい。
(3) 関係者の意識向上
(全機関に実施を要請する事項)
研究者個人の発意で提案され採択された研究課題であっても、研究費は公的資金によるものであ り、機関による管理が必要であるという原則とその精神を研究者に浸透させる。
事務職員は専門的能力をもって公的資金の適正な執行を確保しつつ、効率的な研究遂行を目指した 事務を担う立場にあるとの認識を機関内に浸透させる。
研究者及び事務職員の行動規範を策定する。
(実施上の留意事項)
不正の発生の背景には個人のモラルの問題だけでなく、組織による取り組みの不十分さという問題 があるという認識を徹底させる。
不正発生を根絶するには、研究者、研究者コミュニティの自己決定によるルールと体制作りが前提 であり、それに従うことが研究者倫理であるという意識を浸透させる。
不正の問題は、機関全体、さらには広く研究活動に携わるすべての者に深刻な影響を及ぼすもので あることを、研究者は十分に認識しなければならない。 事務職員は、研究活動の特性を十分理解する。
事務職員は、研究を行う上で必要な事柄については、ルールに照らし実現可能であるか柔軟に検討 するとともに、検討結果につきできるだけ早く研究者に適切な説明を行うことが求められる。なお、柔軟な検討については、本節(1)に述べたことに充分留意 することが必要である。
部局責任者等、研究現場における組織風土の形成に直接責任のある者は、会議等の運営に当たり、 研究者と事務職員の相互理解を促進させるよう配慮する。
事務職員のキャリアパスが、専門性を高められるものとなるよう配慮する。また、機関として専門 性の高い人材の育成に取り組む。
行動規範の内容は、研究者や事務職員の問題意識を反映させたものとする。研究者や事務職員の意 識向上のため、現場で問題となりうる具体的な事項や実務上必要な内容を優先順位を付けて記載し、個々の事象への対応ではなく、機関の職員としての取り組み の指針を明記するものとする。
(4) 調査及び懲戒に関する規程の整備及び運用の透明化
(全機関に実施を要請する事項)
不正に係る調査の手続き等を明確に示した規程等を定める。
不正に係る調査に関する規程等の運用については、公正であり、かつ透明性の高い仕組みを構築す る。
懲戒の種類及びその適用に必要な手続き等を明確に示した規程等を定める。
(実施上の留意事項)
不正に関する調査や懲戒に関する規程等については、不公平な取扱いがなされたり、その疑いを抱 かれたりすることのないように、明確な規程とするとともに適用手続きの透明性を確保する。
懲戒規程等は、不正の背景、動機等を総合的に判断し、悪質性に応じて処分がなされるよう、適切 に整備する。
調査の結果、不正が確認された場合は事案を公表する。また公表に関する手続きを予め定める。
第3節 不正を発生させる要因の把握と不正防止計画の策定・実施
不正を発生させる要因を把握し、具体的な不正防止対応計画を策定・実施することにより、関係者 の自主的な取り組みを喚起し、不正の発生を防止することが必要である。
(1) 不正を発生させる要因の把握と不正防止計画の策定
(全機関に実施を要請する事項)
不正を発生させる要因がどこにどのような形であるのか、機関全体の状況を体系的に整理し評価す る。
不正を発生させる要因に対応する具体的な不正防止計画を策定する。
(実施上の留意事項)
不正を発生させる要因の把握に当たっては、一般的に以下のような点に注意が必要である。
(ア) ルールと実態が乖離していないか。
(イ) 決裁手続きが複雑で責任の所在が不明確になっていないか。
(ウ) 取引に対するチェックが不十分になっていないか。例えば、研究者と事務職員の間の意思疎通が円滑でないことなどにより、事務職員から研究者に取引状況の確 認が行いにくい状況がないか。又は、研究者と取引業者の間が密接になり過ぎており、チェックがかけにくい状況になっていないか。
(エ) 予算執行が特定の時期に偏っていないか。
(オ) 過去に業者に対する未払い問題が生じていないか。
(カ) 競争的資金等が集中している部局・研究室はないか。
(キ) 非常勤雇用者の管理が研究室まかせになっていないか。
不正には複数の要因が関わる可能性があることに留意する。
具体的な要因を把握するに当たっては、組織全体の幅広い関係者の協力を求め、実際に不正が発生 する危険性が常にどこにでもあることを認識させ、自発的な改善の取り組みを促す。
不正を発生させる要因に対する不正防止計画は、優先的に取り組むべき事項を中心に、明確なもの とするとともに、定期的に見直しを行うことが必要である。
不正防止計画の策定に当たっては、経理的な側面のみならず、ルール違反防止のためのシステムや 業務の有効性、効率性といった側面についても検討する。
不正防止計画への取り組みに部局等によるばらつきが生じないよう機関全体の観点からのモニタリ ングを行う。
(2) 不正防止計画の実施
(全機関に実施を要請する事項)
研究機関全体の観点から不正防止計画の推進を担当する者又は部署(以下、「防止計画推進部署」 という。)を置く。
最高管理責任者が率先して対応することを機関内外に表明するとともに、自ら不正防止計画の進捗 管理に努めるものとする。
(実施上の留意事項)
防止計画推進部署は、最高管理責任者の直属として設置するなどにより、機関全体を取りまとめる ことができるものとする。なお、機関の規模によっては既存の部署を充て、又は既存の部署の職員が兼務することとしても差し支えない。
防止計画推進部署には、研究経験を有する者も含むことが望ましい。
防止計画推進部署は機関の内部監査部門とは別に設置し、密接な連絡を保ちつつも内部監査部門か らのチェックが働くようにすることが望ましい。
不正防止計画の着実な実施は、最高管理責任者の責任であり、実際に不正が発生した場合には、最 高管理責任者の対応が問われることとなる。
部局等は、機関全体で不正が生じにくいように、防止計画推進部署と協力しつつ、主体的に不正防 止計画を実施する。
第4節 研究費の適正な運営・管理活動
第3節で策定した不正防止計画を踏まえ、適正な予算執行を行う。業者との癒着の発生を防止する とともに、不正につながりうる問題が捉えられるよう、他者からの実効性のあるチェックが効くシステムを作って管理することが必要である。
(全機関に実施を要請する事項)
予算の執行状況を検証し、実態と合ったものになっているか確認する。予算執行が当初計画に比較 して著しく遅れている場合は、研究計画の遂行に問題がないか確認し、問題があれば改善策を講じる。
発注段階で支出財源の特定を行い、予算執行の状況を遅滞なく把握できるようにする。
不正な取引は研究者と業者の関係が緊密な状況で発生しがちであることにかんがみ、癒着を防止す る対策を講じる。
発注・検収業務について当事者以外によるチェックが有効に機能するシステムを構築・運営する。
納品検収及び非常勤雇用者の勤務状況確認等の研究費管理体制の整備について、機関の取り組み方 針として明確に定める。
不正な取引に関与した業者への取引停止等の処分方針を機関として定める。
研究者の出張計画の実行状況等を部局等の事務で把握できる体制とする。
(実施上の留意事項)
予算執行が年度末に集中するような場合は、執行に何らかの問題がある可能性があることに留意 し、事務職員は必要に応じて研究者に対して執行の遅れの理由を確認するとともに必要な場合は改善を求める。
物品調達に係るチェックシステムは、不正の防止と研究の円滑かつ効率的な遂行を両立させるよう 配慮し、調達業務全体の枠組みの中で検討する。
