動物は思考できない、というデカルトの説
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「われわれの情念の運動については、われわれは思考の能力を持っているので、われわれのうちで思考を伴っていますが、しかし、それにもかかわ わらず、情念は思考に支配されていないことは大変明らかです。というのも情念の動きはしばしば、われわれの意に反しておこりますし、したがって動物におい てもありえるどころか、人間においても激しいこともありえますが、それゆえに動物が思考をもつと結論することはできません」——デカルト からニューカッス ル候へ、発信地:エフモント・ビンネル、1646年11月23日(#587)——第7巻(知泉書館版、Pp.202-203)
■方法序説(三宅徳嘉・小池健男訳(白水社版)1973)——白水社版『デカルト著作集』2001年デジタル版
■ノーバート・ウィナーの解説
「デカルト(Descartes)は下等動物を自動機械と考えた.これは,動物は,救済されまたは永劫の罰に処されるような魂をもたないと い う,正統派キリスト教信者の態度に異論をとなえることをさけるためであった.私の知るかぎりではデカルトは,これらの生きた自動機械の機能がどんなもので あるかについて論じたことはなかった.しかし感覚と意志との両面において,人間の魂が,その物質的環境とどう結び/つくかというそれに関連した重要な問題 を,デカルトは不十分な形ではあったが論じている.彼はこの関連が,彼にはわかっていた脳の中央部分,いわゆる松果腺において起ると考えた.この関連の性 質に関して一一それが物質に対する精神の直接の作用や,精神に対する物質の直接の作用をあらわしているかどうかについて一ーは彼はあまり明らかにしていな い.多分彼は両方の意味の直接の作用を考えていたであろうが,外界に対して人間の経験が有効にはたらくことを,神のめぐみと正しさによるものとしている」 ウィーナー『サイバネティクス』Pp.95-96、岩波文庫、2011年
[To begin with,] Descartes considers the lower animals as
automata. This is done to avoid questioning the orthodox Christian
attitude that animals have no souls to be saved or damned. Just how
these living automata function is something that Descartes, so far as I
know, never discusses. However, the important allied question of the
mode of coupling of the human soul, both in sensation and in will, with
its material environment is one which Descartes does discuss, although
in a very unsatisfactory manner. He places this coupling in the one
median part of the brain known to him, the pineal gland. As to the
nature of his coupling-whether or not it represents a direct action of
mind on matter and of matter on mind-he is none too clear. He probably
does regard it as a direct action in both ways, but he attributes the
validity of human experience in its action on the out.side world to the
goodness and honesty of God. (Wiener, Cybernetics,, p.40)
■知泉書院版(索引集)
【第2巻】
動物(betem, animal):6-9, 71, 72, 80, 81, 93, 95, 97, 98, 101, 157,
165, 173, 175-177, 183, 219, 223, 224, 226.
【第5巻】
【第7巻】
●動物の心がわかる、知性研究の五大巨頭
1)アリストテレス
2)ヤーコプ・フォン・ユクスキュル(→「環世界(かんせかい)・ウンヴェルト」)
3)B.F.スキナー
4)ドナルド・グリフィン
5)ジェーン・グドール
リンク
文献
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