移民
International Labour Migration
移民(いみん、Immigration, Emigration)とは、元の居住地とは異なる土地へ移住する人たちのことをさ す。移民は、長期・短期(おおむね1年以上の期間)を問わず、出身地か ら離れることを通して、そこで政治的・社会的・経済的な自律性をもって生活することを意味している。それ以外の、(政治的,経済的)避難民・難民、法的監 視などのもとにある無国籍者などとは区別される。
さて、移民の類義語には、ほかに「植民」 「在留民」「難民」などの用語が浮かぶはずである。「移民」をふくめて森本と森茂(2018:17)の 定義を掲げておく
移民:「自由意思で渡航し、生活の基盤を恒久的、半恒久的に海外に移した人々。多くは労働目的での渡航であるが、様々な目的が混在する。密航者も含めてよいかもしれない」(2018:17)。
植民:「同一国家権力圏内の移動で、植民地化したところに国策として送られたり、自らの意思で移り住んだ人々。従来、移民研究では移民と植 民は区別されて取り扱われてきたが、最近は包括的に扱う傾向がある」 (2018:17)。
在留民:「出稼ぎ、季節労働、留学、企業や軍隊の派遣・駐在・駐屯など、短期から中期の滞在目的で渡航し、帰国を前提とする人々。近年の移民の形態は残留民的になっている」(2018:17)。
難民:「自然災害、遭難、環境破壊、人的災害(宗教的・政治的弾圧)、戦争などの理由で、本人の意思ではなく強制的に移動を強いられた人々。漂流民、奴隷、流刑者、亡命者なども強制移動の 形態」(2018:17)。
20万年から14万年前にはじまるという 人類の「出アフリカ説(Recent African origin of modern humans)」 に従えば、人間の本質は、移動することと定着することを繰り返しする動物=民のことである。したがって〈定着する民〉の視点から〈移動する民〉について本 質的な差異を見いだしたり、そこに差別や峻別意識をもつことは、同質的な人間の存在に恣意的な峻別をつける無意味(ナンセンス)な行為である。したがっ て、これから(21世紀以降)の移民研究は「人がそこに住まうことを欲せざるをえない構造」 を脱構築することにほかならない。
さて、2015年の時点で日本は、年間 39万人の移民受け入れの実績があり、もはや国際移民における「鎖国」状態ではないことが容易に推測され る。
「人口減と少子高齢化による人手不足を背景に、日本で働く外国人が増え続ける中、経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国の最新
(2015年)の外国人移住者統計で、日本への流入者は前年比約5万5千人増の約39万人となり、前年の5位から韓国を抜いて4位に上昇した。OECDの
国際移住データベースから判明。日本が事実上の「移民大国」であることが浮き彫りになった。日本語教育の推進など定住外国人の支援策が急がれる」西日本新
聞「「移
民流入」日本4位に、15年39万人、5年で12万人増、 OCD支援策の充実急務」2018年5月30日付け。
カリド・コーザー(Khalid Koser)の『国際移民』(2007)の小著の章立てに倣って、国際移民を論じるポイントを8点示してみよう。
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文献
Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099