書面によるチェックを行う場合であっても、形式的な書類の照合ではなく、業務の実態を把握する ように実施する。
発注業務を柔軟にすることを目的として一定金額以下のものについて研究者による直接の発注を認 める場合であっても、従来の慣行に関わらず、発注の記録方法や発注可能な金額の範囲等について、機関として可能な限り統一を図る。
納品伝票は納品された現物と照合した上で保存し、後日の検証を受けられるようにする。
物品調達について事務部門による検収を実施することが実務上困難な場合においても、発注者の影 響を排除した実質的なチェックが行われるようにしなければならない。
研究費の執行が当初計画より遅れる場合等においては、繰越明許制度の積極的活用等、ルールその ものが内蔵する弾力性を利用した対応を行う。
第5節 情報の伝達を確保する体制の確立
ルールに関する理解を機関内の関係者に浸透させること、機関の内外からの情報が適切に伝達され る体制を構築することが、競争的資金等の運営・管理を適切に行うための重要な前提条件となる。
(全機関に実施を要請する事項)
競争的資金等の使用に関するルール等について、機関内外からの相談を受け付ける窓口を設置す る。
機関内外からの通報(告発)の窓口を設置する。
不正に係る情報が、最高管理責任者に適切に伝わる体制を構築する。
研究者及び事務職員が機関の定めている行動規範や競争的資金等のルールをどの程度理解している か確認する。
競争的資金等の不正への取り組みに関する機関の方針及び意思決定手続きを外部に公表する。
(実施上の留意事項)
機関内部及び取引業者等、外部からの通報の取扱いに関し、通報者の保護を徹底するとともに、保 護の内容を通報者に周知する。
誹謗中傷等から被告発者を保護する方策を講じる。
顕名による通報の場合、原則として、受け付けた通報に基づき実施する措置の内容を、通報者に通 知する。
機関内外からの相談窓口及び通報窓口の仕組みについて、ホームページ等で積極的に公表する。
行動規範や競争的資金等のルールの理解度の調査においては、ルールの形骸化やルールを遵守でき ない事情等がないか把握するよう努め、問題点が発見された場合には、最高管理責任者のリーダーシップの下、適切な組織(コンプライアンス室、監査室等)が 問題の解決に当たる。
民間企業等において、企業活動上、社内規程等を外部に公表することが困難な場合は、資金配分機 関への報告をもって公表に代えることができる。
第6節 モニタリングの在り方
不正の発生の可能性を最小にすることを目指し、機関全体の視点から実効性のあるモニタリング体 制を整備することが重要である。
(全機関に実施を要請する事項)
競争的資金等の適正な管理のため、機関全体の視点からモニタリング及び監査制度を整備する。
内部監査部門は、会計書類の形式的要件等の財務情報に対するチェックのほか、体制の不備の検証 も行う。
内部監査部門は第3節(2)の防止計画推進部署との連携を強化し、不正発生要因に応じた内部監 査を実施する。
内部監査部門を最高管理責任者の直轄的な組織として位置付け、必要な権限を付与する。
内部監査部門と監事及び会計監査人との連携を強化する。
(実施上の留意事項)
内部監査部門を強化するため、高い専門性を備え、機関の運営を全体的な視点から考察できる人材 を配置する。
内部監査は、機関全体のモニタリングが有効に機能する体制となっているか否かを確認・検証する など、機関全体の見地に立った検証機能を果たすことが重要である。調達業務を例にとると、発注・検収・支払いの現場におけるチェック及び防止計画推進部署 によるそれらのモニタリングがともに機能しているか否かを内部監査により確認する。また内部監査には、ルールそのものにも改善すべきことがないか検証する ことが期待されている。
監事及び会計監査人と内部監査部門が、それぞれの意見形成に相互に影響を及ぼすことを避けつ つ、機関内の不正発生要因や監査の重点項目について情報や意見の交換を行い、効率的・効果的かつ多角的な監査を実施できるようにする。
内部監査部門は、コンプライアンス委員会や外部からの相談窓口等、機関内のあらゆる組織と連携 し、監査の効果を発揮できるようにする。
内部監査の実施に当たっては、把握された不正発生要因に応じて、監査計画を随時見直し効率化・ 適正化を図る。
第7節 文部科学省による研究機関に対するモニタリング、指導及び是正措置の在り方
文部科学省及び文部科学省が所管する資金配分機関である独立行政法人(以下、「文部科学省等」 という。)は、研究機関が第1節から第6節に記載した課題を実施する状況について、次のように確認、評価及び対応を行う。
(1) 基本的な考え方
文部科学省等は、資金配分先の研究機関においても研究費が適切に使用・管理されるよう所要の対 応を行う責務を負っている。文部科学省等は、研究機関における管理体制について、ガイドラインの実施状況を把握し、所要の改善を促す。
(文部科学省等が実施すべき事項)
有識者による検討の場を設け、ガイドラインの実施等に関してフォローアップするとともに、必要 に応じてガイドラインの見直し等を行う。
文部科学省等は、研究機関側の自発的な対応を促す形で指導等を行う。管理体制の改善に向けた指 導や是正措置については、緊急の措置が必要な場合等を除き、研究活動の遂行に及ぼす影響を勘案した上で、段階的に実施する。
(実施上の留意事項)
従来も資金配分機関により額の確定現地調査やその他の確認が個別の競争的資金等で行われてい る。文部科学省等はそれらの手段を有効に組み合わせて、研究者及び研究機関の負担を可能な限り増やさずに効率的・効果的な検証を行うよう努める。
研究機関が不正を抑止するために合理的に見て十分な体制整備を図っている場合には、文部科学省 等は、構成員個人による意図的かつ計画的な不正が発生したことをもって、直ちに機関の責任を問うものではない。
研究機関の問題は、個別の部局にある場合もあるが、部局も含めた体制整備の責任は、機関の長に ある。したがって、体制整備の問題に関する評価、及び評価結果に基づき行われる是正措置の対象は原則として機関全体とする。
(2) 具体的な進め方
(文部科学省等や研究機関が実施すべき事項)
研究機関は、ガイドラインに基づく体制整備等の実施状況について、年に1回程度、書面による報 告を文部科学省に提出する。
文部科学省は、の報告書を基にガイドラインの「全機関に実施を要請する事項」の内容との整合性 について確認を行う。なお、文部科学省は、確認に当たり必要に応じて資金配分機関と協議する。
文部科学省等は、の報告書に基づく確認以外に、資金配分額の多い機関を中心にサンプリング等に より対象を選定して現地調査を行い、体制整備等の実態把握を行う。
文部科学省等は、の確認やの調査の結果、機関の体制整備等の状況について問題を認める場合に は、当該機関に対して問題点を指摘するとともに、問題点の事例を機関名を伏して各機関に通知し、注意を促す。
問題を指摘された機関は、指摘された問題点について文部科学省等と協議の上、改善計画を作成 し、同計画を実施する。
文部科学省等は、改善計画を履行していないなど、体制整備等の問題が解消されないと判断する場 合、有識者による検討の結果を踏まえて、当該機関に対して必要に応じて次のような是正措置を講じる。なお、是正措置の検討に当たっては、機関からの弁明の 機会を設けるものとする。
(ア) 管理条件の付与
