投薬維持の戦略入門:気管支喘息の事例
(課題の説明)
解説:池田光穂
ワークシート03:「投薬維持の戦略入門:気管支喘息の事例」
【本日の課題】
気管支喘息で入院した患者(48歳女性)に,入院3日後,吸入ステロイドが処方された。指導医に説明を指示された研修医は薬剤師とともに入 院している患者のベッドを訪れた。以下は、3人の会話である。
研修医「気管支喘息の病態は気道の炎症です。ですから毎日欠かさず,この薬を吸入してください」
薬剤師「吸入の仕方は簡単ですが,吸入後,必ずうがいをしてください」
患者「ステロイドって怖い薬ってよくテレビ、でも言っています。長く使っちゃ駄目だって……。どうしてもこの薬を使わなきゃいけないです か? 私,もう元気になったし,使いたくないです」
この患者に対して、薬剤師は、患者に対してどのように説明すべきか?
1)まず戦略(A:研修医に対処を丸投げする、B:薬剤師ができるだけの説明をする、C:患者の意思を尊重する、D:それ以外の最適な方法 など)を選択しなさい。
2)患者の質問から、患者の知識状態、不安の状態、意識の状態、行動選択の責任性について考えなさい。
3)最初の研修医ならびに薬剤師の患者に対する説明は、適切だったか?もし問題があるとすれば何が欠けていると思われるか?
4)以上のことを検討した上で、患者にもっとも適切な説明について、具体的に文章を作って説明してください。
5)以下の発言には、どのような問題点が含まれるか、あわせて検討しなさい。
a)「おっしゃることはもっともです。でもこの前あれだけの発作を起こしたのですから,しばらくは使用してください」
b)「そんなに副作用はないですよ。しばらくして何か副作用が出たら,そのときに中止してもよいでしょう。しばらく使っていただいて, 副作用の有無をきちんとチェックしましよう」
c)「今は症状が落ち着きました。使用するのが嫌なら無理に処方をしても,どうせ家に帰ったら使わないでしょう。次善の方法を指導医と 相談してみます」と言って再度の訪室を約束する。
d)「気管支喘息の病態は気道の炎症です。この薬は飲み込んでもすぐに分解されるようにできています。副作用はゼ口ではありませんが, 現在の状態では絶対に必要な薬です」
短時間の間に患者に対する対処法を考えるだけでなく、中長期的にみた時に薬局内部のみならず病院や関連する医院のスタッフとの連携の方法の模 索。入手しなければならない情報などがありましたら、それらに関して箇条書きにしたり、また、それらの間の優先順位を考えたりしてください。
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