加藤尚武氏書評「安楽死問題の名著」へのコメンタリー
Shin-ichiro MORINAGA's
book, "For considering on Terminal Care Medicine in Holland"(2016)
published by Maruzen Co. ltd.
図書新聞の近刊号(4月1日=3297号)にヘーゲ ル哲学者/生命倫理学者の加藤尚武さんの書評がありました。
著者であるヤスパース哲学者の盛永審一郎『終末期医 療を考えるために : 検証オランダの安楽死から』(2016)との主張内 容とのハイブリッドになりますが、安楽死トレンド論への危惧の論理は、以下の3要素にまとめられそうです。
1)良きパターナリズムと死の医療化の カップリング——状況説明
2)安楽死を容認すると安直な「自殺幇 助」の適用が拡大する《ゲレンデ仮説》——自殺幇助の社会化の自動仮説
3)自殺誘導を忌避したいがために、逆
に、その(忌避)論理が(逆に?)パターナリズム化しているのではないか?——自殺幇助のパターナリズムを批判するためにカウンセンリング受診制度をパ
ターナリズム化するという「目的と手段の矛盾」
皆さんの御意見は、どうでしょうか?
僕は、文化人類学や公衆衛生学から、EU圏内におけ る安楽死=自殺幇助の蔓延に対する適切なコメンタリーこそが、哲学者のこの「一見わかりやすい哲学的批判」に対するカウンターバランスを与えてくれるので はないかと期待しています。あるいは自分を鼓舞しています。
★終末期医療を考えるために : 検証オランダの安楽死から, 盛永審一郎著 ; ベイツ裕子編集協力.丸善出版 2016
「耳鳴りによる耐えがたい苦痛から安楽死を望み永眠 した女性のケースは、安楽死が法律で認められているオランダで、その根底にある問題を象徴する出来事であった—患者の死ぬ権利、医師の側における死の介助 を拒否する権利など、さまざまな見地から検討されてきたオランダの安楽死法制定に至る背景を検証することによって、生命終結のありかたをめぐって揺れるわ が国の終末期医療のあるべき姿を考える。
目次
第1章 オランダ安楽死の現状—二つの委員会報告
第2章 オランダ安楽死法の原理
第3章 安楽死審査委員会
第4章 家庭医制度—信頼性と安楽死クリニック
第5章 オランダにおける現在の課題
第6章 耳鳴りのケースの裁定
第7章 「華ちゃんのケース」との比較 エ
ピローグ—「人生の終焉」法」
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