管理強化措置等を講じることを資金交付継続の条件として課す。
(イ) 機関名の公表
体制整備等が不十分であることを公表する。
(ウ) 一部経費の制限
間接経費の削減等、交付する経費を一部減額する。
(エ) 配分の停止
当該機関及び当該機関に所属する研究者に対する資金の配分を一定期間停止する。
の是正措置は、改善の確認をもって解除する。
(実施上の留意事項)
改善項目の指摘に関する判断基準(チェックリスト)を、対象となる機関の多様性を踏まえつつ作 成し、公表しておく。
機関はガイドラインに基づく体制整備等に速やかに着手し、実現可能なものから実施に移した上 で、平成20年度の競争的資金等に係る申請時点から取り組み状況について報告を提出する。
評価、改善指導や是正措置は基本的に機関全体に対して行われるべきであるが、具体的な問題点を 把握するため、いくつかの部局を選び、現地調査を実施し、機関全体の体制整備等の状況について評価する際の判断材料とする。
不正事案が発生した場合、文部科学省等は、当該機関から追加の情報提供を求め、現地調査を実施 するなどにより、不正に関与した者の責任とは別に、体制整備等の問題について調査を行い、その結果に基づき、上記からまでの対応を行う。
以上:「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」
以下:資料集
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補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律
(昭和三十年八月二十七日法律第百七十九号)
最終改正:平成一四年一二月一三日法律第一五二号
第一章 総則(第一条—第四条)
第二章 補助金等の交付の申請及び決定(第五条—第十条)
第三章 補助事業等の遂行等(第十一条—第十六条)
第四章 補助金等の返還等(第十七条—第二十一条)
第五章 雑則(第二十一条の二—第二十八条)
第六章 罰則(第二十九条—第三十三条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、補助金等の交付の申請、決定等に関する事項その他補助金等に係る予算の執行に関する基本的事項を規定することにより、補助金等の交付の不正 な申請及び補助金等の不正な使用の防止その他補助金等に係る予算の執行並びに補助金等の交付の決定の適正化を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「補助金等」とは、国が国以外の者に対して交付する次に掲げるものをいう。
一 補助金
二 負担金(国際条約に基く分担金を除く。)
三 利子補給金
四 その他相当の反対給付を受けない給付金であつて政令で定めるもの
2 この法律において「補助事業等」とは、補助金等の交付の対象となる事務又は事業をいう。
3 この法律において「補助事業者等」とは、補助事業等を行う者をいう。
4 この法律において「間接補助金等」とは、次に掲げるものをいう。
一 国以外の者が相当の反対給付を受けないで交付する給付金で、補助金等を直接又は間接にその財源の全部又は一部とし、かつ、当該補助金等の交付の目的に従 つて交付するもの
二 利子補給金又は利子の軽減を目的とする前号の給付金の交付を受ける者が、その交付の目的に従い、利子を軽減して融通する資金
5 この法律において「間接補助事業等」とは、前項第一号の給付金の交付又は同項第二号の資金の融通の対象となる事務又は事業をいう。
6 この法律において「間接補助事業者等」とは、間接補助事業等を行う者をいう。
7 この法律において「各省各庁」とは、財政法 (昭和二十二年法律第三十四号)第二十一条 に規定する各省各庁をいい、「各省各庁の長」とは、同法第二十条第二項 に規定する各省各庁の長をいう。
(関係者の責務)
第三条 各省各庁の長は、その所掌の補助金等に係る予算の執行に当つては、補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに 特に留意し、補助金等が法令及び予算で定めるところに従つて公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。
2 補助事業者等及び間接補助事業者等は、補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに留意し、法令の定及び補助金 等の交付の目的又は間接補助金等の交付若しくは融通の目的に従つて誠実に補助事業等又は間接補助事業等を行うように努めなければならない。
(他の法令との関係)
第四条 補助金等に関しては、他の法律又はこれに基く命令若しくはこれを実施するための命令に特別の定のあるものを除くほか、この法律の定めるところによる。
第二章 補助金等の交付の申請及び決定
(補助金等の交付の申請)
第五条 補助金等の交付の申請(契約の申込を含む。以下同じ。)をしようとする者は、政令で定めるところにより、補助事業等の目的及び内容、補助事業等に要する 経費その他必要な事項を記載した申請書に各省各庁の長が定める書類を添え、各省各庁の長に対しその定める時期までに提出しなければならない。
(補助金等の交付の決定)
第六条 各省各庁の長は、補助金等の交付の申請があつたときは、当該申請に係る書類等の審査及び必要に応じて行う現地調査等により、当該申請に係る補助金等の交 付が法令及び予算で定めるところに違反しないかどうか、補助事業等の目的及び内容が適正であるかどうか、金額の算定に誤がないかどうか等を調査し、補助金 等を交付すべきものと認めたときは、すみやかに補助金等の交付の決定(契約の承諾の決定を含む。以下同じ。)をしなければならない。
2 各省各庁の長は、補助金等の交付の申請が到達してから当該申請に係る補助金等の交付の決定をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該各省各 庁の長と異なる機関が当該申請の提出先とされている場合は、併せて、当該申請が当該提出先とされている機関の事務所に到達してから当該各省各庁の長に到達 するまでに通常要すべき標準的な期間)を定め、かつ、これを公表するよう努めなければならない。
3 各省各庁の長は、第一項の場合において、適正な交付を行うため必要があるときは、補助金等の交付の申請に係る事項につき修正を加えて補助金等の交付の決 定をすることができる。
4 前項の規定により補助金等の交付の申請に係る事項につき修正を加えてその交付の決定をするに当つては、その申請に係る当該補助事業等の遂行を不当に困難 とさせないようにしなければならない。
(補助金等の交付の条件)
第七条 各省各庁の長は、補助金等の交付の決定をする場合において、法令及び予算で定める補助金等の交付の目的を達成するため必要があるときは、次に掲げる事項 につき条件を附するものとする。
一 補助事業等に要する経費の配分の変更(各省各庁の長の定める軽微な変更を除く。)をする場合においては、各省各庁の長の承認を受けるべきこと。
二 補助事業等を行うため締結する契約に関する事項その他補助事業等に要する経費の使用方法に関する事項
三 補助事業等の内容の変更(各省各庁の長の定める軽微な変更を除く。)をする場合においては、各省各庁の長の承認を受けるべきこと。
四 補助事業等を中止し、又は廃止する場合においては、各省各庁の長の承認を受けるべきこと。
