はじめによんでください 

せりがや覚せい剤依存再発防止プログラム

Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program, SMARPP

解説:池田光穂

覚せい剤等の薬物依存症者のうち外来患者を中心とし て組まれた、2006年ごろからはじまった治療プログラム。英文の略称から、SMARPP(すまーぷ)とも呼ばれる。「せりがや」の名称は、神奈川県立 精神医療センター・せりがや病院の精神科医・松本俊彦(Toshiko MATSUMOTO, 1967- )らにより開発されたことに由来する。

治療プログラムは、認知行動療法を基本として、(コ カインや覚せい剤の治療プログラムとして開発された)マトリクス・モデルを用いた動機付け面接法が主たるものとなっている。

松本によると、薬物依存者が依存をやめられないメカ ニズムに、薬物依存という状況を周囲から罰せられた場合(「ヤキを入れられる」等)に、逆に、薬物に走る(=依存状態に戻る)傾向があり、処罰という負の 動機付けが、薬物依存に苦しむ当事者を、依存からの解放にむかわせないという反省的な観察からなりたっている。

精 神科医:それでは、ヤキを入れられたとき、どんな気分になりましたか?
当事者:余計にクスリをやりたくなりました。

出典:松本俊彦「薬物依存症は罰では治らない (1)」2014年12月24日、SYNODOS http://synodos.jp/welfare/12157

そのため、薬物依存者から薬物利用のない状態にする ためには、恒常的に治療現場とのコミュニケーションルートを確保しておき、「薬物を使わないことよりも治療の場から離れないことが大事」「何が起ころうと も、一番大切なのはプログラムの場に戻ってくること」という行動を当事者たちに定着させるための、社会的プラットフォームを確立することを目論まれてつく られたのが、SMARPPという治療プログラムである。

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文献


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