国際労働移民の受け入れの問題:日本のケース
Global or Local Apiria of Internationala Labour Migration
国際的で円滑な移民の促進がなされない4つの理由(cf. カースルズとミラー 2011:391-392)
■2010年当時
「日本の移民人口は、全人口の2%弱を構成するにすぎず、北アメリカ、西ヨーロッパ、オーストラリアに比べはるかに少ない。グローバルな経
済停滞は、一時的に外国人労働者への需要を減らすかもしれないが、長期的には、構造的要因の影響が強まる。少子高齢化は移民を必要とする動きを強める。高
い教育を受けた日本人の若者は工場労働などを避けるようになる。政府は、新技術導入のための投資を促進して生産性を高めようとし、労働集約的な企業は、低
賃金労働を求め海外進出するに違いない。しかし、日本国内の建築現場での労働や、日本人のための各種のサーヴィス業務は海外移転するわけにはいかない。ま
た、自動車工場のすべての業務は複雑に絡み合い、単純職務をすべて海外移転できるわけでもない。日本に単純労働は残るだろう。また、高齢者介護問題も介護
労働者移民を必要とするに違いない。農家の若者は外国人花嫁に依存するようになってきている」(カースルズとミラー 2011)日本語版序文より http://www.unp.or.jp/aom-jf
■しかし2018年(2018年11月14日報道、朝日新聞、日本経済新聞)
「外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法(入管法)改正案に関し、政府による受け入れ外国人の業種別の試算(衆院法務委員会理事 懇談会の調査)……政府試算によると、初年度に介護や建設など14業種で約59万人の人手が不足し、約3万3千人~約4万8千人の受け入れを想定。初年度 から5年間では約146万人の人手不足、約26万~約35万人の受け入れを見込む。」
表は日経新聞による(■データは朝日新聞:新しい在留資格による受け入れ見込み数(人)
※()内は人材不足の見込み数(人)
初年度 5年目までの累計
介護業 5000(6万) 5万~6万(30万)
ビルクリーニング業 2000(5万) 2万8000~3万7000(9万)
素形材産業 3400~4300(3万) 1万7000~2万1500(6万2000)
産業機械製造業 850~1050(1万2000) 4250~5250(7万5000)
電気・電子情報関連産業 500~650(7000) 3750~4700(6万2000)
建設業 5000~6000(2万) 3万~4万(21万)
造船・舶用工業 1300~1700(6400) 1万~1万3000(2万2000)
自動車整備業 300~800(1600) 6000~7000(1万3000)
航空業 100(1400) 1700~2200(8000)
宿泊業 950~1050(3万) 2万~2万2000(10万)
農業 3600~7300(7万) 1万8000~3万6500(13万)
漁業 600~800(5000) 7000~9000(2万)
飲食料品製造業 5200~6800(4万3000) 2万6000~3万4000(7万3000)
外食業 4000~5000(25万) 4万1000~5万3000(29万)
合計 3万2800~4万7550(58万6400) 26万2700~34万5150(145万5000))
■小井土彰宏 編『移民受入の国際社会学:選別メカニズムの比較分析』名古屋大学出版会、2017年から
第11章 日本1(執筆者:上林千恵子)
高度外国人材受入政策の限界と可能性 —— 日本型雇用システムと企業の役割期待
はじめに
1 高度外国人材受入政策における日本の位置づけ
2 高度外国人材受入政策の展開 —— IT 技術者と留学生
3 高度外国人材優遇のためのポインド制度
4 企業の高度外国人材受入
5 日本企業の高度外国人材への役割期待
おわりに —— 残された課題
第12章 日本2(執筆者:鈴木江理子 )
外国人選別政策の展開 —— 進行する選別的排除
はじめに
1 形式的排除の時代の非正規滞在者
2 移民/外国人選別時代の非正規滞在者
3 管理強化と排除の拡大
おわりに —— 「移民政策ではない」 外国人政策
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関連リンク
文献
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