五 補助事業等が予定の期間内に完了しない場合又は補助事業等の遂行が困難となつた場合においては、すみやかに各省各庁の長に報告してその指示を受けるべき こと。
2 各省各庁の長は、補助事業等の完了により当該補助事業者等に相当の収益が生ずると認められる場合においては、当該補助金等の交付の目的に反しない場合に 限り、その交付した補助金等の全部又は一部に相当する金額を国に納付すべき旨の条件を附することができる。
3 前二項の規定は、これらの規定に定める条件のほか、各省各庁の長が法令及び予算で定める補助金等の交付の目的を達成するため必要な条件を附することを妨 げるものではない。
4 補助金等の交付の決定に附する条件は、公正なものでなければならず、いやしくも補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者 等に対し干渉をするようなものであつてはならない。
(決定の通知)
第八条 各省各庁の長は、補助金等の交付の決定をしたときは、すみやかにその決定の内容及びこれに条件を附した場合にはその条件を補助金等の交付の申請をした者 に通知しなければならない。
(申請の取下げ)
第九条 補助金等の交付の申請をした者は、前条の規定による通知を受領した場合において、当該通知に係る補助金等の交付の決定の内容又はこれに附された条件に不 服があるときは、各省各庁の長の定める期日までに、申請の取下げをすることができる。
2 前項の規定による申請の取下げがあつたときは、当該申請に係る補助金等の交付の決定は、なかつたものとみなす。
(事情変更による決定の取消等)
第十条 各省各庁の長は、補助金等の交付の決定をした場合において、その後の事情の変更により特別の必要が生じたときは、補助金等の交付の決定の全部若しくは一 部を取り消し、又はその決定の内容若しくはこれに附した条件を変更することができる。ただし、補助事業等のうちすでに経過した期間に係る部分については、 この限りでない。
2 各省各庁の長が前項の規定により補助金等の交付の決定を取り消すことができる場合は、天災地変その他補助金等の交付の決定後生じた事情の変更により補助 事業等の全部又は一部を継続する必要がなくなつた場合その他政令で定める特に必要な場合に限る。
3 各省各庁の長は、第一項の規定による補助金等の交付の決定の取消により特別に必要となつた事務又は事業に対しては、政令で定めるところにより、補助金等 を交付するものとする。
4 第八条の規定は、第一項の処分をした場合について準用する。
第三章 補助事業等の遂行等
(補助事業等及び間接補助事業等の遂行)
第十一条 補助事業者等は、法令の定並びに補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件その他法令に基く各省各庁の長の処分に従い、善良な管理者の注意をもつ て補助事業等を行わなければならず、いやしくも補助金等の他の用途への使用(利子補給金にあつては、その交付の目的となつている融資又は利子の軽減をしな いことにより、補助金等の交付の目的に反してその交付を受けたことになることをいう。以下同じ。)をしてはならない。
2 間接補助事業者等は、法令の定及び間接補助金等の交付又は融通の目的に従い、善良な管理者の注意をもつて間接補助事業等を行わなければならず、いやしく も間接補助金等の他の用途への使用(利子の軽減を目的とする第二条第四項第一号の給付金にあつては、その交付の目的となつている融資又は利子の軽減をしな いことにより間接補助金等の交付の目的に反してその交付を受けたことになることをいい、同項第二号の資金にあつては、その融通の目的に従つて使用しないこ とにより不当に利子の軽減を受けたことになることをいう。以下同じ。)をしてはならない。
(状況報告)
第十二条 補助事業者等は、各省各庁の長の定めるところにより、補助事業等の遂行の状況に関し、各省各庁の長に報告しなければならない。
(補助事業等の遂行等の命令)
第十三条 各省各庁の長は、補助事業者等が提出する報告等により、その者の補助事業等が補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件に従つて遂行されていない と認めるときは、その者に対し、これらに従つて当該補助事業等を遂行すべきことを命ずることができる。
2 各省各庁の長は、補助事業者等が前項の命令に違反したときは、その者に対し、当該補助事業等の遂行の一時停止を命ずることができる。
(実績報告)
第十四条 補助事業者等は、各省各庁の長の定めるところにより、補助事業等が完了したとき(補助事業等の廃止の承認を受けたときを含む。)は、補助事業等の成果を 記載した補助事業等実績報告書に各省各庁の長の定める書類を添えて各省各庁の長に報告しなければならない。補助金等の交付の決定に係る国の会計年度が終了 した場合も、また同様とする。
(補助金等の額の確定等)
第十五条 各省各庁の長は、補助事業等の完了又は廃止に係る補助事業等の成果の報告を受けた場合においては、報告書等の書類の審査及び必要に応じて行う現地調査等 により、その報告に係る補助事業等の成果が補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件に適合するものであるかどうかを調査し、適合すると認めたとき は、交付すべき補助金等の額を確定し、当該補助事業者等に通知しなければならない。
(是正のための措置)
第十六条 各省各庁の長は、補助事業等の完了又は廃止に係る補助事業等の成果の報告を受けた場合において、その報告に係る補助事業等の成果が補助金等の交付の決定 の内容及びこれに附した条件に適合しないと認めるときは、当該補助事業等につき、これに適合させるための措置をとるべきことを当該補助事業者等に対して命 ずることができる。
2 第十四条の規定は、前項の規定による命令に従つて行う補助事業等について準用する。
第四章 補助金等の返還等
(決定の取消)
第十七条 各省各庁の長は、補助事業者等が、補助金等の他の用途への使用をし、その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法 令又はこれに基く各省各庁の長の処分に違反したときは、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。
2 各省各庁の長は、間接補助事業者等が、間接補助金等の他の用途への使用をし、その他間接補助事業等に関して法令に違反したときは、補助事業者等に対し、 当該間接補助金等に係る補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。
3 前二項の規定は、補助事業等について交付すべき補助金等の額の確定があつた後においても適用があるものとする。
4 第八条の規定は、第一項又は第二項の規定による取消をした場合について準用する。
(補助金等の返還)
第十八条 各省各庁の長は、補助金等の交付の決定を取り消した場合において、補助事業等の当該取消に係る部分に関し、すでに補助金等が交付されているときは、期限 を定めて、その返還を命じなければならない。
2 各省各庁の長は、補助事業者等に交付すべき補助金等の額を確定した場合において、すでにその額をこえる補助金等が交付されているときは、期限を定めて、 その返還を命じなければならない。
3 各省各庁の長は、第一項の返還の命令に係る補助金等の交付の決定の取消が前条第二項の規定によるものである場合において、やむを得ない事情があると認め るときは、政令で定めるところにより、返還の期限を延長し、又は返還の命令の全部若しくは一部を取り消すことができる。
(加算金及び延滞金)
第十九条 補助事業者等は、第十七条第一項の規定又はこれに準ずる他の法律の規定による処分に関し、補助金等の返還を命ぜられたときは、政令で定めるところによ り、その命令に係る補助金等の受領の日から納付の日までの日数に応じ、当該補助金等の額(その一部を納付した場合におけるその後の期間については、既納額 を控除した額)につき年十・九五パーセントの割合で計算した加算金を国に納付しなければならない。
2 補助事業者等は、補助金等の返還を命ぜられ、これを納期日までに納付しなかつたときは、政令で定めるところにより、納期日の翌日から納付の日までの日数 に応じ、その未納付額につき年十・九五パーセントの割合で計算した延滞金を国に納付しなければならない。
3 各省各庁の長は、前二項の場合において、やむを得ない事情があると認めるときは、政令で定めるところにより、加算金又は延滞金の全部又は一部を免除する ことができる。
(他の補助金等の一時停止等)
第二十条 各省各庁の長は、補助事業者等が補助金等の返還を命ぜられ、当該補助金等、加算金又は延滞金の全部又は一部を納付しない場合において、その者に対して、 同種の事務又は事業について交付すべき補助金等があるときは、相当の限度においてその交付を一時停止し、又は当該補助金等と未納付額とを相殺することがで きる。
(徴収)
第二十一条 各省各庁の長が返還を命じた補助金等又はこれに係る加算金若しくは延滞金は、国税滞納処分の例により、徴収することができる。
2 前項の補助金等又は加算金若しくは延滞金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
第五章 雑則
(理由の提示)
第二十一条の二 各省各庁の長は、補助金等の交付の決定の取消し、補助事業等の遂行若しくは一時停止の命令又は補助事業等の是正のための措置の命令をするときは、当該補 助事業者等に対してその理由を示さなければならない。
(財産の処分の制限)
第二十二条 補助事業者等は、補助事業等により取得し、又は効用の増加した政令で定める財産を、各省各庁の長の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用 し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならない。ただし、政令で定める場合は、この限りでない。
(立入検査等)
第二十三条 各省各庁の長は、補助金等に係る予算の執行の適正を期するため必要があるときは、補助事業者等若しくは間接補助事業者等に対して報告をさせ、又は当該職 員にその事務所、事業場等に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の要求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(不当干渉等の防止)
第二十四条 補助金等の交付に関する事務その他補助金等に係る予算の執行に関する事務に従事する国又は都道府県の職員は、当該事務を不当に遅延させ、又は補助金等の 交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等若しくは間接補助事業者等に対して干渉してはならない。
(行政手続法 の適用除外)
第二十四条の二 補助金等の交付に関する各省各庁の長の処分については、行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第二章 及び第三章 の規定は、適用しない。
(不服の申出)
第二十五条 補助金等の交付の決定、補助金等の交付の決定の取消、補助金等の返還の命令その他補助金等の交付に関する各省各庁の長の処分に対して不服のある地方公共 団体(港湾法 (昭和二十五年法律第二百十八号)に基く港務局を含む。以下同じ。)は、政令で定めるところにより、各省各庁の長に対して不服を申し出ることができる。
2 各省各庁の長は、前項の規定による不服の申出があつたときは、不服を申し出た者に意見を述べる機会を与えた上、必要な措置をとり、その旨を不服を申し出 た者に対して通知しなければならない。
3 前項の措置に不服のある者は、内閣に対して意見を申し出ることができる。
(事務の実施)
第二十六条 各省各庁の長は、政令で定めるところにより、補助金等の交付に関する事務の一部を各省各庁の機関に委任することができる。
2 国は、政令で定めるところにより、補助金等の交付に関する事務の一部を都道府県が行うこととすることができる。
3 前項の規定により都道府県が行うこととされる事務は、地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号 に規定する第一号 法定受託事務とする。
(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律 の適用除外)
第二十六条の二 この法律又はこの法律に基づく命令の規定による手続については、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律 (平成十四年法律第百五十一号)第三条 及び第四条 の規定は、適用しない。
(電磁的記録による作成)
第二十六条の三 この法律又はこの法律に基づく命令の規定により作成することとされている申請書等(申請書、書類その他文字、図形等人の知覚によつて認識することができ る情報が記載された紙その他の有体物をいう。次条において同じ。)については、当該申請書等に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方 式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして各省各庁の長が定める ものをいう。次条第一項において同じ。)の作成をもつて、当該申請書等の作成に代えることができる。この場合において、当該電磁的記録は、当該申請書等と みなす。
(電磁的方法による提出)
第二十六条の四 この法律又はこの法律に基づく命令の規定による申請書等の提出については、当該申請書等が電磁的記録で作成されている場合には、電磁的方法(電子情報処 理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて各省各庁の長が定めるものをいう。次項において同じ。)をもつて行うことができる。
2 前項の規定により申請書等の提出が電磁的方法によつて行われたときは、当該申請書等の提出を受けるべき者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへ の記録がされた時に当該提出を受けるべき者に到達したものとみなす。
(適用除外)
第二十七条 他の法律又はこれに基く命令若しくはこれを実施するための命令に基き交付する補助金等に関しては、政令で定めるところにより、この法律の一部を適用しな いことができる。
(政令への委任)
第二十八条 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
第六章 罰則
第二十九条 偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は、五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、 又はこれを併科する。
2 前項の場合において、情を知つて交付又は融通をした者も、また同項と同様とする。
第三十条 第十一条の規定に違反して補助金等の他の用途への使用又は間接補助金等の他の用途への使用をした者は、三年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処 し、又はこれを併科する。
第三十一条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第十三条第二項の規定による命令に違反した者
二 法令に違反して補助事業等の成果の報告をしなかつた者
三 第二十三条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした 者
第三十二条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定のあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者 が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、当該法人又は人に対し各本条の罰金刑を科する。
2 前項の規定により法人でない団体を処罰する場合においては、その代表者又は管理人が訴訟行為につきその団体を代表するほか、法人を被告人とする場合の刑 事訴訟に関する法律の規定を準用する。
第三十三条 前条の規定は、国又は地方公共団体には、適用しない。
2 国又は地方公共団体において第二十九条から第三十一条までの違反行為があつたときは、その行為をした各省各庁の長その他の職員又は地方公共団体の長その 他の職員に対し、各本条の刑を科する。
附 則 抄
1 この法律は、公布の日から起算して三十日を経過した日から施行する。ただし、昭和二十九年度分以前の予算により支出された補助金等及びこれに係る間接補 助金等に関しては、適用しない。
2 この法律の施行前に補助金等が交付され、又は補助金等の交付の意思が表示されている事務又は事業に関しては、政令でこの法律の特例を設けることができ る。
附 則 (昭和三四年四月二〇日法律第一四八号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)の施行の日から施行する。
(公課の先取特権の順位の改正に関する経過措置)
7 第二章の規定による改正後の各法令(徴収金の先取特権の順位に係る部分に限る。)の規定は、この法律の施行後に国税徴収法第二条第十二号に規定する強制 換価手続による配当手続が開始される場合について適用し、この法律の施行前に当該配当手続が開始されている場合における当該法令の規定に規定する徴収金の 先取特権の順位については、なお従前の例による。
附 則 (昭和三七年九月一五日法律第一六一号) 抄
1 この法律は、昭和三十七年十月一日から施行する。
2 この法律による改正後の規定は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前にされた行政庁の処分、この法律の施行前にされた申請に係る行 政庁の不作為その他この法律の施行前に生じた事項についても適用する。ただし、この法律による改正前の規定によつて生じた効力を妨げない。
3 この法律の施行前に提起された訴願、審査の請求、異議の申立てその他の不服申立て(以下「訴願等」という。)については、この法律の施行後も、なお従前 の例による。この法律の施行前にされた訴願等の裁決、決定その他の処分(以下「裁決等」という。)又はこの法律の施行前に提起された訴願等につきこの法律 の施行後にされる裁決等にさらに不服がある場合の訴願等についても、同様とする。
4 前項に規定する訴願等で、この法律の施行後は行政不服審査法による不服申立てをすることができることとなる処分に係るものは、同法以外の法律の適用につ いては、行政不服審査法による不服申立てとみなす。
5 第三項の規定によりこの法律の施行後にされる審査の請求、異議の申立てその他の不服申立ての裁決等については、行政不服審査法による不服申立てをするこ とができない。
6 この法律の施行前にされた行政庁の処分で、この法律による改正前の規定により訴願等をすることができるものとされ、かつ、その提起期間が定められていな かつたものについて、行政不服審査法による不服申立てをすることができる期間は、この法律の施行の日から起算する。
8 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
9 前八項に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。
附 則 (昭和四五年四月一日法律第一三号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
附 則 (平成五年一一月一二日法律第八九号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、行政手続法(平成五年法律第八十八号)の施行の日から施行する。
(諮問等がされた不利益処分に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前に法令に基づき審議会その他の合議制の機関に対し行政手続法第十三条に規定する聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のため の手続に相当する手続を執るべきことの諮問その他の求めがされた場合においては、当該諮問その他の求めに係る不利益処分の手続に関しては、この法律による 改正後の関係法律の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(罰則に関する経過措置)
第十三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(聴聞に関する規定の整理に伴う経過措置)
第十四条 この法律の施行前に法律の規定により行われた聴聞、聴問若しくは聴聞会(不利益処分に係るものを除く。)又はこれらのための手続は、この法律による改正 後の関係法律の相当規定により行われたものとみなす。
(政令への委任)
第十五条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。
附 則 (平成一一年七月一六日法律第八七号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十二年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第一条中地方自治法第二百五十条の次に五条、節名並びに二款及び款名を加える改正規定(同法第二百五十条の九第一項に係る部分(両議院の同意を得ること に係る部分に限る。)に限る。)、第四十条中自然公園法附則第九項及び第十項の改正規定(同法附則第十項に係る部分に限る。)、第二百四十四条の規定(農 業改良助長法第十四条の三の改正規定に係る部分を除く。)並びに第四百七十二条の規定(市町村の合併の特例に関する法律第六条、第八条及び第十七条の改正 規定に係る部分を除く。)並びに附則第七条、第十条、第十二条、第五十九条ただし書、第六十条第四項及び第五項、第七十三条、第七十七条、第百五十七条第 四項から第六項まで、第百六十条、第百六十三条、第百六十四条並びに第二百二条の規定 公布の日
(国等の事務)
第百五十九条 この法律による改正前のそれぞれの法律に規定するもののほか、この法律の施行前において、地方公共団体の機関が法律又はこれに基づく政令により管理し又 は執行する国、他の地方公共団体その他公共団体の事務(附則第百六十一条において「国等の事務」という。)は、この法律の施行後は、地方公共団体が法律又 はこれに基づく政令により当該地方公共団体の事務として処理するものとする。
(処分、申請等に関する経過措置)
第百六十条 この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定。以下この条及び附則第百六十三条において同じ。)の施行前に改正前のそれぞれの法律の規 定によりされた許可等の処分その他の行為(以下この条において「処分等の行為」という。)又はこの法律の施行の際現に改正前のそれぞれの法律の規定により されている許可等の申請その他の行為(以下この条において「申請等の行為」という。)で、この法律の施行の日においてこれらの行為に係る行政事務を行うべ き者が異なることとなるものは、附則第二条から前条までの規定又は改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の経過措置に関する規定に定めるも のを除き、この法律の施行の日以後における改正後のそれぞれの法律の適用については、改正後のそれぞれの法律の相当規定によりされた処分等の行為又は申請 等の行為とみなす。
2 この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定により国又は地方公共団体の機関に対し報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項で、この 法律の施行の日前にその手続がされていないものについては、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、これを、改正後のそれぞれの法律 の相当規定により国又は地方公共団体の相当の機関に対して報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項についてその手続がされていないものとみ なして、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定を適用する。
(不服申立てに関する経過措置)
第百六十一条 施行日前にされた国等の事務に係る処分であって、当該処分をした行政庁(以下この条において「処分庁」という。)に施行日前に行政不服審査法に規定する 上級行政庁(以下この条において「上級行政庁」という。)があったものについての同法による不服申立てについては、施行日以後においても、当該処分庁に引 き続き上級行政庁があるものとみなして、行政不服審査法の規定を適用する。この場合において、当該処分庁の上級行政庁とみなされる行政庁は、施行日前に当 該処分庁の上級行政庁であった行政庁とする。
2 前項の場合において、上級行政庁とみなされる行政庁が地方公共団体の機関であるときは、当該機関が行政不服審査法の規定により処理することとされる事務 は、新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
(手数料に関する経過措置)
第百六十二条 施行日前においてこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定により納付すべきであった手数料については、この法律及びこ れに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、なお従前の例による。
(罰則に関する経過措置)
第百六十三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第百六十四条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。 2 附則第十八条、第五十一条及び第百八十四条の規定の適用に関して必要な事項は、政令で定める。
(検討)
第二百五十条 新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務については、できる限り新たに設けることのないようにするとともに、新地方自治法別表第一 に掲げるもの及び新地方自治法に基づく政令に示すものについては、地方分権を推進する観点から検討を加え、適宜、適切な見直しを行うものとする。
第二百五十一条 政府は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について、 経済情勢の推移等を勘案しつつ検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
第二百五十二条 政府は、医療保険制度、年金制度等の改革に伴い、社会保険の事務処理の体制、これに従事する職員の在り方等について、被保険者等の利便性の確保、事務処 理の効率化等の視点に立って、検討し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附 則 (平成一四年一二月一三日法律第一五二号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)の施行の日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第五条 前三条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
以上:「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」
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国立大学法人大阪大学における競争的資金等の取扱いに関する規程
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、国立大学法人大阪大学(以下「本学」という。)における競争的資金等の取扱い に関し必要な事項を定め、もってその適正な管理を図るとともに、適切かつ円滑な運営に資するこ とを目的とする。
(定義)
第2条 この規程において「競争的資金等」とは、研究機関における公的研究費の管理・監査のガイ ドライン(実施基準)(平成19年2月15日文部科学大臣決定)の競争的資金等一覧並びに科学 研究費補助金取扱規程第4条第2項の特定給付金等を定める件(平成16年8月24日文部科学大 臣決定)第1条第1項及び第2項の各号に掲げるものをいう。
2 この規程において「研究代表者等」とは、競争的資金等の交付等を受けた研究代表者及び分担金 の配分を受けた研究分担者をいう。
(法令等の遵守)
第3条 研究代表者等は、交付等を受けた競争的資金等に係る研究の実施に当たっては、補助金等に 係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)及び関係法令並びに交付等の 際の条件を遵守しなければならない。
第2章 運営・管理体制
(最高管理責任者)
第4条 本学に、競争的資金等の運営・管理について最終責任を負う者として最高管理責任者を置き、 総長をもって充てる。
(統括管理責任者)
第5条 本学に、最高管理責任者を補佐し、競争的資金等の運営・管理について本学全体を統括する 実質的な責任と権限を持つ者として統括管理責任者を置き、研究・産学連携担当理事をもって充て る。
(部局責任者)
第6条 競争的資金等を取り扱う各部局に、その競争的資金等の運営・管理について実質的な責任と 権限を持つ者として部局責任者を置き、当該部局の長をもって充てる。
(職名の公開)
第7条 前3条の規定に基づき各責任者を置いたとき、又はこれを変更したときは、その職名を公開 するものとする。
(最高管理責任者の責務)
第8条 最高管理責任者は、統括管理責任者及び部局責任者が競争的資金等の適切な運営・管理を行 えるよう必要な措置を講じなければならない。
第3章 適正な運営・管理のための環境整備
(経理事務の準拠)
第9条 競争的資金等に係る契約、旅費支給、給与・謝金支給等の経理に関する取扱いは、別に定め のある場合のほか、本学が定める国立大学法人大阪大学会計規程等(以下「会計規程等」という。) の規定の例に準じて取り扱うものとする。
(相談窓口)
第10条 競争的資金等に係る事務処理手続及び使用ルール等に関する学内外からの相談に迅速か つ適切に対応するため、相談を受け付けるための窓口(以下「相談窓口」という。)を設置するも のとする。
2 相談窓口は、事務局及び各部局ごとに設置するものとし、その担当係等は公開するものとする。
第4章 教職員の意識向上
(行動規範等)
第11条 競争的資金等の不正な使用(以下「不正使用」という。)を防止するため、研究者及び事 務職員の行動規範を策定し、研究代表者等は、別に定める様式により不正使用を行わない旨の誓約 書を総長あてに提出するものとする。
(研修会等)
第12条 不正使用を防止するため、研修会の開催その他の適当な方法により、競争的資金等の運 営・管理及び使用にかかわるすべての研究者及び事務職員の規範意識の向上を図るものとする。
第5章 不正使用に係る調査及び処分等
(調査委員会)
第13条 不正使用があった場合又は不正使用が懸念される事案が生じた場合には、別に定めるとこ ろにより設置する不正使用に係る調査を行う委員会において必要な調査を行うものとする。
2 前項の定めによる調査の結果、不正使用が認められた者については、国立大学法人大阪大学教職 員就業規則等に則り懲戒処分等を行うものとする。
第6章 不正使用の防止
(不正使用防止計画推進室)
第14条 不正使用の防止計画を推進するため、不正使用防止計画推進室を設置する。 (防止計画の策定等)
第15条 不正使用防止計画推進室は、不正使用の防止計画を策定し、これに基づく業務の推進及び 管理を行うものとする。
第7章 研究費の適正な運営・管理
(執行状況の確認等)
第16条 部局責任者は、財務会計システム等により随時競争的資金等の執行状況を確認し、著しく 執行が遅れていると認める場合は、研究代表者等に対し、当該理由を確認の上、必要な改善を求め るものとする。
2 執行の遅れが研究計画の遂行上問題があると判断された場合は、部局責任者は、繰越制度の活用 等も含めた改善策を研究代表者等に遅滞なく示すものとする。
(発注段階での財源の特定)
第17条 研究代表者等は、競争的資金等の執行状況を的確に把握するため、発注段階において支出 財源を特定して発注するものとする。
(取引業者との癒着防止)
第18条 発注又は契約する際は、会計規程等の定めに準じて行うこととし、発注又は契約を研究代 表者等に委任する場合においても、部局責任者は、研究代表者等と取引業者との癒着を防止するた め、債務確認を行うなど取引状況の確認を行い、必要に応じて癒着防止のための措置を講ずるもの とする。
(検収業務等)
第19条 物品の買入れ契約に伴う検収業務については、会計規程等の定めに準じて扱うものとし、 研究者が国内で物件の買入れ契約を行い、かつ、研究者本人がその検収行為を行う場合は、他の検 査職員による納品事実の確認を受けなければならないものとする。
2 非常勤職員の雇用等により研究協力を得る場合は、雇用依頼者及び事務職員が勤務状況等を確認 し、競争的資金等を適正に管理するものとする。
(出張の確認)
第20条 研究遂行上必要となる出張については、部局責任者が事前に出張の必要性を確認するもの とし、旅行後は出張報告書及び旅行の事実を証明する資料をもって確認できるものとする。
(不正な取引を行った業者の処分)
第21条 不正な取引に関与した業者については、国立大学法人大阪大学における物品購入等契約に 係る取引停止等の取扱基準に基づき、取引停止等の措置を講ずるものとする。
第8章 情報伝達を確保する体制
(通報窓口)
第22条 不正使用等(その疑いがあるものを含む。次条において同じ。)に関する通報及び情報提 供を受け付けるための窓口(以下「通報窓口」という。)を原則として第10条に定める相談窓口 とは別に設置するものとする。
2 通報窓口は、事務局に設置するものとする。ただし、必要があると認める場合は、部局にも設置 することがある。
3 通報窓口の担当係等は、公開するものとする。
(不正使用等に関する報告)
第23条 通報窓口に不正使用等に関する通報及び情報提供があった場合には、速やかに、その旨を 第13条に定める委員会(以下「調査委員会」という。)に報告するものとする。
2 前項の規定による報告を受けた調査委員会は、速やかに、これを最高管理責任者に報告するもの とする。
(使用ルール等の理解度の確認)
第24条 不正使用防止計画推進室は、不正使用を防止する観点から、競争的資金等の使用ルールの 理解度について研究者及び事務職員に確認し、その結果について問題があると認める場合は、必要 な措置を講ずるものとする。
(不正使用防止に向けた措置)
第25条 不正使用防止計画推進室は、不正使用の防止に向けた取組みの状況を学内外に公表すると ともに、その施策を推進するものとする。
第9章 モニタリング等
(監査制度)
第26条 競争的資金等の適正な管理のため、国立大学法人大阪大学内部監査規程(以下「内部監査 規程」という。)に基づき、公正かつ的確な監査を実施するものとする。
(内部監査と不正使用防止計画推進室)
第27条 監査室は、内部監査規程に基づき、業務監査及び会計監査を実施するほか、監事及び不正 使用防止計画推進室と連携して不正使用の防止を推進するための体制について検証するとともに、 不正使用が発生しやすい要因に着目した監査を実施するものとする。
第10章 その他
(細則等への委任)
第28条 この規程に定めるもののほか、競争的資金等の取扱いに関し必要な事項は、別に定める。
附 則
この規程は、平成19年11月1日から施行する。
附 則
この改正は、平成20年4月1日から施行する。
附 則
この改正は、平成20年11月18日から施行する。ただし、第2条第1項の改正規定中「科学研 究費補助金取扱規程第3条第6項及び第7項の特定給付金等を定める件」を「科学研究費補助金取扱 規程第4条第2項の特定給付金等を定める件」に改める部分は、平成20年5月19日から適用する。
以上:「国立大学法人大阪大学における競争的資金等の取扱いに関する規程」